6月議会のメニューは……
・文教・厚生常任委員会連合審査会
・市庁舎建設事業等に関する特別委員会
・議会改革特別委員会
・一般質問(万葉ホールに自習室を設置&橿原の安心安全な農産品で給食を)
6月9日
文教・厚生常任委員会連合審査会
橿原市執行機関の附属機関に関する条例の一部改正について
真菅北幼稚園と耳成幼稚園をひとつにすることにあたって、運営する法人をどのように選ぶかを審査する「橿原市公私連携法人指定審査委員会」を設置することについて検討しました。
矢追もと 審査委員の定数は10人と書かれています。どのような方が何人ぐらい入るのかという内訳と選定方法を教えてください。 こども政策課長 10名ということにはなっているが、現時点では8名程度を想定。学識経験者で大学の先生など3名。継続的に法人を運営できるかの審査のために財務専門家で税理士。最終的に協定書を結ぶので、法律専門家の弁護士。地域、保護者の意見のため、それぞれの幼稚園の保護者1名ずつと市PTAから1名、今は8名を想定している。 矢追もと ありがとうございます。この地元の保護者1名ずつというのは、具体的にどのような方にどのような方法でお願いするか、決まっていたら教えてください。 こども政策課長 保護者は現在、市PTA連合会に依頼をし、保護者代表を選任していただくことで考えている。 矢追もと ありがとうございます。この保護者の方々は、各幼稚園のほうから1名ずつ出されるというふうなイメージでもよろしいでしょうかね。 こども政策課長 おっしゃるとおり。それぞれの幼稚園から1名ずつで考えている。 矢追もと ありがとうございます。市のPTA連合に依頼されているということであれば、それぞれの幼稚園の今年のPTA会長さんなどにそういった役が回ってくる可能性も高いのかなと思っているんですけれども、今までの保護者説明会ですとか地元の説明会の中でも様々な地元のご意見というのがあったかなと、保護者の方々のご意見があったかなと思うんです。そういったものを、お一人の方が代表して審査会の中でご意見をおっしゃっていただくというのはなかなか責任も重大かなと思っております。なかなか単年度で役割を担っていらっしゃる方が有識者の方ですとか地元の方々の中でご意見をおっしゃっていただく、その雰囲気に慣れていただくのだけでも大変な場合も多いかなと思っているんです。なので、そのような地元の保護者の方々がそういった審査会に出ていただく際に、事前にきちんとこういうふうな方法で、このような形でご意見を出し合っていただきたいとレクチャーであるとか、雰囲気をきちんと作っていただきたいと思っております。 それを要望したいのが1点。それとともに、お一人の方が全てのご意見、きちんと反映しておっしゃっていただくというのもなかなか大変だと思うので、今までの説明会で出た主要なご意見であるとか、そういったものが、新たに参加していただく学識経験者の方ですとか、その他の税理士さん、弁護士さんなどに何らかの形で資料提供されるのかどうか。どのように考えていらっしゃいますか。 こども政策課長 保護者代表の方に限らず、委員には当然、事前に今までの経緯も含めて説明が必要と思っている。十分に説明なり、資料も提供した中で審査会を開きたい。 矢追もと ありがとうございます。では、審査会に必要な情報であるとか、今までの経緯であるとか、また参画しやすい環境づくりにはご配慮いただけるということで、しっかりその点を踏まえて進めていただきたいと思います。 あと、まず8人でと考えていらっしゃるということですけれども、今回定数は10人以内となっているので、その辺りは柔軟に、またお声があれば、10人以内の中で設定できるようなこともまた柔軟に検討していただけたらと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
6月16日
市庁舎建設事業等に関する特別委員会
かねてから議論が続いていた本庁舎ですが、解体に向けて進むことがようやく決まりました。耐震性能がきわめて低いことが分かってからも、分庁舎の建設を優先し、本庁舎は長い間そのまま使用を続けてきました。市民や市職員のみなさんの安全を心配していましたが、ひとまずほっとできる状況になりそうです。
これまでの流れ
2021年12月 議会で本庁舎の移転が否決された
2022年2月 本庁舎機能を一時避難する方向性が議会に説明された
2022年3月 本庁舎の解体と一時避難の準備をするための予算が可決された
2022年6月 解体と一時避難のプラン作成のために事業者と契約
2023年3月 議会で5通りの一時避難案を説明。一時避難と本庁舎解体費用を可決
2023年4月 市側がベストとするプランの工事費などについて説明
市が示したプランでは、本庁舎のなかで耐震性のある東棟を改修して市長室などを設けます。現在西棟などに入っている都市デザイン・マネジメント部などの部局が、東竹田町にあるリサイクル館を改修して入居することになっています。市議会は万葉ホール5階を改修して一時避難することになります。耐震性のない本庁舎よりも安心して、議会の様子をご覧いただけると思います。
本庁舎の解体も含め、一連の事業に使われる費用は約7億円です。
議会改革特別委員会
議員への会議録の配布方法について
今までは、議員に紙の冊子で議事録を配っていました。1冊1万円もしていたそうですが、データで配るテストを行うことになりました。もし実現すればそれなりのお金が節約でき、重要な議会活動のためにお金を回すことができます。
タブレットやパソコンの持ち込みについて
市職員から、議場にパソコンを持ち込みたいという意見を聞いたので、提案しました。議員から質問を受けて、すぐに資料を参照できるようになれば、スムーズな議事が期待できます。他の市町村ではすでにノートパソコンやタブレットの持ち込みをしているところもあります。ひとまず、市側の総意としてパソコンの持ち込みを望んでいるのかを確認することになりました。
