6月議会のメニューは……
・厚生常任委員会
・予算特別委員会
・議会改革特別委員会
・一般質問
6月7日
厚生常任委員会
条例変更に基づくマイナンバーの利用変更について
ママヘルプサービスが子育てサポート事業に変更されるにあたり、不具合がないかどうか。利用したい人が利用しやすいようになっているかを質しました。
矢追もと
今回の条例変更で、マイナンバーが利用されなくなった。担当課が替わったからと事前にお聞きしているんですけれども、今でも、手続に準備していただくものとしては、本人確認書類としてマイナンバーカードというものを例として挙げられています。現在はこのマイナンバーカードですとか個人番号というものを各課で手続上利用されているのか、されていないのかというのをお聞かせいただけますか。
こども家庭課長
現在、本人さんの申請に必要な確認書類は、引き続きマイナンバーカード等々で本人確認できる書類も提出いただいている。ただ、マイナンバー、個人番号の利用は、前回のママヘルプの場合、必要な事業の情報、生年月日、世帯情報、税情報、その辺りは基幹系システムで、主に窓口のある課で使っている基本的な大本のシステムがあり、そこから情報を得て、健康管理システムという独自のシステムに情報を取り込んで、その情報を基に事業を実施していたが、今度、子育てサポート事業は、こども家庭課でそういう大本の基幹系のシステムを使っているので、特に個人情報、マイナンバーを使って連携をすることなく、そこの情報を見て、確認して事業に使っている。ただ、本来の目的ではないので、目的外利用申請で、情報所管課に出した上で利用している状況。
矢追もと
ありがとうございます。あと、お聞きしたいのですが、この春から対象者が拡大して、内容も少し変わったということで、受付時ですとか実際に支援に入っていただく現場ですとか、そういった中での混乱が起きていないかということと、従来から拡大された対象者での利用者さんというのが実際にこの春から複数名利用されていらっしゃるかどうかをお聞かせいただけますか。
こども家庭課長
4月から5月にかけて、今現在、18人の申請をいただいており、その中で、特に現場でトラブルがあったとかは何も聞いていない。ママヘルプと同じ条件というか、産後6か月の方は15名、妊婦さんは1名、7か月後の方は2名ということで、増えているのは15名がママヘルプで、それ以外は3名という形。
矢追もと
以前の対象者じゃない方も支援を利用していただけるようになっているのは本当にありがたいことだなと思っております。
それと、以前の厚生常任委員会文教常任委員会連合審査会で、この事業の制度自体が大変分かりにくくて、特にホームページの表記ですとか、利用者さんのハードルを上げるような内容になっているのではないかということをご指摘させていただいたんですけども、その後、改善はされましたでしょうか。
こども家庭課長
ホームページ等々については、いろいろとご指摘をいただいた中で、課内の中でも、改めて、どういった形でお知らせをすれば、より多くの方に使っていただけて、より分かりやすくなるのかといろいろ協議を重ねており、現在、ホームページに掲載している分は修正を加え、妊婦さんならこういう条件でこの時間で、あと、生後6か月までの方ならこういう条件で、生後7か月以降の方はこういう条件でということで、3区分に分けて、分かりやすくするように修正した。ただ、やはり、養育的な支援が必要なご家庭もあり、そういったところも含めて、できる限り分かりやすくはしたが、引き続きまたいろいろ声を聞きながらホームページは取り組んでいきたい。
矢追もと
ありがとうございます。皆さんで協議していただいて、改善していただいたのは本当に感謝しております。
それと、もう1つ気になっているのは、橿原市のホームページに、もう1つ、子育て応援サイトという子育ての情報に特化したサイトが別に設けられているんですけれども、その中に、例えば「年齢で探す」ですとか「目的で探す」というふうなどの方法を用いても、実はこの子育てサポート事業を検索することができませんでした。掲載されていないというのは、問題があると思うんですね。特に、今、この春に出産されている方というのは、以前、妊娠時の面談ですとかそういったときにはママヘルプサービスの事業をご紹介されているはずで、今変わっていることですとか、実際、出産した後、大変だから支援を探したいとなったときに、大変探しにくい状況に陥っていることが予想されます。この状況を早急に改善していただいて、きちんと必要な方に情報が届くようにしていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
こども家庭課長
おっしゃるように、子育て応援サイトのほうがまだ着手できていない状況。一般的な部分、外部検索だと市のホームページからはキーワードを入れたらできるようにはなっているが、子育て応援サイトも、そういった形で広く拾えるように、すぐたどり着けるような形で掲載のほうをしていこうと思っている。
かしはら街の介護相談室について
相談室を利用される方々に不便がないよう、事案の引き継ぎがしっかりなされるようにお願いしました。
矢追もと
今、お宅のほうへの訪問もブランチの方々、職員の方々がされていたというふうにお聞きしたんですけれども、今後、校区を担当される事業者さん、法人さんが替わられたときに、個別の案件の引継ぎというのはどのようにされますでしょうか。
長寿介護課長
おっしゃられるように個別の案件もある。引継ぎの仕方も、この10月のスタートに向けて、実際にはこれからしていくという段階だが、ブランチ間で引継ぎを行わなければいけないケース、また、包括支援センターを一旦介して、改めてまたブランチへ引継ぎを行っていくというような方法が考えられ、特に個人情報の部分があるので、そこは慎重に対応していきたい。
矢追もと
ありがとうございます。
ケースによっては、担当の職員を替えてほしくないというふうな事情のあるような方もいらっしゃるのではないかと推測するんですけれども、そういったところもケースに合わせて柔軟に対応していただけるということでよろしいんでしょうか。
長寿介護課長
矢追委員お述べのように、元の小学校区から、今回、10月の再編で担当事業所が替わる小学校区もある。ただ、今回、街の介護相談室を受託していただく事業所は、今までも実績、また経験も非常に豊富な事業者様ばかり。地域にもそこは丁寧に入っていただくということで、また私どもも事業者のほうにお願いをしながら、スタート当初におきましては、やはり住民の方には、事業者が替わって不安があるという部分はあるかもしれないが、そこは丁寧に、10月以降、事業をスタートできるように取り組んでいきたい。
矢追もと
ありがとうございます。もちろん、担当校区が替わったのに継続してずっと過去のものも担当するとなったら、法人さんの負担というのも大変大きなものになると思いますので、基本的には丁寧に引継ぎしていただくということで、しっかりとその中で情報を共有していただいて、新しい法人さんにはまた新しい校区のほうで地元の方々に親しまれるような街の介護相談室をつくり上げていただきたいと思います。とにかく、時間を丁寧にかけて、状況によっては、極端に変わるというよりも、少しずつ引継ぎをしていける体制が望まれるケースもあるかなと思いましたので、しっかりとその部分をやっていただけたらと思います。お願いいたします。
3月10日
予算特別委員会
補正予算・教育振興寄付金について
矢追もと
おはようございます。13ページの教育振興寄附金についてお聞きいたします。こちらは、資料の概要では、この寄附金を活用して中学3年生にLGBTQの講演会を実施するというふうに書かれていたんですけれども、この教育振興寄附金として寄附を頂いた経緯などを教えていただけますでしょうか。
人権・地域教育課長
こちらの寄附金を頂いた経緯というのが、中平えり子前教育委員さんより、以前にシンガーソングライター悠以さんの歌・パフォーマンスを交えた性の多様性についての講演、こちらを見て感銘を受けたので、ぜひこの講演を中学校3年生に見てもらいたいという強い思いから寄附金を頂いた
矢追もと
ありがとうございます。ということは、どのような講演会を実施してほしいという内容も指定した上での寄附金ということでよろしいでしょうか。
人権・地域教育課長 そのとおり
矢追もと
ありがとうございます。中平えり子元教育委員からのご寄附ということで、このような寄附をしていただいたことに大変感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。また内容につきましては歳出のほうで質疑させていただきます。ありがとうございました。
物価高騰対策クーポンについて
矢追もと
私も子育て支援事業費のほうを先に本当はお聞きしたいんですけど、先ほどのクーポンのところで1点だけ追加で質疑させていただきたいんです。よろしいでしょうか。
今回、私、このクーポンの事業というのは補正予算の主の費目で載っているわけではなかったので、質疑の予定はしておりませんでした。ただ、どの議員も、恐らく市民の方からこのクーポンの事業に対しての様々なご意見ですとかご不満をお聞きしていることと思います。なので、検証をどのようにされているのかということですとか大変気になっていると思うんですね。先ほど6月14日に、今、申請してくださっていない方へのお知らせをされるということで、どのようなお知らせなのかということも含めて、ほかの議員にも知らせる必要があるのではないかなと私は感じております。特に「こんなものが届いたんだけど」というふうにぱっと言われても、聞いていない議員は、自分の手元にもないようなものについてなかなか説明しづらいと思うんですね。ぜひ、ほかの議員にも情報を共有していただきたいと思っているんですけれども、いかがでしょうか。
