3月議会のメニューは…
・厚生常任委員会
・文教・厚生常任委員会連合審査会
・市庁舎建設事業等に関する特別委員会
・市スポーツ施設の活用及び整備等に関する特別委員会
・議会改革特別委員会
・一般質問(これまでのやり方を変えようと訴えました!)
3月7日
厚生常任委員会
橿原市国民健康保険条例の一部改正について
出産一時金がきちんと利用されているかどうかをチェックしました。
矢追もと 国自体の変更ということなので自治体の変更ということではないとは思うんですけども、今回、出産育児一時金の大幅な増額もされていて、私が出産したときとは大分金額が変わったなというふうな印象を受けています。この出産一時金は、市内で出産される方は100%ご利用されているのでしょうか。 こども・健康スポーツ部副部長兼保険年金課長 出産育児一時金に関しましては、各健康保険で対応している。橿原市の国民健康保険に加入している方は出産時、以前までは本人に支払いだったが、今は医療機関で受領委任払いという制度があり、医療機関が出産にかかったお金を請求し、医療機関に振り込む。4月1日からは50万円ということになるが、万が一、出産費用がこの費用に達しない場合は、その差額を本人に返すことで対応しているので、100%賄っていると考えている。
橿原市休日夜間応急診療所条例の一部改正について
休日夜間応急診療所は利用者数が減っているとはいえ、民間でできない年末年始などの長期休暇時などでのニーズがあることを質し、開いている日時などをSNSなどでしっかり周知することをお願いしました。
矢追もと 橿原市休日夜間応急診療所の歯科の診療時間のほうの変更ということなんですけれども、今回の変更の理由と、根拠になったようなデータなどがあるようでしたら教えてください。 健康増進課長 最近の休日夜間応急診療所の歯科の患者数が近年減っていた。医科はインフルエンザなど流行性疾病によって患者数は上下するが、歯科は年々減少傾向が続いている。そんな中で現状を調査した。その中で分かってきたのは、夕方以降は橿原地区内の患者数の割合が大きく減ってきている。民間歯科医院が日曜日でもやっているところが市内に少なくとも3医療機関ある。あと、近畿2府4県と三重県の休日診療所の歯科の診察・診療時間を調べたが、夜間診療をやっているところがほとんどなかった。やっているのは大阪府と堺市という大都市部だけ。そのような中から、民間レベルでの休日診療のニーズの対応が進んでいるということと、大都市を除いて近隣に夜間診療をやっているところがないという状況で、橿原市休日夜間応急療所においてもそうできると判断した。休日夜間応急診療所運営委員会に諮り、最終、歯科医師会の判断に一任するということで、最終的に歯科医師会の臨時総会で承認されて決定した。 10年前と比べると、平成23年、24年が同数で年間525名だった。令和3年度には312名で4割ほどの減少。コロナ前の平成30年でも435名で2割弱の減少。1日当たり令和3年度で4.3人、平成24年の7.2人から減少している。 矢追もと ありがとうございます。民間歯科が土日も診療されているところがあると確認されたと。そういうところに行かれる患者さんがいらっしゃるなら、当然、休日夜間のほうの患者さんも減るのかなと。私もちょっと見てみましたら、確かに市内でされているところがありました。ただ、診療日で言いますと、休日夜間応急診療所の場合は、年末年始ですとか、主に祝日ですよね。ゴールデンウイーク、お盆休み、そういったところも診療を行っているので、そういったところはやはり民間ができないところをカバーしていく必要があるのかなというふうに思っております。 そういったことをご存じない方のために、やはりそういった時期に合わせて、市のほうから何らかの情報発信というのをしていただくことが私は必要かなというふうに思っているんですけれども、今それについてはどのような方法で行っていらっしゃいますでしょうか。 健康増進課長 この条例改正が今年10月1日から考えており、半年以上ある。その間、時間変更を十分にお知らせしていきたい。具体的には、市のホームページ、LINE、休日夜間診療所内の掲示も考えている。県下、中南和の拠点という位置づけもあるので、県にも周知のお願いできたらと考えている。 矢追もと 変更に対しての情報発信ももちろんそうなんですけれども、年末年始、ゴールデンウイーク、お盆休み、そういった時期の少し前などの時期をきちんと捉えて市民に発信していくというふうなことについて、どのようにされていましたかということでお聞きしたいと思っております。 健康増進課長 年末年始、ゴールデンウイーク、お盆に限って、それを機会に周知することは今のところしていないが、今回の改正で変わることを改めて周知する必要があるのではないかと考えているので、その時々において周知する方法も検討したい。 矢追もと ありがとうございます。市町村によっては、広報などで、そういった時期の広報に掲載するであるとか、公式LINEで発信するであるとか、あとは、今でしたら公式LINEの下のメニュー欄なども今後活用する可能性というのは大いにあるのかなと思っておりますので、そういったところから手軽に市民が情報を知ることができる、事前にそういった時期の医療体制というのがどうなっているのかということも認識した上で行動していただけるような情報発信というのを私はしていただきたいなと思っておりますので、ぜひご検討いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
橿原市環境総合計画について
環境総合計画案について、2022年12月23日から2023年1月23日までパブリックコメントをとっていました。8名の方から15件の意見があったそうです。すべてウェブ経由でのものでした。すでに環境総合計画としてホームページに掲載されていますので、よければご一読ください。https://www.city.kashihara.nara.jp/soshiki/1029/gyomu/2/5/892.html
矢追もと 今回、パブリックコメントの内容で、ウェブ入力フォームで7件というふうな数のご意見が集まっています。パブリックコメント、数が大変少ないパブリックコメントもあると思うんですが、今回こういったウェブ入力ホームを使って、以前よりも手軽に自分の意見を言えるようになったというところもあったのかなというふうに私は勝手に想像しているんですが、入力フォームを使って寄せられたような意見というので、理事者の方がお感じになっているご意見の集まり方、それと、その内容についてどのように受け止めていらっしゃるかお聞かせいただきたいです。 環境政策課長 いただいた意見15件のうち、ほとんどが個別の実際の取組についての意見だった。例えば狭い路地での電柱の突き出し、道路整備についての質問だったり、ごみ出しマナーに関する意見などだった。質問に対する回答や今後の環境施策の参考することを回答している。 矢追もと ありがとうございます。ふだんから市民の方から細かに私どもも要望をいただくことがあるんですけれども、なかなか市に直接言えないような方もいらっしゃるんじゃないかと。こういう機会に皆さんの意見が吸い上げられた点がよかったと思います。こういうふうなご意見をふだんでしたらどこに、どういうふうに伝えたらいいのか分からない方も結構いらっしゃるのではないかなと思います。今回こういった大きな計画の上でのパブリックコメントでしたので、どうしても市民の方の身近な問題というよりは、大きな視点での計画になることから、少し理事者の方としては的外れになってしまうような個別の案件が多かったのかもしれませんけれども、市民の方はふだんからそういったご意見をたくさんお持ちなのではないかなというふうに感じました。そういったご意見、どういうふうに今後吸い上げるようなお考えがおありかお聞かせいただけませんでしょうか。 環境政策課長 日頃は電話、それからメールのほうでも質問、意見等を吸い上げており、そちらのほうで。今後はSNS等も利用しながら吸い上げていきたい。 矢追もと ありがとうございます。前にデジタル戦略課がLINEのフォームを使って、まちの中のお困り事をいろいろと募集しますというふうにされたところ、かなり多くの反響もあったというふうなことを聞かせていただいています。こういったウェブ入力フォームにすると、またとても分かりやすいですし、メールよりも件数が増えてくる可能性もあるのではないかなと思いますので、今後、市で何かの意見吸い上げの際にこういったフォームの活用というのは大いに考えてもいいかなというふうに思っております。