また、傍聴者についても、メモなどを取るためにノートパソコンなどの持ち込みを望む声がありましたので提案しました。しかし、メモを取るためのパソコン持ち込みに反対する議員がいましたので、とりあえずは議員と市職員のパソコン持ち込みについて検討を進めることになりました。
ホームページへの委員会資料掲載
議会中継などを見ている方々から、市側が説明している資料が見られないため、なんの議論をしているのか分からないというお声がありました。市民の皆さんにも議論の経過を知っていただきたいと思っているので、以前から提案しています。
ところが市側から「計画などの案を掲載すると、市民には決定したと受け取るかもしれない」といった懸念が示されました。しかし、他市では案の段階からホームページに資料を載せている例はあります。案と決定事項について誤解が生じることを心配するのなら、案と決定事項の違いがしっかり分かるような資料の示し方をすればよいのではないでしょうか。
この日はひとまず、他市の事例を調査することが決まりました。
オンライン議会について
新型コロナ感染症の流行などで、オンライン会議が思ったよりも簡単にできることや、便利なことが分かってきました。特別な状況では、議会であってもオンライン会議の利用をしてもよいということに国もかじを切っています。このため他市の事例を調べることになりました。
議会改革特別委員会の委員定数の変更について
議会改革について議論するこの特別委員会ですが、全議員が参加する形になっています。議員の数を減らして運営してもいいのではないかという提案が前回の議会であり、その続きを議論しました。このまま全議員が参加する形を維持しようという声や、全員参加の形はそのまま、少人数が参加するテーマごとの小委員会を設置してもいいのではという提案もありました。
参加議員を減らすかどうかについて賛否を取りましたが、およそ半々に分かれました。このため、小委員会形式が可能なのかどうかを調べて、次回の9月議会で報告されることになりました。
さまざまな方が活動しやすい議会のための取り組み
議会の時間が長引いたりすると、子育てや介護をしている議員にとってはつらい状況になります。特に、いつ終わるのか分からないのが最も対応に困ります。このため、終了時間などについて共通理解を持つことを提案しました。また、女性議員が増えている状況でもあり、もっと女性議員を増やしていくことも見据えて、ハラスメント研修を開くことを提案しました。
これについて、各委員長が各委員に時間の配慮をすることが決まりました。また、ハラスメント研修も進めていくことになりました。
議会における業務継続計画(BCP)の策定について
私が提案し、一部議員と一緒に勉強会を開いて、BCP策定を目指しています。現在は、兵庫県芦屋市などのBCPを基に、橿原独自のプランを作ろうとしているところです。今のところ、9月議会にはある程度の方向性を出して、12月議会で決定できればいいなと思いながら、作業を進めています!
6月22日
一般質問
私は当選してからすべての定例議会で一般質問をしています。今回は大きく2つのテーマで質問をしました。
一つ目は自習スペースについて。橿原市には自習スペースはほぼありません。でも、勉強したいという人は学生から大人まで幅広くいます。なんとか自習スペースを設けられないかと思い、質問したところ、よい返事を得ました。
それからもう一つは農業振興についてです。橿原市内の農業の売り上げはここ20年近くでほぼ半減しています。農業は食べ物を作る仕事です。昨今、食料自給率を上げる必要性が高まってきています。自分たちの食べるものを自分たちの地元で生産することが大切です。さらに橿原の農業は、世界遺産登録を目指す橿原市の自然豊かな風景を維持することにも役立っています。橿原の農業はとても重要なのです。なんとか橿原の農業を支えたいと思い、いくつかのアイデアを提案しました。
自習スペースについて
矢追もと まず1つ目に、自習スペースについてです。私は市議になる前から、「橿原市内には公共施設内で自習できる場所がない」というお困りの声を聞いていました。その後も定期的に「自習がしたい」というお声をいただいています。一般的な自治体では、生涯学習センターなど市民向けの施設内に自習室があったり、図書館内で自習が可能だったりしますが、本市では、現状、両方の機能がありません。 1つの例として、大和八木駅前の観光交流センター「ナビプラザ」の状況をお聞きいたします。自習のニーズは学生や社会人など幅広い世代にあると思いますが、駅前施設は通学される学生さんにとって利便性が高いと思います。他市の事例を見ると、お隣の桜井市では、駅前の「まほろばセンター」内の一部の部屋を高校生対象の自習室とし、平日は午後3時30分から夜8時45分まで、土日・祝日は朝9時から同じく夜8時45分まで無料開放しています。 さて、本市のナビプラザ5階には市民活動交流広場があります。ボランティア団体の活動やイベントの開催などに使われていますが、かつては放課後の学生さんにも開放され、自習スペースとして利用できたとお聞きしています。現在の市民活動交流広場での状況を教えてください。 松村吉偉・総務部長 平成23年4月に観光交流センターの「かしはらナビプラザ」がオープンした。5階の市民活動交流広場は、市民公益活動に関する情報の収集及びその提供並びに資料の展示や同活動に関する講座、また、活動団体の支援及び交流に関することを事業目的として、市民公益活動の推進を図る施設。 自習利用は、オープン当初は、来館者に施設の使用目的を細かく確認する対応はせず、施設の認知度や利用率を高めるため広く受け入れ、開館時間内で学生の自習利用も容認してきた。しかし、オープン翌年の平成24年秋ごろには、学生の利用マナーの悪さや、広場利用者や利用団体からの苦情があり、自習スペースとしての利用を禁止し、現在も認めていない。 矢追もと 広場の目的は市民活動団体さんのためのスペースということになっておりますので、そのような状況になったのは大変残念に思います。 本来の利用目的がある場所を自習スペースにするのは難しいのは明らかです。