市民協働課長
まず、6月14日に送らせていただくご案内文書、紙クーポンですが、これは、形としては紙クーポンの形、今現在送っている2,000ポイントと書いたような紙、それを各個人さん宛てに特定記録郵便で送る。今までの紙クーポンと違うのは、そこに電子クーポンをご利用したい方も一定数いる。今も1万7,000人の中で、年代別に見ますと、20歳から29歳の方がかなり低い利用率になっていることもあるので、電子クーポンとしてもその紙クーポンを使って利用できるような形の操作案内をつけて送る形を考えており、紙クーポンを送るが、紙として使うこともできるし、そこから操作して電子としても使うことができる。
電子クーポンだが、認証方法、2段階認証ということで、チャージコードを取得するということがこの電子クーポンの中で必要だが、今回はそのチャージコードが紙クーポンのほうには記載されているので、そちらを使えば「region PAY」というアプリを起動できる方なら、そこからQRコードを読み取って、2000ポイントを追加する形で、かなり簡単に電子クーポンも利用できる形を考えている。そのような文書を6月14日に送るつもり。
矢追もと
ありがとうございます。最初から特定記録郵便にしておけば、そういうことは本当はできたということですよね。すぐに、ぱっと読み取ればデジタルのほうにチャージができるような仕組みにすることもできたと思うんですけども、普通郵便だったので、2段階で認証を設けてチャージする方法だったために、少し手間がかかるということで、難しさを感じられた方が多かったのではないかなと思います。
小規模保育事業所について
小規模保育事業所を公募することになったそうなのですが、待機児童が多いのは橿原市北部です。その地域に住んでいる子育て世帯のニーズに応えられるような配置をお願いしました。市からは、北部への配置予定の案は加点するという返事がありました。
矢追もと
子ども・子育て支援事務費約5000万の小規模保育事業所の公募・誘致についての予算についてお聞きいたします。
小規模保育事業所は0~2歳児が対象で、定員は6名から19名以下の小さい保育所という定義になりますけれども、今回は3施設分の予算だというふうにお聞きしております。0~2歳児は大変待機児童が多いので、その受皿となることに大変期待はしているんですけれども、現在、待機児童が多い地域というのは北部のほうに偏っておりまして、北部には人口に対して保育の受皿が少ないことがその要因の1つになっています。現在、小規模保育事業所は2か所、市内にもあるんですけれども、その2つともが南部のほうに位置しておりますので、ぜひ今後、北部のほうにこういった事業所を誘致していただきたいなと私は思っているんですけれども、そのように要望するというふうな形で配置していただくということは可能なんでしょうか。
こども部副部長兼こども政策課長
今回の募集は、基本的には市内全域と考えているが、北部、北西部に待機児童が多いことに考慮していく必要があると考えている。ただ、募集に当たって、そこ限定にすると応募事業者が集まらない部分もあり、今、待機児童の状況を地区ごとに示し、待機児童の多い北部なり北西部が得点が高い、優先するような形で考えている。
矢追もと
ありがとうございます。できればそちらのほうに造っていただきたいという市の意向が反映されるような形で公募していただけるということで、ぜひぜひ北西部のほうにこの事業所ができることを私は願っております。
公私連携認定こども園について
真菅エリアに公私連携認定こども園を設けることになっていますが、こちらのほうの定員を増やして0〜2歳児をより受け入れるように求めました。
矢追もと
北部のほうに令和9年に公私連携の認定こども園も開園予定になっています。近年、保育園の入園を希望される方のニーズが増えているため、新たな小規模保育事業所だけでは受皿が足りない可能性があります。この新しい公私連携認定こども園にも、市の待機児童の状況を踏まえて、現在、最初の設定で0~2歳児の受入れというのが大変少なく設定されていると思うんですけれども、今後、その状況を見ながら、市から公私連携法人に、0~2歳児の受入れをよりしていただきたい、定員を増加して受入れを実施していただきたいというふうに要望、提案していただけるということでよろしいでしょうか。
こども部副部長兼こども政策課長
公私連携幼保連携型認定こども園は、もともとの成り立ちは真菅北幼稚園と耳成西幼稚園の再編ということで、1号認定のそれぞれの地区のお子さんを入園できるようにする必要があり、それがまず第一にあったので、0、1、2歳がそのまま3、4、5歳になったら、校区の1号認定の方が入られないおそれがあるということで、当初、設定は低い、人数が少ない設定にはなっているが、協定書を結ぶ段階でその辺の話もしており、これから公式な話になるんですけども、協定書の中でも「今後の保育ニーズの変動に応じて、定員の拡大にも対応できるよう努めること」というふうになっているので、その辺のことも考慮した中で、定員を拡大していただけるような形では相談していこうと考えている。
矢追もと
ありがとうございます。その段階なんですけれども、令和9年に開園をして、1年、2年というのは大変難しいのか、それとも、状況が許すのであれば、早期にお声がけをいただけるのか。もちろん保育士が確保されなければ難しいとは思うんですけれども、今までのご答弁でも、その定員は拡大できるような施設の整備を進めるというふうにはお答えいただいておりますので、設備だけがあって、中の保育士さんはいらっしゃらない、お子さんもいらっしゃらないということが長期に続くことは市民への裏切りにもなる可能性があると思います。その点についてはどう思われますか。
こども部副部長兼こども政策課長
当然、施設のほうを定員が拡大できるように整備するなら、今の保育ニーズに合わせて定員を拡大していく形になってくる。ただ、おっしゃられたように保育士の確保が課題になってくるので、その辺のことも新園と協議し、適正定員の設定をしていきたい。
矢追もと
先ほどのご答弁の中での確認をさせていただきたいんですけども、先ほど「公私連携法人のほうへの定員拡大の要望を行えるのか」というふうにお聞きいたしましたときに、「協議する」というふうにはおっしゃっていただいたかと思います。先ほどちょっと協定書の中身を例に取ってご説明いただいたところ、私も今ちょうど手元に協定書があったので確認させていただいたんですけれども、「園舎及び園庭の整備に当たっては、事業提案書にて提示された園児数が入園できる面積を確保するとともに、保育ニーズの変動に応じ、将来の定員拡大にも対応できるように努めるものとする」ということを先ほど課長のほうがご説明いただいたということになると思います。努めるということが、こちらのほうの過大な期待で、こうしてくれるんだろう、ああしてくれるんだろうというふうに勝手に思っているだけなのか、それとも、これが限界ですとなったらできないことがあるのかというところで、先ほど来、待機児童数のことで様々な委員さんからもご質疑がありますけれども、新しい施設ということで期待されている方も多いので、もう一度確認させていただきたいんですけれども、この「努めるものとする」という文書をもって、近い将来、市のほうからも、特に0~2歳児の定員拡大に向けて、この公私連携法人のほうと定員数拡大の協議はしていただける、要望も提案もしていただけるということでよろしいでしょうか。
こども部副部長兼こども政策課長
待機児童問題もあるので、定員はこちらとしても一番注目している部分。当然そこが0、1、2歳で拡大できれば待機児童の解消につながる部分はあるかと思うので、こちらとしてもそれが一番いいことと思っているが、1号認定の地区の子のこともあり、今後、児童数が減っていく可能性がある中で、拡大だけを求めるのもなかなか難しい部分はある。十分話を伺って、市の要望はしっかり伝え、施設整備する前に市の思いを伝え、やっていただけるようにしていきたい。
矢追もと
ありがとうございます。新しくできる小規模保育事業所の定員が増加された分プラス、来年度の申込者数と合わせて、来年度の待機児童数がどういうふうになっているか分かりませんけれども、まずは定員数の拡大ができるような施設整備をしていただけるというのは間違いないんですよね。
こども部副部長兼こども政策課長
事業提案書は、今、協定書の中で示されている人数よりも多い人数を提案していただいているので、確保していただけるようにお願いする。それは絶対してもらうが、プラス増やしていくお願いをしているので、そういう方向で進めていきたい。
矢追もと
市のほうから公私連携法人に提案はしていただけるということでよろしいですね。
こども部長
こちらとしまして、この公募をさせていただいたときの条件としまして、最低人数という形の条件を課している中で、最低基準以上でそれぞれの提案業者さんが人数設定もされ、これを採択している。現状、0歳から2歳の待機児童が多いのは、橿原市としても近々の課題。ただ、今の提案以上に拡大してほしいと強く要請できるかどうかは、採択条件がそうなっているので、相談はできるかと思うが、委員お述べのように、定員拡大協議の確約については、強い姿勢ではなく、連携しながら相談していくという形で進めていきたい。