よろしくお願いいたします。 矢追もと 廃油を1リットル1円で引き取っていただいているという話なんですけれども、先日、環境政策課さんのほうに行かせていただいて、もしかしたらもう少し高値で今買い取りしていただける状況があるんじゃないかと相談させていただいて、今後、市のほうでも検討していただけるのではないかと思っているんですけども、その後の状況をお聞かせいただけないでしょうか。今、燃料代が上がってきて、廃油というのが結構高値で取引されるようになってきているというふうなことをお聞きしていますので、今の関連の質疑で、もう少し詳しく教えていただけたら。 環境政策課長 委員お述べのとおり、現在、油高騰が起こっている。来年度に入札できるかどうか調査し、できるものであれば入札してもう少し高値で売れればと考えている。拠点はなかなか増やすのが難しい状況だが、クリーンセンターやリサイクル館でも平日に受け取れないか、部内でも運用を検討している。早ければ来年度、クリーンセンターやリサイクル館でも平日の8時半から17時15分の間、家庭用の廃食油の受付をしていけたらと考えている。 矢追もと 「家庭の油田」というふうな言い方で例えられることもあるというふうにお聞きしていますので、ぜひ検討を進めていただきたいと思いますし、それが市の収入になっていくのであれば大いに活用できる可能性があると思います。どうぞよろしくお願いいたします。
文教・厚生常任委員会連合審査会
橿原市保育所・幼稚園の適正配置について
市内の保育所や保育園について、今後の配置計画案の説明がありました。市内には公立の保育所・幼稚園を一体化したこども園が5園、幼稚園が10園あります。現在、こども園に入園を希望しても入れない待機児童が令和4年4月1日時点で172人います。一方で、幼稚園は園児が減少し、各学年10人いないところもあります。市は幼稚園には集団生活が絶対に必要なのでこのままでは維持が難しいとしています。施設の老朽化なども進んでいるため、市は幼稚園を統廃合しようとしています。
市は小学校の統廃合でもこうした「集団生活」を理由の一つにしていますが、それはこどもの数に比べて施設が少なく教室に子どもが詰め込まれていた大昔の状況を良しとするだけのことで、少人数と比較した優位性を科学的データで示されていたりしていません。国も少人数学級を進めようとしているなか、私は集団生活が絶対条件だとは思いませんし、市教委が「教育的効果」を前面に押し出すことについて懸念しています。ただし、後述の一般質問のところを読んでいただきたいのですが、地域の人口や世代構成などによって保育などのニーズが偏っているため、その偏りに合わせた再編は必要だと考えています。
市のホームページに資料があり、そちらから各表などを引用しています。
市が進めてきたこと
平成21年 幼児教育のあり方と適正配置についての基本方針を策定
平成31年 就学前の保育・教育のあり方と適正配置についての基本方針に改定
令和3年度 公立幼稚園3園で3歳児保育の実施。預かり保育時間を拡充
令和5年度 橿原市保育所・幼稚園適正配置実施計画を策定
適正配置実施計画の内容
幼稚園に関する方針
・1クラス34名を維持。各学年は複数クラスがあることを適正規模とする。
・適正規模を満たさない幼稚園は一定規模の園児数を満たすクラス編制が必要。
・統廃合、民営化、認定こども園化を検討する
・統廃合の場合、原則、増築はしないが、認定こども園への転用には施設改修が必要。
再配置の手法
1・公立幼稚園の再編
各学年1学級の公立幼稚園を統合、認定こども園化などを検討する。市内を5エリアに分け、エリアに一つは公立幼稚園を置くよう、建物の更新時期をめどに再編する。
2・認定こども園の整備
認定こども園では保育・教育を一体的に行う。幼稚園利用(1号認定)のこどもも3歳児から入園でき、預かり保育、給食の利用もできるようになる。保育所利用(2、3号認定)のこどもの場合、保護者の方が仕事を辞めても認定区分を1号に変更して通園を続けられる。
市のこども園では区分に関係なく、同じ内容や時間で一緒に遊んだり、給食を食べ、幼稚園と保育所での違いは時間だけ。教育内容に違いはない。市のこども園も認定こども園への移行を進め、移行後は1号認定(幼稚園利用)の3歳児を新たに受け入れることを進める。
3・民営化の検討
市認定こども園の設置、直営には莫大な費用が必要。しかし、民間が認定こども園を整備する場合は国が財政支援するため、整備にかかる市の負担は4分の1以下になる。そこで市としては民間参入を進めるとのこと。130人定員の認定こども園を市が直営で建て替えると、4・8億円かかるが、民間が整備すると市の負担は1・1億円で済む計算。また、運営費も市直営だと保護者が支払う保育料以外はすべて市が負担するが、民営化すると国と県とで分けるため、市は4分の1の負担ですむ。(子どもが減っていく中で、こども関連施設はいつか多くが不要になるということを見越した動きなのでしょう)
一方で、民間運営に不安を感じる保護者がいるのは当然とも認識しており、公立幼稚園のやり方を引き継げるよう、保育・教育内容に市が関われる「公私連携幼保連携型認定こども園」というやり方を検討する。市と学校法人または福祉法人が協定を結ぶ。公立園でのやりかたを引き継ぐことや、こどもの障がいなどを理由に入園拒否をしないよう求めたり、あらたな保護者負担が生じることについては市、法人、保護者でつくる三者協議会の同意が必要になることなどを協定書に盛り込む。
4・公立幼稚園での3歳児保育の実施と預かり保育の拡充
令和3年度から真菅北、晩成、白橿の公立幼稚園で3歳児保育を実施しているが、保育士不足などですべての園では困難。整備した認定こども園や再編後の幼稚園で検討していく。
5・規模が小さい園について
市は公立幼稚園の再編を考えた一番の理由として「子どもの育ちに極めて大切な集団生活が送れないほどの小さい規模になっている園があり、学校教育法で幼稚園教育の目的として定められている集団生活を通じ、喜んでこれに参加する態度を養うといったことが達成できないところがある。就学前教育の実施が困難」と説明。5人程度のグループが3つ以上つくれる15人を最低限の集団規模とし、14人以下の状態が2年連続した園は3年目から近い園と合同保育することを検討する。令和6年5月1日から実施する。
再編で校区に通える公立幼稚園がなくなるこどもは、他で優先的に受け入れたり、園区に関係なくどこの園にも入れるようにすることを検討する。通園支援なども考える。建物の建て替え時期が迫った幼稚園や規模が小さい園を優先して再編の対象とする。
エリア別の方針
北西部エリア
真菅北幼稚園の建て替え時期が近いため、真菅北、耳成西の2園を再編し、認定こども園として民営化する。真菅幼稚園は残して3歳児保育を検討する。第2こども園は認定こども園に移行し、令和11年度以降は民営化も検討する(他エリアのこども園も同様)。
北東部エリア
耳成南幼稚園の建て替え時期が近く、耳成と耳成南の2園は統合して公立幼稚園とし、3歳児保育を検討する。以前は民営認定こども園を検討していたが変更。
東部エリア
晩成幼稚園は現状のまま。香久山幼稚園は過小規模なので令和6年度から園区を一部廃止して、他の校区からも通えるようにする。第1こども園は認定こども園化する。令和11年度以降は香久山と第一こども園の再編を検討し、民営化も視野に入れる。
南東部エリア
畝傍南幼稚園は過小規模なので令和6年度から園区を一部廃止し、他の校区からも通えるようにする。畝傍東幼稚園は現状通りだが、令和11年度からは畝傍南との再編を検討する。第4こども園は認定こども園化し、民営化を検討する。
南西部エリア
白橿幼稚園は現状維持。第3、5こども園は認定こども園化し、民営化を検討する。
スケジュール
令和10年度までの再編
令和11年度以降の再編イメージ
真菅北幼稚園と耳成西幼稚園の具体的な整備内容
概要
令和4年度時点でそれぞれの園が各学年1クラス。市がさだめた過小規模園になっているため、再編して施設を新しくし、認定こども園として民営化する。運営法人は実績などが優良な法人を選ぶため、学識経験者や保護者代表の方々で構成する候補者選定委員会を設置する。また、民営化1年前から段階的な引き継ぎをおこない、保護者、法人、市でつくる協議会を設置して、こどもに配慮し、保護者の意見を反映した運営とする。
法人の募集条件は以下。
・保育・教育内容は市の指針などに基づき、公立幼稚園・子ども園の内容を承継する
・国籍や経済的状況、障がいなどを理由に不当な扱いをしないこと
・1号認定を校区内で希望するこどもは原則全員入園させること