ただ、自習自体が即迷惑行為になるかというと、そうではありません。自習者が増えて活動される方のスペースがなくなるのは問題ですけれども、マナーの悪さとはまた別の問題です。自習に適した環境やルールをつくったり、利用の手続などを行い周知するといった、きちんとした自習スペースの整備が必要です。 以前、私は、長野県の伊那市をお尋ねた際に、市の生涯学習センター内に自習室がありました。皆さんとても静かに利用されていたのが印象的でした。こちらは自習室と別の階に事務所があり、そこで利用登録証の発行手続を行います。つまり、この学習室に職員が在中しているというわけではありません。職員の方にお話をお聞きしましたが、駅が近いので学生さんの利用が多いとおっしゃっていましたが、継続が困難になるようなマナーの問題はないということでした。 お聞きしますが、市民活動交流広場では、そのような環境整備を行った上で自習利用を認めることは可能でしょうか。 松村総務部長 市民活動交流広場は現状、フロア北側の交流コーナーは、最大で45人が利用できるスペースがあり、打合せやミーティング、イベント開催に使用できる。フロアの南側はインターネット利用やコピー機利用、市民活動に関する相談コーナー等を備えている。 昨年度の利用状況は、北側の交流コーナーの日稼働率は72%、時間稼働率は43.4%。また、南側の各コーナーでは、年間2000人余りの利用があった。コロナ禍でも一定数の利用があり、感染症法上の位置付けが5類へ移行したことで、今後の利用がさらに進むと見込む。 また、市民活動交流広場の利用にあたり、活動の性質上、にぎわいや騒がしさが伴うこともある。自習環境はある程度の静かさを求めるので、同じフロア内で自習環境を設けるのは大変困難と今のところ考えている。 矢追もと 私としても、市民団体の活動が縮小してしまうような、そういった提案は本意ではありません。難しいことは理解しておりますが、過去の経緯や他市の事例もあることから、問題提起の意味で質問させていただきました。 さて、ナビプラザは観光交流センターということで、1階と2階のフロアは観光案内や情報発信のためのスペースとなっています。2階はイベントスペースがあり、県内の観光展示などに利用されています。先日までは「STREET FIGHTER展」が行われていました。しかし、新型コロナの影響もあったと思いますが、稼働日数が以前より少ないと感じています。また、もともと3階より上の階へ行かれる方は、エレベーターで1階と直接行き来されることが多く、2階の展示が目に入る機会が少ないといったことや、1階を利用される方が2階へ足を向けられることも少ないことから、イベントの開催中でも人の出入りが少なく感じることが多々ありました。 駅前で利便性も高く、活用しないのはもったいない場所です。ナビプラザは土日もあいていて、夜7時まで利用もできます。指定管理で運営されていますので、すぐには難しいと思いますが、今後このスペースを自習スペースとする検討はできないでしょうか、お伺いいたします。 岸本裕史・魅力創造部長 橿原市観光交流センター(通称:かしはらナビプラザ)の1・2階の観光センターは、条例で、観光関連情報を発信し、本市の観光振興や地域活性化に資することを目的とし、奈良県ビジターズビューローが管理運営を行っている。 2階のイベントスペースは、一般には貸出しなどは行っておらず、指定管理者が自主事業として、奈良県内の魅力ある観光資源に関する情報を発信する様々な展示や、中南和の観光振興に資するイベントを実施するなど、中南和地域への広域周遊の促進に活用している。また、地域連携事業も取り組んでいる。ここ3年間はコロナ禍のためイベント・展示への参加者は決して多いとは言えず、そのイベント内容や周知方法はさらなる工夫が必要。今年度は、4月6日から5月7日の間、映画「わたしの幸せな結婚」ロケ地展を開催し、期間中に約1758人が来場した。また、5月27日から6月18日までは「STREET FIGHTER展」を開催し、1769人来場した。 施設の目的上、自習スペースの常設はできないが、イベントなどの利用がない、空いている時間での一時的な利用は検討できると考えている。 矢追もと ありがとうございます。観光交流センターとしての位置づけですとか指定管理者との契約上の問題などで難しいことは重々理解しております。しかし、市内での自習スペースのニーズ、特に駅前で検討する上での1つの考え方として質問させていただきました。今後どのように自習場所をつくっていけばいいのか、ぜひ、次の指定管理契約の前に、今の利用目的の成果や達成状況を点検し、検討していただけたらと思います。これは全庁的に検討していただけたらと思います。 駅前は夕方になりますと若い学生さんたちがたくさんいらっしゃいます。電車待ち、または塾までの時間を過ごすということも多いと思います。天理市の場合、「コフフン」という有名な施設がありまして、JR天理駅高架下の南団体待合所という広いスペースを利用し、団体列車がないときは自由に利用ができます。子どもの遊び場があったり、イベント開催や展示のほか、椅子やテーブルなどが自由に使え、Wi-Fiも接続が可能です。自習スペースとしても利用できるので、学校帰りの電車待ち時間にも利用ができます。また、先ほど紹介した桜井市の場合、自習室とは別のお部屋で高校生の交流スペースも確保されています。多様な過ごし方ができるスペースや自習以外の過ごし方ができるスペースを設けるなど、他の自治体の取組は大変参考になると思います。本市のこれまでの経緯から、放課後の学生イコール、マナーが悪いと一律に決めつけずに、前向きに考えていただけたらと思います。 さて、このような自習室の問題の背景には、橿原市立図書館で図書を利用しない学習、いわゆる持込み自習ができないという事情があります。私にお声を寄せてくださっている方は、「桜井の図書館や田原本の図書館では自習ができるのに、どうして橿原の図書館ではできないのか」と皆さんおっしゃいます。