矢追もと
ありがとうございます。ということは、ご相談はされるけれども、提案、要望、強い効力があるようなものは市からはできない可能性が高いというふうな今のご答弁の印象を受けました。だけれども、最初の提案書、各法人さんから選考の際に出していただいた提案書では定員数は多めに皆さん書いていただいていたし、実際に定員拡大ができるような施設整備を行っていく方向ということなので、拡大できる余地はかなりあるというふうに私どもは聞いていて感じております。
先ほども、1号認定のお子さんたちの受皿をまず確保するのが先だというふうなことで、それについては私も異論はないんですけれども、そもそも、幼稚園の再編の案をつくっていただいているときに、「パブリックコメントでは北部に保育所や認定こども園の整備を望む声もありました」というふうに計画書に書かれておりますので、私も、幼稚園の再編プラス、北部への保育所の設置というものがこの案の中にかなりの部分で含まれているというふうに理解しておりました。恐らく私以外の連合審査会などに出席してくださっている委員の方々もそのように感じてくださっていると思います。ですので、小規模保育事業所を3か所造って、仮にそれが北部になったとしても、待機児童が解消しないのであれば、やはり早期にそれを解決するために、定員の拡大を行っていただくということが自然な流れなのではないかというふうに感じております。もちろん、それ以外の方法があるのであれば、私立園さんが新たにできるであるとか、私立園さん、公立園のほうでも0~2歳児の定員が拡大して待機児童が解消しているという状況であれば話は変わってくるかもしれませんけれども、やはり橿原市としては、全市の状況を見た上で、一番新しくできる認定こども園のほうにその役割というのはある程度ご理解いただく、そして前向きに動いていただくことが必要だと思いますので、十分その点を含めて市のほうからは提案、ご協議いただきたいと思いますので、そのような形でやっていただけるということでよろしいでしょうか。
こども部長
橿原市全体の待機児童に関して、確かに今回、幼稚園から認定こども園という形になることで、受入れ対象年齢の0、1、2歳が新たにあるという意味では、待機児童対策の一端を担うのかもわからない。ただ、そもそも、こちらの再編は幼稚園の再配置の整備の中で考えているので、まずは主眼がそこになる。その辺も踏まえて先方とは相談していきたい。
ただ、橿原市の待機児童に関しては、長年過去からいろんな対策を打ってきましたが、劇的な改善になっているのかどうかと言われると、受入れの数から見ると微増程度の結果になっているのは事実。ただ、原因がいろいろあり、保育士確保ができているけど、逆に保育士の退職があるとか、いろんな事情でお休みに入っているとか、いろんなことがあって保育士の拡大にもなっておらず、保育士が不足しているので、受け入れる園児の拡大につながるのもなかなか難しいという声も聞いているし、いろんな原因があると思っている。今までやってきた対策プラス、今、働く現状がどういうふうになっていて、どこが困り事なのか、本来の総数のキャパが足りないのか、保育士が足りないからキャパいっぱいまで受け入れることができないのか。それは私立も公立も同じ状況だと思いますので、その辺の分析を現在やっているのと、待機児童自体の中身の分析も今現在取りかかっており、今年度、こども計画の中で定員計画も出していく形になるので、併せていろんな角度から分析して、公私連携法人は令和9年の開設になるので、ただ、今できる7年度、8年度の対策もあるので、併せていろんな形で待機児童対策について検討して、対策を考えていきたい。
待機児童数について
矢追もと
ありがとうございます。実際の待機児童の数を今からお聞かせいただけるかと思うんですけれども、0歳から2歳のお子さんの待機児童を全て解消するためには、この小規模保育事業所というのは恐らく10か所近く必要なんだと思います、多分、今の段階で。ですので、早期にこれを解消するためには、様々な施設でより0~2歳児の枠を拡大していただかなくてはならないと思います。ですので、公私連携の認定こども園も含めて、今後、待機児童の解消に向けて市からお声がけ、要望、提案というのは常にしていただくようにどうぞよろしくお願いいたします。
こども未来課長
まず、0~1歳・2歳の受入れ数は、公立で令和5年度が223人、令和6年度が224人。私立ですが、令和5年度が550人、令和6年度が554人となっています。 続いて、待機児童は、国待機児童と潜在待機児童を合わせた数で、令和5年度、0~2歳児146名、令和6年度、0~2歳児189名。新規の申請者数、申込みの数は、年齢別では把握していないが、全体的には553名から663名に増えている。増えている部分の大部分は0~2歳児と考えている。
災害対策の簡易トイレ備蓄について
提案していた簡易トイレの備蓄をしていただけるようになりました!
矢追もと
災害対策事業費1900万円のほうをお聞きいたします。先ほど内訳のほうをお聞きしたんですけれども、これを備蓄する場所をそれぞれ教えてください。
危機管理課長
基本、指定避難所、市内45か所あるが、指定避難所45か所に分散備蓄したい。
矢追もと
ありがとうございます。この簡易トイレというのはトイレにかぶせて使うタイプのものでよろしかったでしょうか。かぶせて使うものということで。私も3月の一般質問でこれを要望させていただいて、またそれを分担で備蓄していただくということは、すぐに使えるように準備していただけるということで大変ありがたく思っております。ありがとうございます。
これを備蓄することで、今まで体育館ですとか、こういった避難所のほうに物資を備蓄する場合、管理の問題ですとか場所の問題があるのでなかなか増やせないんだということもお聞きしておりました。現在の状況はどうでしょうか。また、実際に使うというときに、そこを、鍵を開けて使えるようにするのはどなたなのか。すぐに早急に使いたいときに使える状況なのかを教えてください。
危機管理課長
公共施設、体育館などに分散備蓄する。鍵の問題等あるが、災害対策本部の組織の中で避難所班各45名プラス、サブの職員がいるが、各担当が施設管理者と協議・調整し、例えば夜中や時間外にどうするか綿密に調整した上で対応させていただきたい。
それから、場所は学校であったり、公共施設でかなりスペースを取っているが、そこは理解いただき、今後協議しながら連携して対応したい。
矢追もと
スペースについてはご理解いただけているということで、ありがとうございます。それと、管理者さんがご自身で開けるということはないということなんでしょうかね。例えば、連絡があった場合には、中学校や小学校、避難所になるような施設に、日中いらっしゃる場合、すぐにでも避難の方がいらっしゃる可能性もあって、そのときにすぐに、例えば市の担当の職員が駆けつけられないというような場合には、管理者の判断でそれを出すということは可能なんでしょうか。
危機管理課長
すみません、一括して実は鍵を預かっているので、管理者がすぐに来られない場合は、一旦、避難所班は鍵を集中管理しているので、そこへ取りに行ってから各避難所に出向いて開設する流れになっている。
矢追もと
万が一のときに職員の方が鍵を取りに行って、そして避難所を開設するまでの時間というのもそこそこかかるのかなというふうに思います。平日の日中、お子さんがいらっしゃるような時間であれば、逆に言うと職員も、開庁しているような時間帯なので、そういう際の災害であれば何らかの形で動くことも可能かとは思うんですけれども、災害の程度によっては、なかなか時間がかかるということもあるのかなと。もしくは、また、本当に夜間であるとか、能登の震災のように1月1日というようなちょっと特殊なときですと、職員の方がすぐに駆けつけられない可能性というのもあるのかなと思っておりますので、二重三重にそういったセーフティネットを張り巡らせておいていただけますようお願いしたいと思います。要望です。
人権教育推進事業費について
矢追もと
人権教育推進事業費についてお聞きいたします。これは先ほどお聞きしたLGBTQの講演会の実施についての予算だと思いますけれども、よろしいでしょうか。今回、中学3年生に向けての講演会を実施するということなんですけれども、これは、全校ではなくて中学3年生というふうになったのは寄附者の方とのご相談の結果でしょうか、それとも、対象者をこういうふうに絞ったほうがいいというような意図があってのことでしょうか。お願いいたします。
人権・地域教育課長
寄附いただいた内容からして、実際、開催回数が1回になる想定の下、中学校3年生を対象にということで確認した状況。
矢追もと
ありがとうございます。ということは、6校ある中学校の3年生が1か所にその日集まっていただくということでよろしいでしょうか。例えば、万葉ホールなどで実施するということでしょうか。
人権・地域教育課長
今の予定では、中学校3年生は全員で950人ほどいるので、それを一度に実施できるのは、現実的には橿原文化会館でと考えている。1か所に集めることになる。
矢追もと
ありがとうございます。そのように工夫をしてくださって、限られた人数ではあるけれども、中学3年生を対象にするということで企画してくださったということですね。承知いたしました。