・移行1年前から引き継ぎを受けること
・保護者負担が増える場合は市と法人、保護者の三者協議会で同意を得ること
施設の基準
スケジュール
真菅北幼稚園は令和6年度末で閉園し、真菅北小学校区の児童は令和7年度から別の園に通う。園舎は同年度に解体し、翌年度に新築工事を始める。真菅北幼稚園の3歳児保育は令和7、8年度の2年間を耳成西幼稚園で実施。耳成西幼稚園は令和10年度末に閉園する。
市側の説明でわからなかったところを質問しました。
矢追もと 過小規模園になった園については、近くの園との合同保育というのが書かれているんですけれども、この合同保育というものはどういったものを表しているのか教えていただけますか。 こども未来課指導主事 過小規模園になった園のこどもは、近くの幼稚園で保育を受けてもらう。1クラスで1人の先生でみる形で考えている。 矢追もと いろいろな条件がたくさん出てくるので整理してお聞きしたいんですけれども、例えば香久山幼稚園は既に過少規模園になっているということです。それで、2年連続で過小規模園だった場合は近隣の公立園での合同保育すると。さらに過少規模園になったところは令和6年度から部分的に園区を廃止ともあります。そうなると、香久山幼稚園に通っていた子が合同保育へ行くということなのかを1点お聞きしたい。 それから香久山幼稚園については、今後、第1こども園と同じエリア分けをされて、令和11年度以降に再編を検討とも書かれているんです。じゃ、今の段階で合同保育は再配置とはまた別ということになるかと思うので、合同保育とは何を意味しているのかというのをもう少し具体的に教えていただけますでしょうか。 こども未来課長 合同保育とは集団教育の確保に重点を置いている。地元の園区、香久山小学校校区内の方を優先しているが、過小規模園なので、市内全体から来ていただけるようにもしたいと考えている。 過小規模園になることが見込まれるエリアでは、他からも入園できるように考えている。過小規模が2年続くと合同保育が始まるが、その後、15人を超えればまた元へ戻っていただく。2年連続15人を超えればあり得る。以前の案では過小規模園は休園としていたが、休園にはせず、合同保育という形にした。
3月8日
市庁舎建設事業等に関する特別委員会
耐震強度が極めて低い部分がある本庁舎をどうすればよいでしょうか。次々に新しい箱物を建ててきたこれまでのやり方から、今ある物を上手く利用して、市民サービスを良くしていくやり方に変えていく必要があると、私は考えています。
この日の特別委員会では、まず亀田市長から説明がありました。令和5年10月までに、本庁舎をどうするのか方向性を明らかにするとのことです。これまで危険な本庁舎を放置してきましたが、もうそのままにするわけにはいきません。安全性に見て見ぬふりをして行動してこなかったやりかたをやめ、行動する必要があります。
亀田市長 私が新本庁舎の建設を断念した令和3年3月以降、本庁舎をどうしていくのか、市民の方々は何を一番に望んでおられるのか、県下第2の都市としての役割を果たすためにはどうすればいいのか、私自身、精いっぱい考え、悩んでまいりました。 そして、方向性を見いだすべく、令和3年12月議会で、将来的にミグランスへ本庁舎を集約するために、それまでの間、一旦、かしはら万葉ホールを本庁舎とする位置の変更議案を上程いたしましたが、議会の皆様から本庁舎はこの場所であるとのご判断をいただいておるということでございます。以後、そのご判断を踏まえ、本庁舎はこの場所であるということを認識しながら、どのような方法があるのか熟慮を重ねておりますけれども、いまだ明確な答えを見つけるには至っておりません。 また、本庁舎の方向性の検討と同時に、耐震性のない本庁舎から避難と解体についても、現在の置かれた状況の中でも必要な手段と考え、並行して検討を進めてまいりました。しかしながら、本庁舎をどうしていくのかについては本市にとっても大きな課題であると十分認識しており、令和4年度当初予算成立時にいただいた附帯決議にもございます本庁舎建設問題の早急な解決を図るためにも、いつまでも考えているというわけにもいきません。 そこで、私としては、もう少しお時間をいただくことになりますけれども、私の今任期中、すなわち10月までの間に、本庁舎についてどのような方向とするのかまとめたいというふうに考えておりますので、ご理解をお願い申し上げたいと思います。
市からは、まず現在の危ない本庁舎から仕事場を一時的に避難させるという説明がありました。令和3年12月議会で、議会としては本庁舎の位置は現在地という判断をしています。本庁舎の位置を変更するには議員の3分の2の賛成が必要ですが、本庁舎を移転することについて反対する議員が多いためです。
このため、危険な本庁舎から職員や議会は一時避難するという計画になっています。仮の本庁舎は現在の東棟とします。10案近いプランから選び出された、5つの避難配置案が説明されました。
庁舎避難案
①案
現本庁舎の駐車場にある西館(耐震性がない)を耐震補強し、議会とする。
市長室や副市長室、秘書広報課は東棟2階へ。
監査委員事務局をかしはら万葉ホールへ移転。
東棟1階とピロティーを改修し、議会開催時の職員控室となる会議室を設置。
北館に総務課、人事課、デジタル戦略課を配置。
北館の農政課、農業委員会事務局、公園緑地景観課、西館の都市デザイン部、都市マネジメント部、農業委員会事務局をリサイクル館かしはらへ移転。
本館と西棟を解体し、工事費は計約9億7887万円。
メリット:議会の広さを今と同じくらい確保できる。
デメリット:西館の耐震補強に約5400万円必要。議会が3階建てとなり、傍聴者や議員の移動が必要になる。また、建物の構造上、議場や委員会室の机の配置などが限定される。最も早い案に比べ、危険な本庁舎の解体が7カ月程度遅れる。
②案
西館を耐震補強し、総務課、人事課、デジタル戦略課、会議室を配置。
議会は西棟に配置する。東棟は会議室のみ整備。
本館のみの解体となり、工事費は計約8億3563万円。
メリット:西館を執務室として利用するため、会議室や倉庫の面積に余裕ができる。
デメリット:①案と同様だが、耐震補強費用が約2800万円となる。議会面積が狭くなり、西棟に階段の増築が必要。最も早い案に比べ、危険な本庁舎の解体が5か月程度遅れる。
③案
執務室と会議室の配置は①と同じで、西棟に議会を置く。
工事費は計約8億7602万円。
メリット:耐震補強が不要。
デメリット:最も早い案に比べ、危険な本庁舎の解体が4か月程度遅れる。
④案
かしはら万葉ホール5階の和室や特別会議室、レストランなどがある部分を改装して議会に。執務室は①と同じ配置。本館、西館、西棟を解体し、工事費は計約8億6728万円。
メリット:議会機能の面積が現状と同程度確保できる。工事費や将来負担が最も安価。危険な本庁舎の解体が最も早い。
デメリット:議会の位置が本庁舎から離れる。かしはら万葉ホールの貸館機能が制限される。議会開催時に大きなイベントなどがある場合は施設の運用で調整が必要になる。
⑤案
現本庁舎の横にプレハブを建設し、議会を配置する。
執務室や会議室の配置は①と同じ。
本館、西館、西棟を解体し、プレハブを新築するため工事費は計約11億7408万円。
メリット:議会機能の面積が現状と同程度確保できる。
デメリット:工事費が最も高い。最も早い案に比べ、危険な本庁舎の解体が9か月程度遅れる。建物を建てるため、今後の本庁舎整備に影響する可能性がある。
市の考え方
よりよい議会機能の確保、全て解体した場合の工事費合計、そして解体完了までの期間を考えると、本市の考えとしては④案がよいと考えている。本庁舎からの避難と解体は、大地震への備えとして、できるだけ早く進めたい。
議会からは、さらに安く済ませる方法はないのかといった点や、リサイクル館へ一時避難する職員さんの通勤の足について心配する質問がありました。コストについては再度見直すという回答があり、通勤についてもなんらか対応を検討するという回答がありました。私もいくつか分からない点を聞きました。