また、田原本町立図書館は自習席の利用が多いことから、令和3年5月から、田原本町にお住まいの方限定の自習席を確保されたこともあり、町外からは利用しにくくなったとのことです。自習利用者が増える中で、田原本町がそのような対応を取られるのも当然だと思います。 橿原市立図書館は、平成8年の開館当初から自習ができない図書館です。桜井や田原本の図書館に行かれた方は分かると思いますけれども、それらと比べて、本市は人口が多いにもかかわらず、図書館は少し小ぶりで、席も少なめです。平成12年9月定例会の文教常任委員会で、図書館での自習に触れた以下の委員長報告がありました。少し長いですが、読み上げます。今の議事録とは形式が違いますので、ご了承ください。 「県立図書館の移転に伴い、自習室として利用していた学生が利用できなくなるが、それにかわるものとして、万葉ホールの図書館で何か対応できないかと問われたのに対して、利用者からは自習室を設けてほしいという意見と、逆に自習に来る人を排除してほしいという意見があるが、基本的な考え方として、図書館は資料を収集して組織化し、保存して市民の方々に公開しており、保有する資料を市民に提供する施設で、資料を通じて市民に奉仕をしているという考えで、座席も当館の資料を利用する方々に利用していただき、図書館の本を利用せず、自習を目的とする人には遠慮してもらうべきで、自習室の設置については現在考えていないとの答弁があり、これに対して、今まで使っていた自習室がなくなるということは、子どもたちにとって大きな問題であり、県立図書館では現実に自習室として利用されてきたことから、検討の必要があるのではないかと問われたのに対して、図書館の閲覧室に一日じゅう座られたら、他の人に迷惑がかかるということもあり、今の流れではどことも自習室を設けておらず、県立図書館で自習をしていた子どもたちを収容する施設をつくることは全く考えていないとの答弁がありました」という平成12年の内容です。 県立図書館というのは畝傍御陵前にあった県立橿原図書館のことで、木造の大変趣のある建物ですが、平成17年に奈良市の県立図書情報館に引き継がれる形で閉館しました。現在も建物は橿原考古学研究所附属博物館の裏手にあって、考古学資料の保管場所として利用されています。この県立橿原図書館は自習利用が多かったそうです。 橿原市立図書館ができて4年後の平成12年に議会でこのようなやり取りがあり、この3年後に、自習ができた県立橿原図書館は閉館をしています。この間を通じて橿原市は市内に自習スペースは不要という認識だったようです。 ちなみに、桜井市立図書館は平成11年の開館で、平成16年に図書館内に自習室を開室されています。委員長報告の中で、「自習に来る人を排除してほしいという声がある」とか「閲覧室に一日じゅう座られたら迷惑になる」などという声がありましたが、席数が限られる中で、図書館の本や資料を読む方と自習の方がバッティングしており、勉強をする行為が迷惑行為の1つと認識されていたことをとても残念に思います。 そんな中、本市の図書館は、最近、お子様連れ方が利用しやすいスペースをつくるなど、新しい取組にも積極に動いてくださっています。私にご意見をくださった方の中には、「塾に通っている子どもたちは塾の自習室を使えるようですが、我が家は塾に通わせていません」とか、「自宅ではきょうだいや家族の状況に左右されてしまって、子どもが勉強に集中できない」「家庭環境の問題から自宅での勉強が難しい」など様々なお声があります。 また、何歳であっても勉強することは大切です。それを市が応援し、勉強している人を見て、お互いに刺激し合える環境や場所がつくれないでしょうか。 教育委員会にお聞きいたします。本市の図書館では、席数限定であっても自習席を設置することは難しいでしょうか。また、図書館に限らず、公共施設内に自習できるスペースは必要だと思いますか。教育委員会のお考えを聞かせてください。 栗原照仁・教育委員会事務局長 教育委員会としては、生涯にわたり一人一人の可能性とチャンスの最大化に向け、社会人の学び直しの推進など、人生100年時代を見据えた生涯学習の推進に取り組んでいる。生涯を通じた学習の支援をするという意味で、多様な学習機会の提供は必要と考える。学習機会を保障・普及する意味で、生涯学習施設内でも自習室は提供していく必要があると認識している。 図書館について、数量限定でも自習席を設けられないか、以前からも尋ねられている。平成8年の建設当初から、図書館のスペースは限られており、自習室は設けられなかった。 これまで利用者ニーズに沿うような形で館内の活用を工夫してきた。昨年も子どもが図書に親しめるコーナーを新設するなど、工夫を凝らした運営に努めている。しかし、図書館内に机が設置された座席は36席あるが、図書の閲覧目的であり、利用者が多いときは空席がなくなることもある。図書館での閲覧目的の利用だけでも十分対応できておらず、「もう少し閲覧席を増やしてほしい」という声もあるが、館内で拡充するスペースもないのが現状。 座席は図書館の資料閲覧のために設置しており、限られた館内のスペースに座席数を増やすことが難しい中で、自習による座席利用を認めるのは図書館の本来の機能を妨げる。このため、数席限定であっても自習席の設置は難しいと考えている。 矢追もと ありがとうございます。机と椅子がセットになった席数が36席ということでしたけれども、先日、田原本町の図書館を見に行かせていただきますと、町民の方限定の自習席は28番まで番号を振られて用意されておりましたので、およそ28席あるということなんですけれども、それと比べても、橿原市の図書館の席数が少ないというのは明確だと思うんですね。もちろん、田原本町のは28席よりも多く、ほかにも椅子、机があるわけなんです。やはりなかなか難しいという事情は私もお聞きしていて、十分理解するところであります。 ただし、はっきりと自習スペースというのが必要だという認識をお聞きいたしました。おっしゃるように、自習スペースというのは、資格を取りたい社会人であるとか、趣味について勉強したい人など、様々な世代の方が利用していただける場所だと思います。