それと、私はかねてから学校現場の教職員の方々もLGBTQの問題に興味を持っていただきたいと思っておりまして、やはり生徒のほうから相談を受ける機会もあるというふうにお聞きしております。そういうふうな方々に対しても、やはりこういうふうな講演会を実際に目にする機会というのがあるというのはとても有益な機会だと思っておりますので、この講演会に全ての教職員が行けるわけではないと思いますので、どんな内容だったか教員間でも共有していただけますと、より寄附者の方のお気持ちに応えるような内容になるのかなと思っておりますので、ぜひそういうふうな動きも積極的に実施していただきたいと思います。要望です。お願いいたします。
6月13日
議会改革特別委員会
政務活動費について
政務活動費が使える議員の広報紙について、どのようにするか検討しているところです。裁判所の判例では、公費(政務活動費)は費用のうち2分の1を上限となっているものがあります。また、橿原市と似たような自治体(類似団体)には用紙サイズを決めているところはないようです。今後は、用紙のサイズを決めず、どんな中身ならよいかを考えていくことになりました。
一般質問の追跡調査について
一般質問において、市側が検討するなどと答弁したことについて、その後どうなったのかを調べる必要があるという議員の提案がありました。実際、大阪府議会では議会質問に対する答弁後、どうなっているかを報告する慣習があると聞いたことがありますし、長崎県大村市や北海道福島町では以前から進捗状況を報告する仕組みになっています。私が質問したことについて、市に実現していただいたことは多くあるのですが、一方で検討するといってその後でどうなったか分からないものもあり、担当する部門に個別に聞いていることも少なくありません。実現すれば、より政策を前に進められる助けになるかもしれません。
オンライン会議開催の情報収集と検討について
現在、6月定例会の常任委員会や特別委員会で、議員や理事者のパソコンやスマートフォン、タブレットが持ち込めるようになっています。引き続き、持ち込み試験を続けることになりました。傍聴者のみなさんもパソコンを持ち込んでメモを取っていただけるようになればいいのですが。
橿原市議会政治倫理条例について
政治倫理審査会を開く条件の一つに、有権者の100分の1以上の連署というものがあります。この条件は厳しい一方、議長の判断で開くかどうかを決めるのは権限が大きすぎるのでは、という意見が以前出ていました。なぜそのような意見が出たかというと、ある議員の行為が条例違反に当たるのではないかという意見が出て、政治倫理審査会を開くよう議長に求められたのですが、議長がその必要はないとして開かなかったことがあったからです。どんな行為かというと、ある議員が市議会議員や市監査委員の立場で、市の財政援助団体である協議会の長に就任していました。さらに、その就任時期に、協議会の過去の経理上の不備問題を把握できず、監査委員としても問題提起せず、経理問題の究明が不十分になったことがあったそうです。これらはいずれも条例違反には当たらないと議長、副議長が判断され、提案した議員も納得されました。ただ、本来は違反の疑いがあったら政治倫理審査会に調査を求めることになっており、議長、副議長が疑いがあるかどうかを調査するのは少しおかしなことになります。今後、政治倫理審査会を開くかどうかは、議長だけに委ねるのではなく、議会運営委員会に諮ることを検討していくことになりました。
子どもを連れて議会に出席することについて
今後、詳しく決めることになりました。
6月18日
一般質問
防災施策について
今回の一般質問では、前回3月に引き続いて防災施策を聞きました。いくつか成果もありました。橿原市では災害関連市の審査会設置に関して規定がなかったのですが、設置に関する条例改正を検討してくれることになりました。また、コロナ禍以降は防災訓練をしていなかったのですが、実施するよう求め、それも前向きな返事がありました。一方で、能登半島地震でも話題になっていましたボランティアについても質問しました。ボランティアセンターは橿原市の社会福祉協議会が運営することになっているのですが、社協の会長は亀田市長が務めています。災害時、橿原市の災害対策本部の本部長も亀田さんです。一緒にやれるとは思えません。いつ起こるかもわからない災害に向けて、少しずつでもいいから備えていく必要があると考えています。
矢追もと
おはようございます。まず、3月の一般質問に引き続きまして、橿原市の防災施策について質問いたします。例えば、車で避難生活を送っていた方のエコノミークラス症候群や避難生活による環境の変化で持病が悪化し、お亡くなりになった方々などが挙げられます。こちらも、審査の結果、災害関連死と認定されると、災害による直接死と同様に遺族に弔慰金が支給されます。
2016年の熊本地震では、災害による直接死の4倍にも上る方が災害関連死でお亡くなりになりました。それを受け、国は2019年、災害関連死の迅速な審査につながるとして、災害弔慰金支給法を改正し、「市町村は、条例の定めるところにより、審議会その他の合議制の機関を置くよう努めるものとする」と定められました。
しかし、5月7日の共同通信の報道では、主要87市区のうち48%に当たる42市が審査会の設置を条例に規定していないことが分かり、認定の遅れにより、生活再建に影響が生じる懸念があると指摘されています。
一方、岡山県倉敷市では、2018年の西日本豪雨を契機に条例で審査委員は10人以内で医師や弁護士とすることなどを定めているほか、三重県津市では、今月開かれている定例会で審査会設置を盛り込む条例改正の議案が提出されています。津市長は、「能登半島地震でも審査会が開かれず、災害関連死の認定に時間がかかるのを見た。いち早く審査や認定をして、弔慰金の支給ができるように機動的に対応したい」と語っています。
本市でも橿原市災害弔慰金の支給等に関する条例があります。お聞きしますが、本市は災害関連死の審査会の設置を条例で規定していますでしょうか。規定していない場合は規定していただきたいのですが、いかがでしょうか。
太田愛子福祉部長
橿原市では、条例のほうは今のところは制定をしていない。この審査会は、これまで、市町村が単独で設置する方法のほか、災害時における市町村の負担を軽減するという観点から、地方自治法の規定に基づき、市町村が都道府県との協議により規定を定め、都道府県に審査会の設置及び運営を委託することが可能とされていた。しかしながら、先ほど議員お述べのとおり、支給決定までに時間がかかることなども考えられ、令和元年8月の法改正により、審査会の設置を条例で定めるよう市町村に努力義務が課された。
議員お述べの災害関連死の場合も、市町村が災害により死亡したと認定した場合には支給の対象となる。災害関連死の認定には審査会での判断を必要とするので、発災時において、認定を正確かつ迅速に進めていくために、あらかじめ市町村が審査会の設置を条例で定めて備えておくことは、市民の生活再建の観点からも有効であると考える。
災害関連死と認定されることで、災害により直接亡くなった遺族と同様の支援が受けられるようになるので、審査会の設置については、市の方針に従って、各市の状況も踏まえながら、関係機関等との協議も進め、条例改正に向けて検討していく。
矢追もと
ありがとうございます。関連機関とも事前に協議を重ねながら検討していただけるということですので、ぜひ条例で規定し、迅速な対応ができるようお願いいたします。また、そもそも、災害関連死が減らせるような対策についても併せてご検討いただきますようよろしくお願いいたします。
○○○
矢追もと
防災施策でもう1点。コロナ禍以前、庁内を挙げて災害時の行動を確認するような訓練を行っていたとお聞きしています。しかし、昨年の新型コロナの5類移行後もそのような訓練は行われていません。毎年人事異動がある中で、万が一、今、災害が起こった場合、職員がそれぞれの持ち場でしっかり行動できるのか不安があります。また、単なる手順の確認だけではなく、近年の震災や線状降水帯などの水害の事例を反映させた訓練により、想定外を想定内にしていくような知識や経験値を上げていただく訓練が必要だと思います。同時に、各部局ごとに、訓練の機会を通して、年1回はそれぞれの担当する防災施策がおろそかになっていないか、国や他市町村の動きはどうか、関係機関との連携がなされているかなどを確認する機会にしていただきたいのです。
前回の一般質問でお聞きした福祉避難所や今回の災害弔慰金は福祉部局のご担当でした。ふだんは日々の業務でお忙しいことと思いますが、防災は総務部危機管理課だけでは完結しないことを改めて感じています。訓練を行うことにより、災害対策本部は、各部局からのフィードバックを受けて、課題を共有して、一緒に解決に向かえるような有意義な機会を毎年の訓練時に設けていただきたいと思います。
ちなみに、以前行われていた庁内の訓練には社会福祉協議会も参加されていたとお聞きしています。社協は、災害時、災害ボランティアセンターの役割を担うことになっています。能登半島地震では、ボランティアが被災地で活動しにくい状況が長期間続きました。ボランティアと被災者をつなぐコーディネーターの役割の重要性が再認識されていますが、社協は庁内の組織ではありませんので、訓練を通して市との情報共有を図ることは特に重要だと思います。