矢追もと どのプランだったらどれぐらいの時期に解体完了するのかを具体的に教えてください。 公共建築課長兼庁舎整備室長 最もスムーズに進んだとして解体完了は令和7年3月と考えている。 矢追もと 4番の案で令和7年3月に解体完了するということですね。次に早く済むのが2番で5か月遅い。1番は7か月、5番だと9か月遅いということで間違いないでしょうか。 公共建築課長兼庁舎整備室長 (首肯する) 矢追もと ありがとうございます。先日のトルコ・シリア地震でもありましたように、崩壊した建物の影響を皆さん目の当たりにされて、一刻も早く解体完了してほしいというのが一番の希望だと思います。一番早く対策が取れるものを最優先するのがベストだと思います。 その上で、本庁舎跡地をどうするか、新たな本庁舎を建てるのかどうかという方向性は、一時避難をする中で議論していけるのでしょうか。 公共建築課長兼庁舎整備室長 本庁舎の土地でどうしていくのかは本庁舎の方向性に関わってくる部分。解体後は、来庁者の安全面を確保しながら、芝生を張ったりして、一時的に何か憩える場であったりイベントができたりというような整備をするかどうか考えている。 矢追もと まずは市民や職員の皆さんの命をまず最優先に考えて、一番早く安全を確保していただける方法を取っていただきたい。この場所についての議論が進まないことが、皆さんの避難の足かせになっているのであれば、それはお引っ越しの後でもいいのではと思っています。まずは安全確保、本庁舎周辺にお住まいの方も含めた安全確保を最優先に進めていただきたいと思っております。 その上で、私も以前、市議ではなかったときに、本庁舎の建設についての市民ワークショップに参加させていただいたことがあります。その中で本庁舎の議場機能について市民の方からも様々な声が寄せられております。ワークショップでは、議場の機能だけでなく、いざという時には防災避難所や市の大きな行事に使えるとか、多機能に使えるような議会の事例が紹介されました。そういったものにすることへの評価がとても高く、そういったものにしてはどうかというふうなご意見もあったと思います。そういった新しい取組をされている事例とかも見ていただいた上で検討してもいいのではないかと思っております。 例えば、移転に伴い新しい機材なども必要になると思うんですが、また違う場所でも転用できる可能性もたくさんあるのではないかなと思いますので、かけたお金が無駄にならないような方法を取っていただきたいんです。 公共建築課長兼庁舎整備室長 万葉ホールに設ける議場には、机や椅子も今あるものを持っていくと想定しており、違うスペースに移動させればいろんな機能に使えるのかなと考えている。 それから議会の映像放送システムは、今あるものを持っていこうとしていたが、耐用年限の関係で難しく、一定の新調が必要。ただ、今後、本庁舎の方向性が定まった場合、そちらでもバージョンアップしながら使える機材を考えていきたい。 都市マネジメント部長 議会の映像・音響設備はかなり高額なものになる。一旦、万葉ホールに設置するが、新たに本庁舎が整備されればバージョンアップして再利用できる。 公共建築課長兼庁舎整備室長 映像・放送設備は8000万ぐらいかかる。
3月15日
市スポーツ施設の活用及び
整備等に関する特別委員会
奈良県と橿原市との新たなスポーツ拠点施設の整備について
奈良県と橿原市は2022年10月18日に「奈良県と橿原市との新たなスポーツ拠点施設整備の推進についての協議に関する覚書」を締結しました。この覚え書きに基づいて、橿原市運動公園の整備について県と市が協議しています。
「奈良県と橿原市との新たなスポーツ拠点施設整備事業」
「橿原運動公園と橿原公苑における新たなスポーツ拠点施設整備」
「同意書」
県は橿原運動公園の一部や隣接する民有地を取得し、陸上競技場や子どもの遊び場、駐車場、サブトラックの陸上競技場を建設する事業案を作っています。
令和5年度に整備エリアの測量や土地評価などをして、令和6年度に用地売買を完了。その後、施設を建設し、令和12年度の国民スポーツ大会のリハーサル大会までは完成するという計画です。地元の方々も土地の売買に同意されているという説明でした。
私もいくつか質問をしました。
矢追もと 運動公園北側のエリアは令和12年度にほぼ完成している予定ですが、南側の市管轄エリア内では、何か手を入れていくような計画がありますか。 スポーツ推進課長 南側エリアは順次更新していく予定。ただ、公園北側が国スポ・全スポの競技施設となることを踏まえ、更新が必要なものは前倒しすることも考えられるが、費用もかかるため、効果を踏まえて今後協議していきたい。 また、サブトラックは現在ソフトボール場と軟式野球場があり、代替施設が必要なので、運動公園南側でとも考えている。また、屋根付運動場の芝の張り替えやヤタガラスフィールドのクラブハウスも計画している。このあたりも検討余地はあると考えている。 矢追もと ありがとうございます。子どもの遊び場エリアはどれぐらいの広さですか。実際には駐車場もそこそこ必要になってくると思いますし、公園全体で見ると、市民の憩いのエリアといいますか、そういったものは引き続き南側の橿原運動公園でも担っていかなくてはならないものなんだろうなというふうに、全体で見ていかなくてはならないだろうなというふうには認識しているんです。 今後も市として運営していく施設なので、県の施設と歩調を合わせながら、どこに予算をかけるかをしっかりと見極めなければならないなというふうに思っております。 外周をウォーキングされる方などはよくお気づきだと思うんですけれども、草がぼうぼうに生えてしまっていて、ベンチが埋まっているようなエリアとかもあります。お子さんの遊具は、少し年齢が低い方向けのものが多いということで、利用されている年齢層も限られていたりですとか、1日過ごすというよりは短時間お過ごしになる方のほうが多いと。施設の広さに対しては利用者が少し少ないのではないかというふうなお声もありますので、そういった部分も含めて、今後、全体で見て計画を立てていただきたいと思うんですね。 あと、若者のスポーツ、パークスポーツと言われるようなバスケットボールですとか、あとはスケートボードですとか、そういった若者が気軽に集って行えるようなスポーツに対しての要望というのもあるのではないかと。特にスケートボードなどは以前にも要望書が出ていたと思いますので、そういったお声も既にお聞きになっているかと思うんですけれども、そういったものをこの運動公園の中にどういうふうにお声として反映させていくのか、その時期というのをどのぐらいの時期で考えているのかということについて、現段階でのお考えを。 スポーツ推進課長 委員お述べの街灯の問題などを踏まえ、実は昨日、担当の者と指定管理者も同行して、現地をもう一度視察し直した。冬なので今はわからないが、草などは相当きれいに整備していただいている。憩いの場という機能があるということは重々承知しており、指定管理者も市と共に、何かもっとくつろげる場にできないかといろいろ意見を出し合っている。街灯が暗いのはどういう状況か、指定管理者から聞き取りをして、実際に暗いことも把握し、改善を協議したばかり。公園緑地景観課と共に、できるだけ早く、これを速やかに改善していきたい。 ニュースポーツについても、スケートボードをする子ども、大人も含めてたくさんいることも認識しており、指定管理者と公園緑地景観課とスケートボードをやっている方と協議をして、南側の、今現在道路になっている部分だが、舗装がきれいなエリアがあり、そこの部分であれば、スケートボード、それから、ローラー競技、そういうものに使っても差し障りはないであろうということで施設管理者のほうとも協議ができた。今、「ここは滑ってもいいですよ」というような表示をしていこうということで、競技というか、スケートボードをしている子どもたちも「それだけしていただけたら自由にできるから十分です」というふうな答えもいただいたので、まずはそこからスタートできたらと思っている。 いろんなご意見を市民の方々から頂戴していきながら、今後もさらにいい公園にできるように進めていきたい。 矢追もと ありがとうございます。今、そのような対応を取っていただいているということで、当事者の方々も喜んでくださっているということで、ありがたく思いました。こういった施設、大きなものができることで、じゃ、市のほうはどうしたらいいのか、隣接している地域はどういう役割があるのかというのを、歩調を合わせてしっかり検討していただきたいということと、やはりインクルーシブの考え方であるとか、今後、公園に必要となる要素というのがかなりまだまだたくさんあるのではないかなと思いますので、こういった新しい整備が行われる際に、一緒にそういった新しい考え方も取り入れて、今後、よい整備が進んでいくことを要望させていただきます。よろしくお願いいたします。
議会改革特別委員会
今議会から役員の変更がありました。私は議会改革特別委員長を引き続き務めたかったのですが、じゃんけんで負けてしまい、なれませんでした。副委員長として引き続き、議会改革に務めていきます!