私は一昨年の一般質問で図書館について取り上げました。その際に、全国の自治体で、図書館を単なる本を貸す施設と考えるのではなく、人が集まり、交流する場所、情報発信の場所と捉えることで、新しい活用の仕方や付加価値をつける動きが出てきていること、また、図書館に子育て施設や市民活動施設を併設することなどで相乗効果を生み出している図書館があることをお伝えいたしました。 先ほど紹介した平成12年当時と現在では、図書館で許容されるものというのが大分変化してきています。今後の図書館には、図書館の中または図書館と緩やかに関わり合うような位置で、人が交流したり、刺激を受け合ったり、のんびりと思索にふけったりできるスペースが求められています。 そこで提案ですが、かしはら万葉ホール1階の多目的ロビーを活用できないでしょうか。多目的ロビーは、ロマントピアホールの入り口と向かい合わせにあるスペースです。現在、ワクチン接種会場として使われています。私が橿原市に引っ越してきた10年ほど前、多目的ロビーは、机と椅子が置かれているだけではありましたが、開放されており、私も子どもにおやつを食べさせたり、本を読んであげたりする場所として使えました。中には自習される方やお弁当を食べる方もいらっしゃいました。ただし、少し暗くて、ちょっと殺風景なところという感じで、閑散としたような感じの雰囲気がありましたので、にぎわっているという印象ではありませんでした。その後数年間は喫茶店が入ったりですとか、そういったことで自由な利用ができなくなったことや、喫茶が閉店するとそれに伴ってスペースが閉鎖した時期もあり、持込みの飲食は難しくなりました。 また、従来、万葉ホール内には自動販売機がありません。正確には地下の科学館の中に子ども向けの紙パックのジュース自販機が1つあるだけです。近年は、コロナの影響もあると思いますが、万葉ホール内は飲食が禁止です。今後、議会が移動すれば5階のレストランもなくなります。しかし、万葉ホールは図書館や科学館などがあり、1日中利用できる施設です。私は、多目的ロビーをもっと休憩や飲食に使えるように市民に開放してほしいと思います。その際には、利便性を高め、自販機を設置したり、小さい売店を置くなどしてみてはいかがでしょうか。そして、その中にぜひ実習スペースも設けていただきたいのです。ロビーは1つだけの利用目的で使うにはもったいない広さがあり、自習や休憩の両立というのは、音の問題など様々な用途の方の居心地のよさを最初から100%保証することは難しいかもしれませんが、今ある場所を活用でき、万葉ホールに足りない、長時間帯在される方のための利便性を高められ、何よりも、現在市内にない自習スペースを確保することができます。 このロビーも生涯学習の場所と捉えて、多世代の利用を促進し、子どもや子育て世代、学生、社会人、高齢者の方が緩やかに接点を持てるような場所にできないでしょうか。休日に勉強する子どもを安心して送り出せるような施設にしていただけないでしょうか。教育委員会のお考えを聞かせてください。 栗原照仁・教育委員会事務局長 万葉ホールは生涯学習、社会教育の拠点施設として平成8年7月に開館。市民交流の場や市民の文化活動の場、豊かな地域社会づくりに寄与することを目的に運営してきた。 万葉ホール内に自習スペースを設けることは、生涯学習の拠点施設としても、積極的に検討していくべきと認識している。 具体的には、1階多目的ロビー内に自習できるスペースが設置できないかとの方向で検討もしている。コロナワクチンの集団接種会場の終了後、できるだけ早い時期に設置できるように検討していきたい。 なお、開設に当たり幾つか課題もある。例えば音の問題。これまでロビーコンサートなどもこれまでのように今後も実施していきたい。また、防犯や安全対策も課題の1つ。専用の自習室として勉強に専念できるような個室のような場所の提供は難しいと考えているが、図書館やこども科学館、文化ホール、そして万葉ホール周辺施設に来館した方が憩えるような場所として、そして、本を読んだり、自習にも使える場として、一定のルールを定めた上で多目的ロビーを活用していきたい。 あわせて、多目的ロビーがもっと休憩や交流の場として利用できるように、自動販売機や小さな売店など、市民がもっと利用しやすい場として今後活用できるようにも検討を進めたい。 矢追もと ありがとうございます。検討していただけるということで、とてもうれしく思います。では、次に教育長にお伺いいたします。 橿原市では、長年、自習室がありませんでした。桜井や田原本の事例を紹介しましたが、奈良市や生駒市にももちろん図書館の施設内に自習スペースがあります。勉強することが迷惑行為とされることについて私はとても残念に思っています。自習に対する考え、今後について、教育長の思いをお聞かせいただきたいと思います。 𠮷田德弘教育長 まず、私も県立図書館は何回か行っていた。社会科教師として過去の新聞を調べたりするのに。すると、ほとんどの子が受験勉強のような、あるいは中間・期末前、必死で勉強していた。それが突然なくなって、自分も新聞はどこへ行こうかなと思ってときに、この万葉ホールへ来たことがある。ただ、中身はやっぱり県立とは違って、ずっと自習している子はあまり見かけなかった、そういう思い出がある。 さて、万葉ホール及び図書館は、市民の交流の場であるとともに、市民の文化活動の場であると認識している。よって、市民や学生の「学びたい」というお気持ちに応えるためにも自習スペースは必要であると考えている。 そこで、場所についての検討となるが、議員お述べの図書館の場合、来館者の図書や新聞の閲覧場所、それから、家族連れの子どものスペース、この2つを市民のご意見を伺いながら確保してきたという経緯がある。 私も実際、図書館へ見に行った。やはり新聞を読んでおられる方、本を読んでおられる方、子どもを連れてくつろいでおられる方、そういうような方がたくさんおられた。つまり、図書館の中で自習スペースを設けるのは難しい部分があると考えている。 