このような災害発生時を想定した庁内の訓練ですが、毎年実施すると決めていますでしょうか。決めていないのであれば、毎年実施すると定め、できる限り年度の早期に実施してほしいのですが、いかがでしょうか。
松村吉偉危機管理監兼総務部長
本市では、平成21年度以降、毎年度、災害対応業務に必要な体制の改善や情報処理方法などについて、職員参画によるワークショップを実施し、成果物の検証と職員の災害対応能力の向上を目指し、地震や風水害を想定した図上訓練を継続的に実施していた。コロナ禍以降は、感染拡大防止の観点から訓練を実施していない。
近年の地球温暖化に伴う気候変動による降雨の増大や、懸念される巨大地震の発生が予想される大災害に備えて、あらゆる事態を想定した防災訓練を実施しても、実災害時には想定されない事態が発生するという認識が重要。また、予期せぬ事態が発生し、マニュアルどおりにはいかない事態も十分考えられる中で、職員一人一人の防災に対する意識と現場の状況に合った柔軟な行動が求められる。想定外を想定内として捉え対応を可能とするためには、常日頃からあらゆる事態を想定した訓練を継続的に実施することが効果的だ。
本年1月1日に最大震度7を観測した能登半島地震では、多くの家屋が倒壊し、甚大な被害をもたらしている。本市でも、能登半島地震と同様の激甚災害が危惧されているので、職員を対象とした災害時の対応について、個々の役割行動を再確認させる訓練等は必要不可欠であると十分認識している。
災害を想定した訓練の実施は、市民の命、財産、生活等を守ることにもつながるので、今後、毎年度、できるだけ早い時期に職員の訓練を検討したいと考えている。
矢追もと
ありがとうございます。毎年、早い時期になるべく実施していくよう検討していただけるということですので、ぜひ有意義な機会にしていただきたいと思います。
それから、災害発生時にボランティアセンターを担う社会福祉協議会の代表者である会長は亀田市長となっています。市の災害対策本部長と外部機関である社協の会長の任務が重複していることで、災害発生時に、庁内だけではなく、社協の統制までも図ることができるのか、私はいささか不安を持っております。市議会のBCPを策定する際には、議員の活動と地域の自治会や防災会などでの役割の両立について、災害時に地域が困ることのないように、議員間で議論を深めながら、地元とも考え方を共有しておくことといたしました。市長は大きな責務を担っていらっしゃいますので、災害時にそれぞれの職務を全うできるのか。防災の観点からも、外部の役職について見直しや確認をされることも必要ではないかと思いますので、ご検討をお願いいたします。
学校図書館について
私はまちの魅力を向上させるひとつの方法が図書館のレベルアップにあると考えています。子どもたちの教育環境を向上させると同時に、社会人になっても引退しても学びはとても大事です。そのため、まずは学校の図書館(図書室)をレベルアップさせたいと考えています。必要なのは司書さんです。
矢追もと
次に、市立図書館と学校図書館についてお聞きいたします。まず、学校図書館の状況をお聞きします。学校図書館は、いわゆる学校の図書室のことを指します。学校図書館法において、「学校の教育課程の展開に寄与する」と定義されています。本市の学校図書館が適正に整備されているかを確認いたします。
最初にお聞きします。橿原市の小・中学校1校当たりの図書室への本の購入予算と、どのような根拠で予算を決めているか教えてください。また、本の冊数は文部科学省が定める学校図書標準の冊数を満たしているかと、本の廃棄に関して明文化した規定を設けているかを教えてください。
栗原照仁教育委員会事務局長
学校図書館の図書購入予算は、1校当たり小学校が18万5000円、中学校が24万円。この予算は、文部科学省が定めた「学校図書館図書整備等5か年計画」で公立義務教育諸学校の学校図書館に整備すべき蔵書の標準を令和8年度までに達成することを求められているが、本市は既に小学校1校を除き、標準の冊数に達している。小学校の達成率は平均114.4%、中学校の達成率は平均122.7%で、標準冊数を維持できるよう廃棄する冊数を補える金額を勘案し、予算の算定をしている。
しかし、本の廃棄に関しての基準を明文化しておらず、各学校の司書教諭の判断により、古いもの、破損・汚損等により著しく魅力がなくなったものなどを処分している状況で、統一性が図れていない。また、年度により廃棄冊数がゼロの学校もあり、適切に廃棄されず、利用されることのない本が放置されている可能性も考えられる。
学校図書館として求められる「社会の変化や学問の進展を踏まえた児童・生徒にとって正しい情報に触れる環境」の整備を図るために、学校図書館の図書の廃棄基準の明文化に向け検討していきたいと考えている。
そして、今後は、学校図書館のより一層の魅力向上のために、児童・生徒の学齢等に応じ、一人一人の教育的ニーズに応じた多種多様な形態の図書及び図書館資料の充実に努めていく。
矢追もと
ありがとうございます。まず、学校図書館には児童・生徒の関心や興味の幅を広げられるような蔵書と冊数があることが重要です。学校図書標準は、市内の一部の学校を除き、ほとんどが必要な冊数を満たしているとのご回答がありました。しかし、本の購入予算については、私は根拠が曖昧ではないかと思います。理由として、今お聞きしたように廃棄に関しての規定が設けられていないことが挙げられます。
全国学校図書館協議会が2023年に実施した調査があります。全国の無作為に抽出した小・中学校のうち、小学校302校、中学校179校からの回答を得たアンケートでは、成文化した廃棄基準が「ある」と回答した小学校は42.4%、中学校は42.5%でした。過半数以上とは言えませんが、2017年に行われた同様の調査より、小・中ともに7ポイントほど上昇しており、廃棄基準を明確にする動きが進みつつあることがうかがえます。
廃棄基準が明確ではない場合、廃棄や本の更新を組織的・計画的に行う重要性の認識が学校現場において十分ではない可能性があります。学校図書館協議会では、廃棄を行う際のよりどころとして学校図書館図書廃棄規準を定めています。例えば、この規準では、「受入後10年経過した図書」や「形態的には使用に耐えうるが、記述内容・掲載資料・表記等が古くなり利用価値の失われた図書」「新しい学説や理論が採用されていない図書で、史的資料としても利用価値の失われた図書」などは廃棄の対象とされています。また、図鑑においては、「刊行後3年を経ているもので、最近の研究成果にそぐわなくなった図書」など、種別ごとの規準も設けています。反対に、郷土資料や自校資料などは原則廃棄の対象としないことも定めています。
これに照らし合わせると、想像以上に廃棄の対象となる本が存在するのではないかと考えられます。人気の本の傷みが激しくなり、更新が必要な場合もあります。廃棄を行うには、それを補うため、新しい本の購入予算が必要です。
本市の学校図書館の本の購入予算は、先ほどのご答弁で、1校当たり、小学校で18万5000円、中学校は24万円とのことでした。先ほど紹介しました全国学校図書館協議会の調査によると、アンケートに回答した学校の2022年の実際の図書購入費は、小学校の平均で46万8000円、中学校は65万7000円でした。本市の予算とは倍以上の開きがあります。これらのことから、本市の学校図書館で本来なら適切に行われるべき廃棄と更新の循環が行われずに、古い蔵書を合わせた状態で学校図書標準の冊数を満たしているという可能性があります。果たして学校図書館法に定める教育課程の展開に寄与する場になっているのか検証が必要だと思います。
ただし、私は、単に本の購入予算を増やせばよいとは思いません。なぜならば、児童・生徒が利用できる時間が増えたり、適切に本を紹介し子どもに渡していく役割ができる職員がいなければ、図書は活用されず、宝の持ち腐れになってしまうからです。
また、蔵書を廃棄基準に照らし合わせてチェックし、更新の作業を担える人材が現状の学校現場には不足しています。先ほどのご答弁では、司書教諭が廃棄の作業を行っているというようなことも教えていただきましたけれども、司書教諭というのは担任も持っている教員が担っておりまして、例えば学校現場では図書委員会の担当の職員であり、また、年間を通して図書室の計画を立てたりという任務を担ってはいるんですけれども、担任の業務がありますので、主体的に図書館に関わる時間というのは大変限られている、そういった状態で小・中学校は運営をなさっているというのが現実です。つまり、物としての図書、それを扱える人材の両方がきちんとそろっていなければ意味がないということになります。
私の過去の一般質問と一部重複しますが、改めてご説明しますと、文科省は平成5年に学校図書標準を定め、小・中学校の学校図書館の蔵書数を1.5倍にする目的で学校図書館5か年計画を打ち出し、約500億円を地方交付税措置する施策を行いました。平成24年から始まった第4次学校図書館5か年計画では、蔵書の増加とともに、古い蔵書の更新分についても計画の積算に含まれるようになりました。また、同時に、学校図書館の運営を担う学校司書の配置を促し、同様に地方交付税措置が取られるようになりました。この学校司書は、司書教諭とは違って、図書室に専任で配置される職員です。また、平成26年には、学校図書館法の改正で、学校司書を置くように努めることと定められました。つまり、蔵書の購入だけではなく、更新にも取り組むことと、その管理や教育活動の支援を行う学校司書の配置について、国は10年以上前から自治体に取り組むよう地方交付税措置を行って促しています。先ほど、廃棄基準を今後は明文化していくように検討していただけるというご答弁もありましたけれども、こういった状況を全て合わせながら検討していただく必要があると思うんですね。