委員会では、私が提案した業務継続計画(BCP)の策定について進められています。6月議会ではBCPの骨子を示すことになりました。BCPというのは、災害時などに議員や議会の職員がどのように動くかを具体的に定めた物です。例えば、現在本会議場のある本庁舎は極めて耐震性能が低いため、地震で壊れる可能性があります。このため、地震が起きて議会が使えない場合はどこを使うかなどをあらかじめ決めておくと混乱しなくて済みます。これがBCPです。
このほか、議員に議会会議録を配布する際にデータでの配布が可能かどうか調べてもらうことになりました。
私からは3つの提案をさせていただき、今後議論することが決まりました。
①議会への市職員や傍聴者のパソコン持ち込み
他の議会のようにペーパーレスでの議論をするために、議員がタブレットを持ち込めるようにするかどうかについて、市の職員側も答弁しやすくできるようにパソコンを持ち込めるようにできないか、また傍聴者もパソコンを持ち込めるようにできないか、ということを提案させていただきました。
②議会で用いられる資料のネット提供について
議会のインターネット中継にともなって、中継をごらんになっている市民の方々にも資料が見られるようにすることも提案しました。すでに実施している自治体もあります。
③オンラインでの委員会開催が可能かどうかの調査
子育て中の方でも議員として活動しやすい環境をつくれたらと思っていますし、ご病気で外出できない場合でもオンラインなら参加することができます。また、新型コロナのように急な感染症の蔓延で外出できない時にも、議会で議論できるようになるかもしれません。総務省はオンライン委員会に加えて、本会議の一般質問ならオンライン開催は可能との見解を示しています。
他の議員からは、この議会改革特別委員会の委員を減らす提案もありました。現在は議長副議長をのぞく議員21人が参加することになっています。これを予算特別委員会のように10または11人にしたいとのことでした。理由としては、特に重要な案件を議論するために設置されるのが特別委員会であるにもかかわらず、常に開催され、全員が参加することに違和感があるとのことでした。
私としては、議会の改革をスピーディーにしていきたいということに賛成です。ただ、おおきく2つの懸念材料があると考えました。
①仮に会派代表が集うようにすると、なにかを決めるにあたって各会派に持ち帰って、会派の議員の賛否を議論し、再度、特別委員会で決定する必要が生じる可能性があります。現在、議会改革特別委員会は年に4回しか開かれません。全員参加の委員会であればその場で決を採ることができますが、人数を減らせばかえって決定速度が遅くなる可能性があります。
②さらに、会派に所属しない人の意見はどのように吸い上げるのか懸念されます。私は無所属ですので、仮に会派だけ参加となれば私が意見を言うことはできなくなります。
提案者からは、委員長がそのつど委員会を招集すれば良いということや、②については今後議論していくという説明がありました。私は議会改革のスピードを上げたいので、今後、このことについて議論することに賛成をしました。
ただ、この日の特別委員会で、定数を減らすことを決定することには反対しました。①や②の懸念が解決していないからです。他の議員からも、会派代表を選び、会派内で議論するのはわかるが、無所属議員のうちから代表を出して、無所属議員内で議論をするのは趣旨が違い、そこへの配慮を求める意見がありました。また、特別委員会の委員になりたい人が挙手をするなどして参加する方法を提案した委員もいました。このため、さまざまな調査をしていただいた上で、6月の特別委員会で定数をどうするか決定することになりました。
また、子育て中や介護中などさまざまな状況にいる方が活動しやすい議会にしていくための議論を今後することも決まりました。
3月20日
一般質問
一つ目の質問では、待機児童の現状や問題点を分析し、対策を提案しました。具体的にこどもの数や地域ごとの人口、地域ごとの保育園の定員数を用いて、地域による保育園定員の偏りなどを明らかにしました。その上で、人口が増えそうな場所は先手で保育対策をすることや、正確な分析結果を役所で共有し、子育て世帯に移住してもらえるまちに変えていくことを提案。市からは、前向きな返事をいくつもいただきました!
矢追もと 1つ目の質問は、その保育にも直結する待機児童の問題です。全国的な問題ですが、本市でも大きな課題の1つです。特に保育士の不足が要因の1つで、本市では今年度から私立保育園の保育士への補助金制度を設けました。また、小規模保育事業所がこの春から2か所開設されるなど、待機児童解消のため努力されています。しかし、それでも残念ながら、先日の委員会でも、今年度も昨年と同程度の待機児童がいるとお聞きしています。最初に、現在の国基準の待機児童と潜在的待機児童数を教えてください。 北野哲也・こども・健康スポーツ部長 令和4年12月1日現在で、国基準の待機児童7名、潜在待機児童275名、計282名 矢追もと 潜在的な待機児童がかなりいらっしゃるということをはっきり今お聞かせいただきました。今回、私はこの数字についてもっと深く見ていきたいと思いますが、まず先に、待機児童解消のために必要な保育士の確保についてお聞きしたいと思います。昨年秋に市の任期付職員の採用を行った際、保育士を12人募集しましたが、残念ながら2人しか応募がなかったと担当課にお聞きしました。任期付職員は3年の任期で、給与面などは常勤の職員と変わりません。現在、保育士が不足しているため、定員いっぱいまでお子さんを預かることができない園が多くあります。もっと採用できたら、その分、園児を増やすことができます。会計年度職員は年間を通じて募集していますが、任期付職員の募集は年1回のみの実施とのことです。まずは、任期付職員採用の仕組みを教えてください。 戸田高志・企画戦略部長 保育士をはじめとする各職種の任期付職員の採用は、まず、10月初旬に受験案内を公示して、10月中旬から下旬にかけて申込みの受付けを行う。その後、受付時の提出書類によって1次試験の書類審査を行い、11月上旬には1次試験の合否を通知する。1次試験の合格者に対し、11月下旬に2次試験の面接を行い、12月上旬に最終の合否を通知するのが例年のスケジュール。職員採用に当たっては、人事当局の職員のみで審査するのではなく、より公正を期するため、2次試験の面接官は庁内各部の職員7名から構成される橿原市職員採用試験委員会の委員が担当している。 矢追もと ありがとうございます。10月中旬に募集を開始して、決定するのが12月上旬。それで、その中には、橿原市の職員さん7名の方が採用委員会の中で関わってくださっていて、なかなかそういった方々のスケジュールを合わせるということも大変だというふうなことは担当課からお聞きしています。ただ、一般的な企業であれば、必要な人材が集まるまで募集を行うということが普通なのかなというふうに思っておりましたので、行政として必要な手続を踏むために採用に手間がかかることも分かるのですが、しかしながら、保育士が不足しているのに、募集の4分の1しか満たしていないまま、年1回の募集ペースを守るのも歯がゆさを感じます。正規の職員であれば応募人数が多いというお話もお聞きしていますが、市として、正規の職員を増やすことも難しいというのも理解できます。そうであれば、せめて任期付保育士の募集機会を増やすことはできないでしょうか。また、その際には、もっと市の公式LINEアカウントなどを活用して、ご興味を持っていただけるような内容で発信していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 戸田高志・企画戦略部長 人事当局では、1年を通じて、保育士の募集をはじめ、様々な職種の任期付職員を含む正規職員の採用試験を行っている。その都度、採用試験委員会を開催しており、その中でさらに募集の採用回数を増やしていくのは、業務負担の面や採用試験委員会の各委員のスケジュール調整の面から難しい状態ではある。しかしながら、待機児童解消のために保育士の確保は喫緊の課題であると認識している。