そこで、多目的ロビーを含めてどこか場所はないかと、今後、慎重に、前向きに検討していきたい。ただ多目的ロビーの場合、展示との兼ね合いもある。以前は教科書展示も行われていた。それから、中学校の人権教育の発表の場でもあった。一定期間そこを使うこともあり、こういうことはまた復活するかもしれない。防犯上の課題とともに、慎重に、前向きに検討したい。 矢追もと 教育委員会からの前向きな答弁は市民にとって大変な朗報だと思います。ただ、市長部局にも、ぜひ、人ごとと思ってほしくないんですね。もし条件が合う施設やスペースがあれば、教育施設でなくても、ぜひ自習スペースとしての活用を検討していただきたいんです。桜井市の「まほろばセンター」や天理市の「コフフン」も教育委員会の管轄ではありません。ぜひ全庁的に考えていただきたいんです。また、生駒市では、常時使える図書会館の自習室のほかに、3つの生涯学習施設内の部屋を貸館利用のない日に自習室として開放しています。そして、それぞれの施設のホームページには自習室カレンダーというのが掲載されておりまして、利用可能な日と時間が調べればすぐに分かるようになっています。単独の目的でスペースを確保するのではなくて、曜日や時間帯で分けて利用するやり方です。こういったことも橿原市で可能ではないでしょうか。そのような方法も含め、本市の公共施設なら、どこで、どのような活用ができるかというのをぜひ検討していただきたいと思います。長年市民の方が求めていらしたスペースです。できるだけ早く設置していただきたいです。どうぞよろしくお願いいたします。
農業振興について
矢追もと さて、次に、農業振興についてお聞きいたします。人間が生きていく上で、食べるということは欠かせず、お米や野菜を作ってくださっている農家さんには本当に感謝の思いがあります。ふだんから地産のお野菜などを意識して購入していますが、季節を感じられる新鮮なお野菜を身近で買えるというのは本当にうれしいことです。 しかし、農家の数や耕地面積は年々減少しています。平成28年に農業委員会法が改正、平成29年に施行されました。この中で、従来、任意事務だった担い手への農地集積・集約化、遊休農地の発生防止・解消が必須事務となり、さらに新規参入の促進も新たに加わりました。 また、平成24年から開始された「人・農地プラン」により、農業者が話し合い、その地域で中心的な役割を果たすことが見込まれる農業者や、地域農業の将来の在り方などを明確にし、市町村がその内容を公表してきました。 そして、さらに農地が利用されやすくなるよう、今年から農林水産省は、この人・農地プランを、今年5月の農業経営基盤強化促進法の一部改正に伴って、法定化された地域計画にすることにしています。 そのような流れの中で、農業委員会では、今年4月に改正されました農地利用の最適化の推進に関する指針に基づいた新しい方針を先月の建設常任委員会で説明されました。令和4年を起点として3年後の令和7年、10年後の令和14年の目標を掲げられています。 1つ目の質問ですが、可能な範囲で、過去から5年ごとの耕地面積の推移を教えてください。また、農業離れや新規就農者の増加のために現在考えている市の対策を教えてください。 小澤和幸・都市デザイン部長 まず、耕地面積の推移について。兼業農家を含めた農家が耕作する耕地面積を示すデータは平成16年から公表されており、令和4年以前の5年ごとの推移では、平成19年が1080ヘクタール、平成24年1020ヘクタール、平成29年976ヘクタール、令和4年899ヘクタール。15年で181ヘクタールの耕作面積が減少。公表開始の平成116年からであれば、1120ヘクタールから899ヘクタールと、18年で221ヘクタール減少で、毎年10ヘクタール余りの農地が減少しているのが現状。 このような状況の中、平成28年には農業委員会法が改正され、農地利用最適化推進委員の配置と農地利用の最適化が必須業務となった。市内全域で農地パトロールを実施し、荒れた農地があれば遊休農地につながらないよう農家への指導を行い、奈良県農地中間管理機構による新たな担い手への預け入れの方法の説明など、農業委員・推進委員と共に取組を行っている。 また、現在の新規就農者確保への取組は、相談者に国の支援制度を紹介し、活用可能性の検討や相談等の対応を行っている。今後は、就農までに考えなければいけない事として、就農から軌道に乗るまでの計画や農地や資金調達の方法などを分かりやすくホームページに掲載して、SNSを活用して発信も行いながら、これまで以上に新規に農業を始めたい方が気軽に相談できる体制を関係機関と連携して整備したい。 また、農業従事者との対話が今後ますます重要になると認識しており、市内特産品の3研究会(イチゴ、アスパラ、鉢花)や4Hクラブという若い農業者中心の団体にいる先輩就農者からの意見や課題・ニーズを聞き取るため、農業従事者との意見交換の場を設けて、その中で行政としてどのようなことができるのか検討していきたい。 矢追もと およそ1年間で10ヘクタール余り減少してきたということでした。先述しました農地利用の最適化に関する指針では、今後10年で70ヘクタールの減少にとどめるということでしたので、高い目標設定をしたということだと思います。 先ほど説明のありました対策はどれも大切なことだと思います。ただ、それだけで大丈夫なんだろうかという気もいたします。橿原市は、人・農地プランの作成に当たり、市内の農業者にアンケートを取っています。公表されている市内19地域の600人近い農業者から得たデータをまとめてみますと、回答者が担っている耕地面積216.6ヘクタールのうち、自身が70歳以上で後継者がいないとお答えになった方の耕地面積は67.7ヘクタールで、およそ31%を占めています。何もしなければ市内の3割の耕地が失われるかもしれません。 建設常任委員会では、農地法の改正で、現状で農地を所有していない方が、今後は農地を取得しやすくなり、新規参入の増加を見込めるというような話もありました。