さて、本市の学校図書館に関する取組では、昨年度、晩成小学校で子どもの読書を推進する事業が行われたと聞いています。この事業について、どのようなきっかけで実施され、具体的にどんな取組を行われたかと、どのような効果があったかを教えてください。また、学校現場からの声などがありましたら教えてください。
栗原教育委員会事務局長
昨年度、晩成小学校で実施した読書活動推進事業に関してお答えする。
本市においては、令和4年度全国学力・学習状況調査の児童生徒質問紙において、「学校の授業時間以外に、普段、1日当たりどれくらいの時間、読書をしますか」という問いに対し、「全くしない」という児童・生徒の割合が、小学校で、全国26.3%に対し、市内児童・生徒は29.2%、中学校においては、全国39%に対し46.6%と、全国に比べ高い状況にあった。
そこで、この不読率の高い児童・生徒の読書習慣の形成に向けて、学校図書館の環境整備の推進と、学校において様々な読書活動を実施することにより、読書活動の推進と定着を目的として、県の委託を受けて、令和5年度橿原市「読書活動推進事業」に取り組んだ。
この事業の中で、「学校図書館のパワーアップ」と題し、市図書館の図書館司書職員が本の展示方法や空間づくりの工夫を進め、明るく楽しい雰囲気の図書館に生まれ変わった。また、事業の中で、子どもたちの本に対する興味や関心を高めるために、本を紹介して競い合うビブリオバトルや、子どもたちが絵本の内容を踏まえて読み札を考える絵本かるたの活動を、市職員の図書館司書がゲストティーチャーとして指導に当たった。さらに、その成果物を市立図書館に展示することで、参加した子どもたちが図書館に足を運ぶきっかけづくりにもつながっている。
なお、事業実施により得られた効果、そして成果として、次の点が挙げられる。
1つ目に、学校の授業以外に、月曜日から金曜日に「全く読書をしない」と回答した児童数の減少。
2つ目に、昼休みや放課後、学校が休みの日に、学校図書館や地域の図書館に、「ほとんどまたは全く行かない」と回答した児童数の減少。
3つ目に、家に「200冊以上」本があると回答した児童数の増加。
4つ目に、「読書は好きですか」という問いに対して「当てはまらない」と回答した児童数の減少。
5つ目に、市立図書館での晩成小学校区の対象年齢児童の令和3年度と4年度の同時期における貸出冊数の増加。
そしてまた、教員からは、「環境は整ったので、以前より児童たちにとって読書をする上でよい環境になった」「この環境を継続、またはよりよいものへと改善していく取組につなげています」といった声がある。
矢追もと
今教えていただきました。まず、橿原市の本の不読率、本を読まない子どもたちの数というのが全国と比べて大変高いと。特に中学校になると全国との開きが大変大きいということもお聞きして、ショックを受けました。全国は39%に対して、本市の中学生は46.6%ということで、危機感を感じております。教育委員会もそのように感じていただいて、まず晩成小学校では大変よい取組が行われたことをうれしく思っています。
ただ、今年度、このような取組が市内に広がっている様子をお聞きしておりません。図書の整備、人的配置、どちらもになります。先ほどお聞きしたような効果というのをほかの小・中学校にも広げていくことが、昨年度の事業をより効果的にすることに大変重要なことなのではないかなと感じております。
令和4年9月の一般質問では、学校司書配置を求める私の要望に対して、教育委員会事務局長より、「今期の5か年計画の期間中に全校配置に努める」と答弁されています。この5か年計画とは、文科省の第6次学校図書館5か年計画のことで、計画年度は令和4年度から8年度になっています。教育委員会は、学校司書の導入に向けて現在どのように動いていただいていますでしょうか。また、配置に向けたロードマップはありますでしょうか。教えてください。
栗原教育委員会事務局長
議員お述べのとおり、令和4年9月に、「橿原市の財政危機宣言下においては、市内の小・中学校22校全てに常勤で配置することは困難と考えているが、子どもたちが学校図書館を訪れる時間帯を、週のうちに何日かをカバーしたり、複数校の兼務や巡回での配置など工夫しながらの取組も1つの方法であるかと考えている。効果的な方法を検討し、今期の『学校図書館図書整備等5か年計画』の期間中に、市内全校への学校図書館司書の配置ができるよう努めていきたい」旨の答弁をした。
その後の取組といたしまして、学校司書の配置の検証を行うために、先ほども述べたが、昨年度、市図書館の協力を得まして、読書活動推進事業に取り組みました。また、葛城市立當麻小学校の図書室へ市の図書館と学校教育課の職員が先進地の視察に赴き、図書室の環境を見学し、学校司書から直接説明を伺ってもいる。
昨年度の読書活動推進事業の実績を基に、引き続き図書館との連携を図るとともに、学校現場の声を反映しながら、学校司書の効果検証を今後とも行っていきたい。
矢追もと
ありがとうございます。現在は学校司書が配置されておらず、昨年度のような取組が他の小・中学校へ広がっていないという現状は大変残念に思っております。また、今のご答弁で「図書館との連携」というお言葉もありましたけれども、それが今年度も実現が可能なのか、後ほどの質問でも触れたいと思います。
さて、昨年度は予算要求を伴う優先度の高い施策についての庁内ヒアリングが夏に行われたとお聞きしています。サマーレビューと呼ばれるものですが、ここで学校司書の配置は要望されましたでしょうか。されたとしたら、どのようなプレゼンで説明を行っているか、また、通常の予算要求とヒアリングの際のプレゼンはどのような内容で行っているかをお聞かせください。また、学校司書配置に向けて妨げになっているようなことがありましたら教えてください。
栗原教育委員会事務局長
学校司書の配置に向けて、財源としては第6次「学校図書館図書整備等5か年計画」により計画策定に伴う地方財政措置で交付されており、県内の状況として、県内12市のうち7市で既に配置されていることについて説明した。さらに、読書と学力の相関や読書活動推進事業の実績を踏まえて、環境整備や読書活動の充実、その効果についても説明した。
しかし、学校の教職員からは、スクールカウンセラーや特別支援教育支援員、心理相談員等の配置をより高い要望として伺っている。教育委員会としては、学校現場の教職員の声を聞きながら、適正配置に努めている。
学校司書については、読書活動推進事業による学校司書の有用性について説明をすることで、教職員の意識の高揚に努めたい。
矢追もと
ありがとうございます。県内でも学校司書を配置している自治体が7か所あるということで、そのような説明も付け加えてくださっているということでした。もともと奈良県というのは学校司書の配置率が全国でも低い県になりますので、それでも配置している自治体があるということ、あと、先ほどのご答弁でも、そういったところにも視察に行かれて、それが効果を上げているということは教育委員会では確認していただいていることと思います。
しかし、学校現場からは、スクールカウンセラーや心理相談員、特別支援教育支援員などのニーズが高いということですが、私の意見はそれらの配置を否定するものではありません。保護者の方からのご要望も多く、むしろ、私もそのような職員の方々が必要だと訴えてまいりました。
しかし、学校司書とそれらの職員をてんびんにかけざるを得ない状況が大変残念に思っております。人手が足りなければ現場が困るのは当たり前のことです。そちらのニーズがより高くなることは理解ができます。ただ、てんびんにかけざるを得ないだけで、学校司書の必要性を教育現場の方が全く理解していないわけではないと私は思っています。
令和元年の図書館協議会では、学校で図書のボランティア活動をされている委員さんから次のような発言がありました。「学校図書館の専任司書の配置の件につきましても、私たちの間から上がってきております。先日の社会教育委員会議でも、そういうご意見が上がりました。それはなぜかというとやっぱり学校図書館の専任の司書がとても必要だということが、子ども読書活動推進計画を経てようやく学校の先生方も感じてきていただいているということがあります」、このようにおっしゃっているんですね。また、続けて、ある小学校へ図書館の職員と行った際の話として、「先生方は本当に熱心に子どもたちの読書をどうしたら良いか、何を読ませたら良いか、そういう初歩のところから悩んでおられ、私たちもついつい力が入って、予定の時間を超えて2時間半ほど話させていただきました。そういう先生方のご要望に応えようとしたら、図書館の職員を頼りにされると思います」と、このようにおっしゃられていました。