任期付保育士の応募が募集人数に満たないときは、他の市職員募集時に併せまして、再度、任期付保育士の募集を行うことにより募集回数を増やす、また、当初の募集に係る受付期間を延長し応募できる期間を長くするなど、保育士の確保に向けた取組を行ってまいりたい。また、募集情報が多くの受験希望者の目に届くことにより受験者数の拡大につなげるよう、今後はSNSの発信の強化についても検討してまいりたい。 矢追もと ありがとうございます。同時に、働くことを検討されている方に職場環境のアピールをすることも必要だと思います。私の知り合いの保育士さん、または、かつて保育士として働いていらした方数名に、どのような条件が合えば働きたいと思うかをお聞きしました。現役保育士さんでは、「有給休暇があっても取りづらく、なかなか消化できていない」とおっしゃっていました。人手不足だから取れないのか、有休が取りづらい職場環境から人手不足になるのか、どちらが先か分かりませんが、子育て中の方も多いですので、家庭との両立はとても重要です。来年に繰り越せると言われても、有休が取りにくい環境というのは、働きたい職場になりにくいです。ほかには、「自分の子どもを同じ施設に預けて働けないか」というようなお声もありました。また、会計年度職員でも勤務は週5日が基本です。「子育て中で、週3日ぐらいから始められないか」という声、また、「子どもが夏休みの期間に休みが取れるような働き方ができないか」というお声もありました。子育て中の保育士さんが働きやすい職場にするためには、若い保育士さんのほかに、例えばOBの保育士さんにも声をかける、封書でお願い文を送るなどの取組など、様々な世代の方が働ける職場になることも必要だと思います。何よりお声として多かったのは、「かつて保育士として働いていたときの負担の大きさのイメージが強く、できるだけ自分が考える理想の保育の実現や環境のよい職場で働きたい」というお声でした。今はインスタグラムなどで保育の様子を発信している私立園もあります。そのような発信はとても参考になるとのことです。「もっと保育現場の様子や働きやすくなる取組が見える発信があれば、検討するきっかけになる」とのご意見をいただきました。そのようなことをもっと積極的にアピールしていただきたいと思いますが、お考えを聞かせてください。 北野哲也・こども・健康スポーツ部長 保育士の年次有給休暇の取得状況は、令和3年度のこども園5園で平均12日。また、令和4年度は2月末までの途中経過だが平均11日。いずれも取得日数が10日を超え、全庁的に決して年休取得状況が低いということではない。また、女性が多い職場で産前・産後休暇・育児休業の取得や復帰で1年間フルに勤務していない職員も含んでおり、その点も加味するともう少し取得状況は上がると考えている。 保育士の募集はなかなか思うように応募がない状況が続いている。議員がお述べのように、週5日以外に、週2日とか週3日の勤務でも就業できる業務がないかをまずは分析し、保育士が多様な働き方ができるよう検討してまいりたい。 また、園の見える化は、来年度から更新されるホームページを活用し、園の様子や保育士の活動風景も積極的に発信できるよう検討する。また、PR動画も作成しているので、SNSなどを活用し配信していきたい。 保育士の働き方改革は喫緊の課題と認識している。保育現場に今年度導入したICTシステム「コドモン」も徐々に浸透してきた。それと同時に、ノンコンタクトタイムや昼休みを確保するための保育補助員の配置なども進めている。取組の効果が出ているかは個別の聞き取りを実施しておらず分からないが、令和4年度の退職希望者は昨年度に比べ減少傾向にある。また、OB保育士を含め、職員の知り合いにも声をかけ、保育士の確保に取り組んでいる。引き続き、これまで以上に働きやすい職場環境の推進に努める。 矢追もと ありがとうございます。先ほどの平均での有給消化率なんですけれども、年間20日間の中で12日、11日というのは、職員全体の中でも低い方ではないという認識だった。ですが、例えば任期付の職員さんでしたら、ご自身が退職される前に一度に1か月分取るということは不可能に近いわけです。やはり、その年その年の中で消化していきたいというお声があって当然だと思うんですね。ですので、そういったニーズは、やはりきちんと個別の状況を見ながら聞き取っていただきたいと思っております。そして、その現場で働いている方々の聞き取りを丁寧に行っていただいて、より働きやすい環境づくり、そしてその発信を常に行っていただきたいと思います。 さて、ここまでは保育士確保のために少しでもできることはないかという切り口でお聞きしてきましたが、少し観点を変えようと思います。先ほど待機児童の数をお聞きしましたが、私はいつもこの数だけでは待機児童の実態が分かりにくいと感じています。まず、国基準というものに照らすと、先ほどの数ですと7名でした。国基準では利用可能な施設があるにもかかわらず、特定の保育所などを希望し、保護者の私的な理由により待機している場合には待機児童には含めないと定義されています。このようなことを聞きますと、多少頑張って送り迎えをすれば利用できる園があるのではないか、親が利用した園のえり好みをしているのではないかと思われがちです。しかし、人気の施設しか希望せず、入所できないかといえば、そうではありません。私立保育園、私立の認定こども園、公立の保育所が合わせて15園、この春からの小規模保育所を合わせると17園ありますが、17園全てを希望園として書いても入園できないお子さんがいらっしゃる状況です。 実は、国基準では、利用可能な施設とは、通常の交通手段により、自宅から二、三十分未満で登園可能な園と定義されており、橿原市の場合は、どの地域にお住まいの方でも、市内の全駅が登園可能エリアとされています。つまり、17園全てを申請してもなお入園できていない方は国基準の待機児童になるという仕組みです。しかし、そのような申請方法が現実的ではないということは皆さんお分かりいただけるかと思います。できるだけ家から近い場所であったり、もしくは職場から近い場所など、3園、多くても5園ぐらいが限界ではないでしょうか。そのような申請方法の方は国基準の待機児童にカウントされていません。実際、現在は空きがなく、17園全てを申請しても入所ができない方々が待機されています。大げさに言うと、市内の園全てを書く方が100人いれば、国基準の待機児童が100人になるという言い方もできます。このような現実をきちんと把握されている方々がどれくらいいらっしゃるでしょうか。国基準・潜在的待機児童という数の表現だけでは実態は表し切れていません。 また、待機児童の方々の中にも傾向というものがあるはずです。お聞きしますが、待機児童になっているお子さんの年齢別の数、また、待機児童が特に多い地域別の状況を教えてください。 北野哲也・こども・健康スポーツ部長 待機児童の年齢別の人数でございますが、これも先ほどと同様、令和4年12月1日現在、282名の内訳となる。まず、0歳児125名、1歳児70名、2歳児52名、3歳児26名、4歳児9名、5歳児0名。これで、0~2歳児が全体の88%を占める。次に、小学校区別で真菅小学校が25名、全体の14%。次に、今井小学校区21名、全体の12%。金橋小学校区と真菅北小学校区で16名ずつ、これが11%。以下は、耳成南小学校区、晩成小学校区、耳成小学校区で7名ずつ、7%という状況。 国基準だと7名だが、確かに議員おっしゃるように、橿原市内で17の保育所を希望として出される方は少ない。7名という国基準が非常に分かりにくいと私らも感じている。今後、子ども・子育て会議等で、橿原市として、どういった子どもさんを国基準とカウントするのか、様々な方のご意見も伺いながら、今後、見直しも検討していきたい。 矢追もと ありがとうございます。年齢別の待機児童で見ますと、0歳児が125名と圧倒的に多いです。年齢の低い分、保育士の配置も多く必要になりますので、保育士不足が要因であると思います。しかし、これくらいの年齢からお子さんを預けて働きたいというニーズが強いということも同時に見てとれます。 