この要件が下がるメリットは大きいと思うんですけれども、まず、農業をしたいと思っていただけること、それもここ橿原でやりたいと思っていただける環境づくりが必要だと思います。 そうした中、今後につながる試みがあります。昨年3月、本市は、子どもの健全育成や地産地消の推進に向け、一層の活用を図るために、給食に地場産の農産物を活用する3者協定を、県農業協同組合橿原営農経済センターと、農家らでつくる「かしはらオーガニック」と結びました。2022年3月29日付の奈良新聞の報道によりますと、「県農業協同組合橿原営農経済センターは地場産農産物、かしはらオーガニックは有機農業による農産物をそれぞれ学校給食用として市に供給する。子どもたちが農家を見学することも検討している。亀田忠彦市長は『子どもたちの健康や農業の担い手確保につなげていきたい』と期待を寄せた」とあります。 子どもたちの体によい給食の取組と農業の担い手確保が同時にできたら、本当にすばらしいなと思います。この締結から1年以上たちましたが、具体的にどのような動きがあったでしょうか。また、農業振興面での変化はありましたでしょうか、教えてください。 小澤和幸君・都市デザイン部長 協定締結から1年が経過し、これまでの取組は、協定書の目的を達成するための基本的な方向性を確認するための3者合同会議を開くとともに、「かしはらオーガニック」が提供可能な食材納品に関する打合せを実施してきた。また、現れた変化としては、学校給食に使用された地場産農産物が6品目増加した。なお、協定締結後の農業振興面における変化、例えば農地の面積が増えたとか、農業従事者数が増えたとか、そういった数字については、残念ながら、今のところ、明確には表れていない状況。 矢追もと 給食での地場産品の利用というのは、数の確保などハードルが高くて、納入実現までの調整が大変必要ですので、6品目の採用増加というのは1つの成果だと思います。学校が配る給食の献立表では、食材名の部分に、橿原・御所・高市地区の食品ならこだいちゃんマーク、奈良県産の食品には鹿マークがついていますので、親や子どもも地場産食材を確認することもできます。 一方、3者協定では、地場産食品の中でも、有機農業による農産品活用もうたわれていますが、そこはまだ進んでいないようです。有機農業の推進は、橿原市の農業を次につなげられる試みだと私は考えています。それには先行例があるからです。給食の取組で有名な自治体に千葉県いすみ市があります。「事業構想」の2023年6月号の記事によると、米価の落ち込みが厳しい中、いすみ市では、2012年から米の有機栽培を進めて、ブランド米にする試みが続けられてきました。最初は、有機栽培農家はゼロで、農家さんから「そんなことできるわけない」というお声もあったそうです。また、除草剤を使わない試験生産にも失敗したというようなこともあったようですが、有機農法の専門家を講師に呼び、地元JAなどと連携しながら実証研究を進めたそうです。同時に学校給食でその有機米を使うようにし、2017年からは学校給食の全量42トンを地元産の有機米に切り替えました。子どもたちの食の安全や食育を実現し、子どもたちに食べてもらいたいという農家のモチベーションを上げ、有機米の売れ残りを軽減することにもつながったようです。その後、市は、有機栽培の支援を続け、有機米生産は令和4年度で100トンを超え、およそ10年前に5軒だった有機米の生産農家も、30軒に増えたそうです。その後、米だけでなく、野菜にも有機栽培が広がり、給食に使われるようになっています。有機栽培しても売れなかったらどうしようと思うとちゅうちょいたしますが、給食で買い取ってもらえるとなりますと、生産者さんの安心にもつながります。今では給食に使われているお米が「いすみっこ」というブランド米として売り出されています。 さらに有機農業への取組によって、いすみ市の認知度も高まった結果、近年、同市への移住者は増加傾向にあるそうです。2014年度に168件だった移住相談が、2024年度には741件にまで増えたそうです。食への意識の高まりから新規就農されるという方もいらっしゃいますので、このような取組は土地を選ぶポイントにもなると思います。農業の推進が移住促進にもつながったという好例なんですけれども、橿原市が結んだ3者協定も、そうした先行例につながるとてもよい協定ではないでしょうか。 農林水産省は今年6月2日、食料・農業・農村基本法の見直しの方向性を示しました。その中では、みどりの食料システム法に基づき有機農業などの取組を大幅に拡大することもうたわれています。みどりの食料システム法は、環境への負荷が低く、持続性の高い食料システムのための「みどりの食料システム戦略」(通称:みどり戦略)の実現のための法律で、昨年施行されました。「みどり戦略」では、今後、有機農業の取組を一般化し、2050年までに農地の25%まで拡大するとしています。いすみ市の事例は、今は特色ある取組をした1つの例かもしれませんが、国の目指す方向性に近いものだと思います。 そのような栽培方法の野菜を給食で採用することがきっかけで、子どもたちや地元の方々に取組を知ってもらい、地元の農産品に興味と愛着を持ってもらうことは、農業振興の上で大変重要だと思います。そうした地元の評価や取組が周知されることで付加価値がつき、市外への販路の拡大も狙えると思います。 今後、子どもたちの健全育成のためと持続的な農業振興を進めるためには、農家さんの努力だけではなく、行政の後押しが必要だと思います。 そこで提案ですが、農業を振興するためには、地元農産品全体を1つのブランド化する政策を試みるべきだと思います。単一の農産品、生産物をブランド野菜などとするのではなく、地元の安全・安心な農産品のブランド化です。有機農業品の給食への採用とブランド化を並列して実現できないでしょうか、お考えをお聞かせください。 小澤和幸・都市デザイン部長 橿原市第4次総合計画において、農業の目指すべき姿として、「持続的で魅力のある農業が行われ、市民が地元の農産物に愛着を持っている」ことを掲げており、その取組例として位置づけられた「地産地消」「ブランド化」「安全な農産物の生産支援」「学校給食での活用」等の推進は、市の農業政策として取り組んでいかなければならないと認識している。 