私自身も図書の活動に熱心な先生とお話ししたこともありますし、他の自治体の学校を視察した際に、図書館の取組が活発でうらやましかったともお聞きいたしました。教育現場のニーズがないわけではないと思います。しかし、教室の中での支援や心理面のサポートの職員が足りず、やむなくてんびんにかけざるを得ない状況ではないでしょうか。学校司書は、文科省が以前から重要性を伝え、国の予算をかけていることです。本市にも地方交付税措置として国から下りているお金を適正に学校図書館へ予算化すれば、その状況はなくなります。本を読まない子どもが多いことを問題だとは思いませんでしょうか。それで充実した教育環境だと子どもに胸を張って言えるでしょうか。教育委員会の方々だけでなく、市長にも、財政部局の方々にも、理事者の方々全員にぜひ知っていただきたいんですね。もちろん、学校現場にもそのような地方交付税措置が行われていることを教育委員会はぜひ知っていただいてください。私は、令和4年の一般質問でも、「モデル校の取組からでもよいので、効果を確かめながらでも導入してほしい」とお願いをしております。
市立図書館について
橿原市の図書館にはたくさんの市民が来られます。市民が集まる、市内でも有数の場所です。そのため、図書館をよりよくすることは市民の生活向上につながります。そのサービスを維持するために欠かせないのは、こちらも司書です。最近、正規職員の司書がいないことについて質問しました。
矢追もと
さて、少し目線を変え、橿原市立図書館についてお聞きいたします。令和3年9月定例会で私が図書館計画の策定を要望した際、当時の文化・スポーツ局長より、「図書館サービスの計画を立てたい」と答弁されていました。その後どのような動きをされたかを教えていただけますでしょうか。
栗原教育委員会事務局長
令和3年9月定例会で「図書館サービスの計画を立てたい」との局長答弁を受けて、橿原市立図書館を地域の情報や文化の拠点として貢献し、親しみを持ってもらえる図書館を目指し、「図書館サービス向上の取り組み」の策定を進めた。
策定に当たり、まず図書館の利用状況やニーズを把握するために、利用者アンケートを実施。また、関連ボランティア団体や団体貸出しを利用している小学校などにもそれぞれアンケートを実施した。
そのアンケート調査の結果や現状を踏まえ、令和5年2月に「『図書館サービス向上の取り組み』だれもが親しみをもてる図書館~みんなの『知の拠点』を目指して~」を策定した。
その計画の中では、市民の方々により親しみを持ってもらえる図書館を目指し、4つの項目を掲げている。第1に「市民の求める情報を収集し、地域の情報や文化の拠点を目指します」、第2に「みんなが親しみやすい図書館を目指します」、第3に「市民や学校などとの連携をさらに密にし、開かれた図書館を目指します」、第4に「図書館をより居心地のよい場所にすることを目指します」とした。
策定後の具体的な取組を申し上げると、第1の情報収集は、国立国会図書館デジタル化資料送信サービスを開始し、市民が絶版等で入手困難な資料にアクセスする機会を提供した。
また、第2の親しみやすい図書館として、利用の少ないヤングアダルト世代(中学生・高校生を中心とした世代)や20歳代の働く世代へ本の紹介、SNSでの情報発信、来館を促す行事などを行い、利用促進に努めている。
第3の市民や学校との連携に関しては、団体貸出しのサービス向上を目指し、「どんな本を選んだらいいか分からない」という声があったので、学年別に読んでほしい本のセットを作成し、学校などへ団体貸出しを行っている。
第4の居心地のよい図書館に関しては、新聞コーナーを移動し、そのあった場所に「こどもと本のひろば」を設置し、子どもと保護者がゆっくり利用できる読書環境を整備した。
以上が計画策定とその後の取組です。
矢追もと
ありがとうございます。アンケートなどを通して、どのような取組が必要なのかを考えていただいた結果、様々な図書館内での変化、私も実際に感じております。私の周囲からでも、「最近、図書館がとてもよくなった」「子ども連れで利用しやすくなった」といううれしいお声をいただいています。
また、親子で利用していた時期を経て、中高生になると利用が減ってしまいがちでしたが、ヤングアダルトコーナーの設置によって、お子様から大人になるまで継続的に利用がしやすい環境を整えるよう努力してくださっていると感じています。
また、学校の司書がいない状況で、学校に対し選書に関してのアドバイスや団体貸出しを行う、そういった形で図書館が学校図書館のサポートを行っていただいている、教員のサポートを行っていること、また、先ほどの晩成小学校の取組では、市立図書館との連携が重要で、市立図書館の職員、司書資格のある職員が学校に赴いて取り組んでいただいた事業が数多くあったということです。
しかし、今年度、その図書館の職員の配置について大変気になる状況になっているとお聞きいたしました。昨年度3人いらした司書資格を持つ正職員が、異動により今年度は1人だけになっているということです。しかも、その職員は館長補佐であり、管理職の役割を担っています。司書資格は、一般に、図書館において、資料の選定から貸出し、読書案内に至るまでの全般的な業務を行う資格です。選書、本の分類などを行う作業には専門的な知識が必要になります。また、資料や情報を探すお手伝いをするレファレンスの業務には多角的な知識が必要になります。司書でなくとも経験を積めば可能な点もありますが、有資格者であれば必要な素地がありますので、より円滑な業務を担保していくことにもなります。今回、司書資格を持つ職員が1人になったことで、専門的知識が必要な業務が1人の職員に集中し、さらに、次世代への業務や知識の引継ぎに大きな課題が生じています。
さらに、学校図書館との関わりで言いますと、昨年度の晩成小学校の事業に主体的に関わっていた司書資格を持つ職員が異動になったことで、昨年度の事業を他の小・中学校へ伝えていくといった流れが断たれてしまいました。今年度は人員的にも類似の取組を行うことが不可能であると図書館からはお聞きしています。せっかくよい取組をされた成果が広がっていかないことが残念でなりません。
司書資格のある職員を配置してほしいという意見は、先ほどお話しした図書館協議会の中でも委員からの要望として上がっています。本来であれば、司書資格のある職員を各世代ごとに配置し、正職員で複数名いることが理想であると考えます。異動があることを考えれば、昨年度のように司書が3名いる状況は最低限でも必要です。来年度はぜひ昨年度以上の司書の有資格者の配置をお願いしたいのですが、市のお考えを聞かせてください。
戸田高志企画戦略部長
議員のご質問にあったとおり、昨年度を含めここ数年の司書資格を有する市職員の人数は、管理職に1名、一般職に2名、計3名が配置されていたが、令和6年度は管理職に1名のみとなっている。
なお、カウンター窓口につきましては、現在、民間に業務委託しており、12名が業務に従事しているが、そのうち10名が司書資格を有している。
図書館における有資格者の人数が減ったことについて、教育委員会事務局から安定した専門職の配置要望があったが、現在の各課の業務状態や配置人数、退職者数、各部局長からの人員に関する要望、職員カルテによる申告等様々な本市全体の状況を踏まえた上で、総合的なバランスを考慮して、人事異動を行った結果だ。
一方で、「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」というのが平成24年に文部科学省から告示されており、その中の「第二 公立図書館」の「一 市町村立図書館」の「4 職員」という項目の(一)に職員配置等が示されている。
まず1には、館長は司書となる資格を有する者を任命することが望ましく、2には、専門的なサービスを提供するために必要な数の司書及び司書補を確保するよう努めることとされており、努力義務規定になっている。
しかしながら、議員のおっしゃるとおり、専門職である司書としての知識を問題なく承継していくためには、各世代ごとの職員が複数名配置されていることが理想的な状況であることは、本市人事当局及び教育委員会人事当局としても十分に認識はしている。今年度は有資格者数が少ない状況だが、来年度の人員配置では、人事異動なのでこの場で確約はいたしかねるが、市役所全体での状況等を見て、総合的なバランスを考慮した上で、できる限り世代の異なる複数の司書資格を持つ職員の配置について検討していきたい。
矢追もと
はい、ありがとうございます。重要性を認識していただいているということですので、来年度の人事配置はぜひよろしくお願いいたします。
また、業務委託を受けている1階のカウンター業務をされている方々と正職員では業務内容が異なりますので、1階の方々に正職員が担っている業務をやっていただくということは現状ではすることができません。そういったことも鑑みてご検討をお願いいたします。
本市が業務の継続性を重視して、学校図書館司書の配置をまた目指すということであれば、昨年度の晩成小学校の事業を経験した図書館司書が今年度から配置された学校司書に事業を伝えていくという流れがあるということもまた理想でございました。今回の人事により、庁内全体で共有しているようなロードマップがないということは明白になりましたので、事業の継続性や発展性にも目を向けていただきたいと思います。
また、図書館は単なる本の貸出しサービス施設ではないということも意識していただきたいんですね。1954年に日本図書館協会の総会で採択された「図書館の自由に関する宣言」というのがあるんですが、「基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することをもっとも重要な任務とする」というふうに書かれています。図書館の自由の状況というのは、一国の民主主義の進展を図る重要な指標であるともされておりまして、図書館員はこの理念の実践者ということにもなります。橿原市も例外ではありません。橿原市の図書館にもぜひこの宣言を掲示していただきたいなというふうに思います。