1つの目安ですが、今年1月1日現在の0歳児の数は市内で746人、大体6人に1人のお子さんは0歳児のうちから保育所の申込みをされるということです。私のイメージよりもはるかに多いという印象を受けました。今後この人数はもっと顕著になるかもしれません。また、地域差で言いますと、先ほど特に多かったのが真菅小学校区、また、次に今井、金橋、真菅北というふうな状況であったかと思います。特に真菅地区は、令和4年12月31日現在の住所別年齢別人口集計表で見ても、0歳児と1歳児のお子さんの数が一番多い曽我町、2番目に多い地黄町がある地区でもあります。一方、大きな保育施設は、この地域には少ない傾向にあります。 具体的に、先ほどの橿原市の認可外を除く15園の定員と各地区ごとの0~5歳児の数を比較してみました。認可保育施設がない八木地区、香久山地区、多地区は、それぞれ今井地区、鴨公地区、真菅地区と合区して計算しました。すると、白橿地区だと0~5歳児1人当たりの定員は2人分、新沢、畝傍地区はそれぞれ0.7人分ありました。一方、今井・八木地区、金橋地区、耳成地区は0.4人分以下です。真菅・多地区では1人当たりの定員は0.2人分ほどで、一番多い白橿地区と比べて10倍近い差がありました。つまり、橿原市の保育施設の定員には地域で大きな偏りがあります。現在は、保育士不足で施設の定員はさらに少なくなっていますし、年齢別でも定員は異なりますので、大ざっぱな計算ではありますが、市側の答弁では、待機児童は真菅、今井、金橋、真菅北で多いとのことでしたので、定員数の偏りとの合致がここで見られています。まず、そのような偏りを把握した上での計画的な対策が必要です。 また、今後、橿原市は、移住・定住を促進し、子育て世帯の方にも橿原市においでいただきたいのですが、子育て世帯の人口が増える可能性が高い地域の保育の受皿について、先手先手で考える必要があります。大阪市の待機児童対策で大変興味深いものがありました。大阪市では、待機児童解消を最重要施策と位置づけ、従来の手法にとらわれない新たな待機児童対策を強力に推し進めているとのことです。その中で、平成29年9月に「大阪市大規模マンションの建設による保育需要の増加に対応するための保育施設等の整備に係る事前協議に関する条例」を制定、平成30年4月に施行し、大規模マンションの建設計画が固まる前の段階で、大阪市と建設業者との間における保育施設等の整備に関する協議を義務づけることと定めました。保育施設の整備は義務ではありませんが、実際にこの条例制定後、3か所の大規模マンション建設時に保育施設が整備されています。保育施設は、大阪市の医療・福祉施設容積ボーナス制度により容積の割増しを受けることができ、将来、大幅に保育需要が減少した場合には、同じ制度内で運用できる医療施設や高齢者のデイサービス施設などへの変更も可能とのことです。本市の状況を見ますと、大阪のように500戸、800戸が入るような大規模なマンションが建つことはなかなか想定しづらいと思いますが、そこまで大きくなくても、マンションがその地域に1つ、2つと増えれば、その分、保育の需要も増えますし、宅地開発が盛んな地域は、その分、新しい世帯、子育て世帯も増えています。そのように、新しく人口が増え、保育の需要の増加が見込まれる地域がありながら、市は何もせず見ているだけでよいのでしょうか。保育の将来的な受皿を想定し、対策を立てる必要があります。大阪市の条例のように開発事業者との事前協議の場を設けて、業者にも何らかのメリットがある形で保育所の建設や設置を求めたり、人口増との足並みをそろえた保育の受皿づくりはできないのでしょうか。市の考えをお聞かせください。 川田茂人・都市マネジメント部長 議員お話しのとおり、大阪市では、大規模なマンション建設において、開発事業者に対して保育所の建設や設置の協力依頼を求める事前協議に関する条例があり、待機児童対策として、事業者が保育施設の設置を行うなど、効果を上げているようだ。そこで、仮に橿原市の建設状況を鑑みたとき、マンションの建築規模が、議員お述べのとおり、大阪市に比べ小規模であることがほとんどであり、仮に同様の協力依頼を求める条例を制定しても、効果が見込めないのではないかと推測する。そこで例えば、地区の特性に応じたまちづくりの手段の1つとして、地区計画制度の活用がある。本市でこの制度を活用したまちづくりを進める場合において、この先、最近に開発が進んだ真菅地区小槻町の事例など、この開発規模以上の大規模な宅地分譲開発が進むなら、地区内の関係権利者の合意形成を図ることや保育施設の設置条件などを検討する必要性はあるが、開発の事前協議の場を、保育施設の増設の可能性を見いだす1つの機会になるのではないかと考える。また、都市マネジメント部には、開発事業の規模などの情報がいち早く入ってくることから、庁内の関係部署と情報共有することで、連携した取組を進めることができるのではないかとも考えている。どのような対策を行い、民間事業者に対してどのような働きかけが有効となるのか、また、土地利用の制限などがどのような問題になるのか、あるいは、その時点における社会情勢等がどのような影響を与えることになるのかなど、様々な問題を検討し、効果的な手段を見いだすことができるように取り組む必要があると考えている。 矢追もと ありがとうございます。ぜひ、橿原市なら何ができるのかという視点を持って、子育て部局とも連携して、効果的な手段、今おっしゃっていただきましたけれども、これをぜひ研究していただきたいと思います。これ、何もせずに見ているだけで人口増加が起こって、また、保育の受皿がその地域でなくなってというのを、これ以上見過ごすことはできないと思うんですね。 さて、お子さんが待機児童になったことで、働きたいのに働けない方がいらっしゃる。これは、その当事者の方やご家庭だけの問題ではなく、市にとっても大きな損失です。私は、ある女性からご連絡をいただきました。「夫の所得だけでは生活が厳しいため、仕事を探して内定をもらったのに、待機児童になってしまった。自分たちの生活はどうなってしまうのか」といった悲痛な叫びをお聞きしました。 低所得世帯であることは入所の優先順位を決める点数の中に含まれていないため、そのことについては1月に担当課へ今後の検討を依頼しました。市の保育の状況がその世帯の暮らしぶりさえも左右する事態は、市の本望ではないはずです。 また、春から市の移住促進用のホームページが新しく運用されますが、子育て世帯の方々に、「ぜひ橿原市に来てください。第2子以降の保育無償化もしています」ということをうたっておいて、「移り住んだら待機児童になりました」では困ります。 今回、人事を担当する企画戦略部、また、マンションなどの開発事業者との事前協議を行う建築安全推進課を管轄する都市マネジメント部にも、待機児童解決のためにできることがあるのではないかという側面でお聞きしました。私は、待機児童解消のために、こども・健康スポーツ部以外でもできることはあると思っています。そのために提案したいことは、いつも待機児童の数をおっしゃっていただく際の数の出し方を変更していただきたいのです。先ほども申しましたが、国基準の待機児童と潜在的待機児童という言い方だけでは、具体的にどのような方々が待機児童になっているのかが伝わりません。 昨年、横浜市が待機児童対策のための興味深い取組を報告しています。希望どおりの保育所が利用できなかった潜在的待機児童、横浜市では「保留児童」と呼んでいますが、これを解消する対策につなげるため、どんな要因で保留児童になったかを分析・データ化したものです。保留児童の分析及び公表は全国初とのことです。一般的に、希望申請する園が多ければ入所の可能性が高まります。ただし、様々な理由で申請園が少なかったり、反対に、たくさん申請しても待機になったりするパターンがあるそうです。 横浜市は、令和4年4月1日現在の1647人の保留児童を、障害児・医療ケア児、駅から遠い、きょうだいの状況、希望申請園が同一法人や認可保育所のみ、短時間就労、求職中。これは「職を求めている」の求職です。