特に、近年、消費者の食に対する安全志向は高く、身近な食材となる農産物については、より安全で安心なものが求められている。有機農業は、生物的循環及び土壌の生物活性等による循環型社会の形成に貢献するものであり、食の安全性を考える上でも有用な農業生産方法だ。 また、輸入原料や化石燃料を原料とする化学農薬や化学肥料を使わない農法のため、二酸化炭素の排出量削減による脱炭素化など農業の環境負荷の低減にもつながる。 このような機能を有する有機農業について、地域団体等と連携し取り組むことは、担い手の育成や農地の集積化、地場産農産物の生産力向上につながり、持続可能な農業の新しい形として発展していくものと期待している。 また、議員お述べのように、農林水産省は、化学肥料・農薬使用量の低減や有機農業の取組面積の拡大などを目指す「みどりの食料システム戦略」を策定し、SDGsの観点からも自然に優しい農業生産方式で、食料自給率の向上、持続可能な食料システムを構築するものとして、全国普及への展開が図られている。 このような中で、地場産の有機農産物の給食への活用には、食料の安定供給、その価格、品質保証等の様々な課題はあるが、教育委員会をはじめとした関係機関と連携し、少しずつでも実績を積み上げていくことで農業振興にもつなげ、地元の子どもたちや市民の皆さんからも地元の農産物に愛着を持ってもらえるように、その結果としてブランド化というようなものが見えてくるような、そういった取組を着実に進めていきたい。 矢追もと ありがとうございます。今お答えいただきましたように、第4次総合計画にも記されておりますので、学校給食での活用やブランド化への取組はマストであり、有機農業が将来にとって重要な要素であるというふうに市もご認識いただいていると今確認させていただきました。 橿原市の農業産出額は、平成15年の17.5億円から令和元年の15年でおよそ半分の8.8億円に減少しています。先ほどの耕地面積の減少率とリンクしていないんです。産出額の減少額のほうがずっと大きくなっています。ちなみに、産出額の6割以上をお米が占めています。 橿原市の農業が魅力的でなければ、新たな担い手は橿原市を選びません。これは移住政策と同じで、橿原市で農業をする動機づくりを重視していただきたいんです。いすみ市のような先行例に学び、橿原市の農業全体を有機重視でグレードアップしたり、農産物をブランド化することはその一助となるはずです。また、先述の「みどり戦略」では、国は技術研修会の開催などに補助金を交付しています。そういった補助金もぜひ活用してください。 橿原市や周辺自治体は一体となって世界遺産登録を目指しており、そのつながりを生かしていく必要があると思います。そして、重要なのは、歴史遺産だけではなく、それらを取り巻く景観も同様です。古代からつながる歴史があり、自然が豊かな里山の風景は、安心・安全な食べ物のイメージにぴったりです。農地を守ることは、世界遺産を守り、私たちの豊かな生活環境を守ることにも今後つながると思います。ぜひ、今目指している世界遺産登録を契機に、ブランド化の実現を目指していただきたいのですが、市長のお考えを教えてください。 亀田忠彦市長 まずは、本市の農地における現状について、数値をもって、減少傾向にあることを先ほどから部長の答弁でお示しさせていただきました。これら農地の減少は、担い手となる農業従事者不足も要因の1つであるというふうに考えております。 農地は、農産物の供給のみならず、国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承など、多面的機能を有していることからも、守っていかなければならない大切なものであるというふうに認識しております。 このたび、議員からお述べいただきました各種取組につきましては、私も子どもたちが市内で作った農作物を安心しておいしく食べてもらいたいというふうに強く思っております。市内小・中学校、有機を含め栄養価の高い食材を100%学校給食に提供できないかどうかということを常に検討しております。先ほどからご紹介がありました千葉県いすみ市などの先進地の事例を改めて確認あるいは検証して、市としてできること、あるいは民間団体などとのネットワークの構築などに向けて、しっかりと取組を進めてまいりたいというふうに考えております。 販路が確定すると、既存の農業従事者の方もそうですし、新規就農者の確保にもつながる、それが地産地消につながっていく、さらには先ほど議員から述べられましたけれども、良好な環境維持にもつながっていくという、そういったことが本市の農業のさらなる魅力にもつながっていくというふうに、改めてその取組に対する意義を再認識したところでございます。 これらの取組における様々な課題に対し関係部署と前向きに意見交換をしながら、できるだけスピーディーに検討を進めてまいりたいというふうに考えております。 矢追もと ありがとうございます。難しいことはたくさんあるかもしれません。夢のようなことかもしれませんが、ぜひ一緒に夢を見ていただきたいんですね。夢が見られない場所で、どなたが先行き不安な農業をやってくださるでしょうか。いすみ市のような取組をする自治体はほかにも増えてきています。もし橿原市もいつかやるのであれば、ぜひ今やっていただきたいんです。市長は先ほど「スピーディーに」とおっしゃっていただきましたけれども、ぜひこの目標を定めて、先ほど申し上げました世界遺産登録ですとか、何かやはりここに向かってやるぞというふうな機運を高めていただきながら、前向きに、楽しくなるような農業を、地元の方々と情報を共有しながら一緒につくっていただきたいと思っております。ぜひ、今後、皆さんと一緒にやっていただきますように心からお願い申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。