学校図書館について
学校司書を導入してほしいとこれまでにも提案してきました。実は国は、すべての学校に司書を置くように求めており、そのためのお金も配布しています。しかし、橿原市はその分のお金を他のことに使ってしまっているのです。教育委員会は学校司書を置きたいという意志がありますが、そのためのお金を別に使っている市長部局は学校司書にお金を回そうとしてくれていません。子どもたちの教育環境のため、私は引き続き、このことは声を大にして訴えていきます。
矢追もと
さて、再び学校司書の話に戻ります。文科省の「学校図書館ガイドライン」には、学校司書の役割に児童生徒や教員に対する「間接的支援」と「直接的支援」、教育目標を達成するための「教育指導への支援」という3つの観点を挙げています。教員のサポートも業務に含まれるということに注目をしてください。
例として、ある学校司書の取組を紹介します。事業で図書館での調べ学習を行う場合、司書はあらかじめ教員と相談し、学年の習熟度に合わせ、子どもたちが記入しやすいワークシートを作成したり、授業前にテーマに即した図書を集めて並べておいたり、調べ方を教えたりすることができます。司書が指導に加わると、より多くの子どもに目が届くだけではなく、クラスが違っても同じ学年で同じような指導が行えたり、昨年度の指導方法を教員に伝えることもできます。昨年度の晩成小学校の取組は、子どもと本の距離を近づける読書推進活動でした。しかし、文科省は学校図書館の機能の1つを情報センターというふうにしています。現在、1人1台タブレットを使えるようになっていますが、ネットと本、どちらも活用し、情報活用能力を身につける場所でもあるとしているのです。
先ほど例に挙げた調べ学習はその能力を高めるために有効な方法です。図書室は単に本を読む場所・借りる場所という固定概念を取り払い、ぜひ資料を使いこなして、情報活用能力を身につける場所だと認識していただきたいのです。
全国でも学校司書の配置率が低い奈良県では、そのような学校司書の働きをご存じない教育者も多いのではないでしょうか。公益財団法人図書館振興財団は、「図書館を使った調べる学習コンクール」を毎年開催しています。このコンクールは、図書館や学校図書館を使って、自分が不思議だなと思ったことをテーマに図書を使って調べ、まとめるもので、全国コンクールへの直接応募のほか、自身の住む地域の教育委員会や図書館が開催する場合は、そちらへ応募し、優秀だった推薦作品は全国コンクールに送られるという仕組みです。当然、自治体内で開催したほうが認知されて応募率は上がります。学校単位で児童・生徒が取り組み、地域コンクールを開催する自治体もあります。奈良県でも平群町、宇陀市、五條市、御所市、大和高田市、桜井市で実施していることが分かりました。このような取組は、子どもと図書館との距離を縮め、情報活用能力を向上させることに大変貢献すると思います。このようなコンクールの開催の検討もお願いいたします。
また、子どもたちの調べ学習、特に中学生ではレポートの課題が出ることが多いですが、図書館のレファレンスを活用して資料を探せることや、そのような情報収集の大切さが子どもたちに伝えられていません。子どもたちだけではなく、教員にも認識が足りていない可能性があります。ぜひ教員からは、ネットだけではなく、図書館を利用するよう促したり、図書を活用した生徒を評価するような取組を行っていただきたいのです。
まとめますと、図書館は本を借りるだけではなく、資料探しの手伝いをしてくれる場所だということを子どもたちにぜひ教えてあげてください。そのためにも、学校図書館の古い蔵書は新しい資料に更新し、充実させ、情報センターとして活用できる場にしてください。また、中学・高校生は、図書館にヤングアダルトコーナーができたことや、4月から万葉ホール1階に自習スペースができたことで、図書館と万葉ホールを若者の居場所・学習の場としてより積極的に活用してもらいたいと考えます。もちろん図書を利用した自主は図書館内でも可能です。図書館と万葉ホール、学校現場が連携して積極的に利用方法を伝え、活用してもらうよう、保護者や子どもへの周知を行っていただきたいです。また、子どもたちと本をつなぎ、教員をサポートし、情報教育を促進するための中心的な役割として、再度、学校図書館司書配置を要望いたします。市のお考えを聞かせてください。
栗原教育委員会事務局長
子どもたちの情報活用能力を高めることは非常に重要だと考えている。その際に、Chromebookを使ってインターネットで調べるだけではなく、図書室に足を運んで、図書を活用することは非常に有益。
新しい資料や関連図書を増やし、議員お述べの「調べ学習コンクール」を開催することで、子どもたちはおのずと図書室に足を運ぶようになると考える。また、その際に、学校司書が関連図書のコーナーをつくったり、目に留まりやすいPOPなどを掲示したりすることで子どもたちの興味を引きつけることにつながる。また、学校司書が子どもたちに選書の助言をすることにより、読書意欲はより一層高まることが期待される。
また、学校図書の蔵書に関しては、先ほども答弁したが、図書の廃棄基準を明確にすることにより、順次新しい本や資料に更新していけるものと考えている。
そして、さらに中高生に対しましては、広報誌やホームページ、あるいは学校・各施設を通じて、図書館のヤングアダルトコーナーや、また万葉ホールの自習スペースの利活用に関して促していきたい。
学校において図書館が十分に活用され、子どもたちにとって学びにつながるように、引き続き学校司書の配置に向けて、読書活動の推進に努めてまいりたい。
矢追もと
はい、分かりました。万葉ホールの多目的ロビーの自習スペースは最近利用者が増えてまいりました。夏休みはより利用者が増えることが予想されますので、長期休み限定で席を増やしたり、グループ学習ができる場をつくるなどの対応についてもご検討をお願いいたします。先ほどご答弁いただいた内容、さらに今後、力を入れて積極的に動いていただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
最後に市長から
最後に亀田市長に答弁をもらいました。
矢追もと
最後に市長にお聞きいたします。1つ目の防災施策について、条例での規定、また、庁内の毎年の防災訓練を要望いたしました。防災への積極的な取組がどの部局でも必要なことは明白です。ぜひ災害対策本部長として、各部局と課題共有し、取組の促進をお願いいたします。
また、図書館、学校図書館について、全国と比較しても、子どもたちに胸を張れるような市立図書館、学校図書館を整備し、活用するすべを知っている子どもたちを育ててください。そのための学校司書は必ず必要さとされる人材ですので、配置をお願いしたいと思います。市長のお考えを聞かせてください。
亀田忠彦市長
まず、防災について。災害関連死の審査会の設置については、一定規模以上の災害が発生した場合、多くの人々が避難生活という日常とはかけ離れたつらい日々を送ることになることが想定される。そういった状況の中でも、少しずつふだんの生活に戻していかなければならない。そのための1つとして、先ほどからご質問いただいていた災害弔慰金がある。市として迅速に正確に支給決定を行うことで、少しでも市民の方の力になればと、そんなふうに考えているので、先ほどからも部長の答弁にもあったが、早急に関係機関と協議をし、体制を整えていきたい。
次に、防災庁内訓練についての質問があった。議員がおっしゃられるように、私自身もその必要性については十分に認識している。ただ、言い訳になるかもしれないが、コロナがあり訓練ができていなかったという時期が当然あった。ただ、昨年から5類に移行して1年近くがたっている。私も含めて、都度都度、担当者レベルでしっかりと確認をするとかシミュレーションするとかということの必要性をさらに今回の質問で感じているので、早急にこういったところも実践に移したい。当然、災害レベルに応じて職員の一人一人がどんなことをしないといけないのかということはあらかじめ設定はしているが、意識をより高めるためにも、訓練、庁内の図上訓練であるとか、そういったことがしっかりとなされるように頑張っていきたい。プラス、当然、行政だけの力ではなかなか行き届きませんので、自治連合会も毎年訓練しているし、自主防災組織を中心に皆さん方の活動も積極的に進むようにしっかり支援していきたい。
もう1つ、読書をさせる必要性は私も十分認識している。何回も質問いただいているので、なかなか成果が出ていないのが大変申し訳ないが、引き続き、市立図書館あるいは学校図書館司書の配置についても、いつもぎりぎりまで非常に悩んで予算編成をしているが、しっかりと、読書の必要性を感じながら検討していきたいと考えている。
矢追もと
ありがとうございます。学校図書館の取組は教育委員会だけの力では完結いたしませんので、ぜひご理解をいただきますようよろしくお願いいたします。橿原市には学校司書はいませんが、市立図書館には学校司書に関する図書が複数ありますので、私が今日お伝えし切れなかったこともこちらのほうには書かれております。ぜひ読んでいただけたらと思います。以上で私の一般質問を終わります。ありがとうございました。