あとは内定者などの要因別で分析しています。分析結果の具体例としては、入所の優先順位が低くなる短時間就労者、求職者、内定者が保留児童全体の43.4%を占めること。また、その半分は求職者だったそうです。一方、きょうだいが既に入園しているお子さん、またはきょうだいでの同時申請の保留が保留児童全体の27%を占めていました。このうち、きょうだいで同じ施設を希望するパターンが約半数ありました。複数申請をしたほうが入園の可能性が高まると言われても、こうした事情から、現実ではないことが大いに理解できます。障害児・医療ケア児は全体の1.6%ですが、受入れ可能な園が限られるため、申請園数平均が保留児童全体の平均よりも低い状況でした。また、申請の取りやめ、取下げをされる方もいらっしゃり、潜在的な希望者も一定数見込まれるとのことでした。つまり、利用をちゅうちょし、取りやめざるを得ない状況があるということです。また、そのような制約条件が特に見られない上に、6園以上申請しているのに保留児童になっているお子さんは全体の29%おられました。そのような方の居住地域は、もともと受皿が不足しており、認可保育所や小規模保育所の整備が必要なエリアとほぼ一致しているとのことです。 さらに横浜市は、保留児童のうち、1、2歳児が全体の約7割を占めるとのことです。横浜市はこのような分析から、1、2歳児の受入れ枠の確保、受皿の少ないエリアでの施設整備、一時保育の利用でも対応可能な短期就労者に対する一時預かりの拡充、障害児・医療ケア児への対応などの対策を行う方針です。もちろん、受入れ枠の確保は、最初の質問にありましたように、保育士不足の解消が必須にはなります。ただし、具体的にどのようなニーズに応える必要があるのかによって対策の立て方が変わってきます。このため、待機児童の詳細な状況を見なくてはなりません。 ちなみに、大阪までご夫婦で通勤されている方からは、朝、預ける時間の関係上、1つしか当てはまる園がなかったため、1園のみで申請しているが、待機児童になったというお声もいただきました。もし、待機児童解消のために複数園をご検討いただくのであれば、こういったニーズがどれくらいあるかの分析、対応可能な園を増やすといった対策も必要になると思います。横浜市には横浜市の地域性やニーズがあり、橿原市には橿原市のニーズがあると思います。私はもっと具体的な潜在的待機児童の内訳を明らかにしていただきたいのです。それを全庁的に共有することで、担当部局以外もより正確に待機児童の状況を理解し、待機児童解消のために各部局でもできることに積極的に取り組んでいただきたいのです。 例えば、医大周辺のまちづくり、また、企業誘致の際などに対して、このような待機児童解消の視点でのチェックをしていただいていますでしょうか。人の動きが増えたり、市が活性化する、これらはとてもよいことですが、その中で保育のニーズが増加する可能性がないのか、各部局長は意識されていますでしょうか。横浜市のデータを参考に、待機児童の地域別・タイプ別の要因と数を割り出し、報告しやすいフォーマットをつくること、それを各部局で共有し、より必要な対策につなげていただきたいのですが、いかがでしょうか。市のお考えを聞かせてください。 北野哲也・こども・健康スポーツ部長の北野 横浜の事例を私も見た。横浜市はタスクフォースを組み、その中で詳細分析をしている。橿原市で同じようなことができるのかというとこれは非常に、なかなか難しい面はあると思うが、今のところ年齢別、地域別のデータしか提供できないが、たとえそれだけでも各部局で待機児童の状況を共有できることを目指し、検討したい。データ作成に当たっては、関係部局の協力も得ながら、今言ったデータ以外にどのような情報を共有することが待機児童の解消に有益なのかを検討し、庁内での情報共有に努めたい。 矢追もと ありがとうございます。確かに、横浜市のデータの取り方というのは時間も手間もかかっています。ただ、地域別、年齢別、あともう少し踏み込んだようなデータ、もし取れるものがあれば、ぜひ反映させていただきたいと思います。先ほどの早朝の時間帯のニーズがあるか、そういった理由で1つの園しか申請できていない人がいるであるとか、そういったことは、職員の聞き取りだけでもある程度把握できるものはあると思うんですね。そういったことは積極的にデータ化していただきたいと私は要望させていただきます。また、このようなデータは議会や議員が求めた際にもぜひ公表していただきたいです。 国基準の待機児童の定義では、橿原市の全ての園が利用可能な園となってしまいます。全ての園を申請しないと待機児童としてカウントしないと先ほど申し上げました。そのように国の基準というものがそもそも現実とそぐわないままで数を公表していても何の解決にもなりませんので、おっしゃっていただきましたように、もう少し市の基準を設けるであるとか、分かりやすい待機児童の公表というものを進めていただきたいと思います。子ども・子育て会議の場でというふうなこともおっしゃっていただきましたけれども、これから次の子ども・子育て支援事業計画というものの策定にも取りかかられると思います。現在の第2期の支援事業計画の中では、国基準の数が記されているんですけれども、平成27年度から令和2年度にかけては、待機児童は減少傾向にあるというふうな書き方で記されています。これは全く現実を反映されていない、そういったふうな記述になってしまっています。 そんな中でも、本市では一時預かりの電子申請が開始されました。これは大変うれしく思っています。かつて、予約日には電話がつながらず、やっとつながったら予約が埋まっていたということも数多くありました。このような取組も、今後、一時預かりの新たな可能性を広げることにもつながると思っております。今後、全庁的に危機意識を共有していただき、取り組んでいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
二つ目の質問では、LGBTQをめぐる人権問題について質問しました。結婚していないからといってパートナーと部屋を借りられなかったりする事例があることなどから、パートナーシップ制度を実施することを要望。さらに、市職員へのLGBTQをめぐる研修などを要望したところ、令和5年度から実施するとの答えをいただきました!橿原市民のみなさんのなかにも悩んでいる方や困っている方がおられると思います。これまでの市のルールを変えて、みんなが生きやすい社会に変えていきましょう!公式LINEやツイッターでお声をお寄せください。
制服など、学校における多様性について
矢追もと さて、次に、LGBTQと市の取組について質問いたします。2月に首相秘書官の差別発言によって、LGBTQの方々への理解を求める声や同性婚についての議論が高まっています。これまでも同様な差別発言があるたびにこのような議論が再燃しているかのような状況で、本当に議論が進んでいるのか疑問に感じています。LGBTQとは、L(レズビアン:性自認が女性で、性的指向が同性に向く人。女性同性愛者)、G(ゲイ:性的自認が男性で、性的指向が同性に向く人。男性同性愛者)、B(バイセクシュアル:性的指向がどちらにも向く人。両性愛者)、T(トランスジェンダー:生まれたときに割り当てられた性別と性自認が異なる人)、Q(クエスチョニング:自身の性の在り方について、特定の枠に属さない人、分からない、決めていない人などのこと)。ほかに様々な性の在り方を含めて「LGBTQ+」と表わすこともあります。 実は先日、私の子どもが通う今井小学校で、この春から、現行の男子は半ズボン、女子はスカートという性別による指定をなくし、さらに、長ズボンも季節・男女問わず着用可能となりました。このような変更は、様々なお子さんがより過ごしやすい学校になるために必要なことだと思いますので、学校や市教委の対応に敬意を表します。まず最初に、このような取組は市内のどれくらいの学校で行われているのかをお聞かせください。 栗原照仁・教育委員会事務局長 性同一性障害に関しては、社会生活上様々な問題を抱えている状況にあり、学校における性同一性障害に係る児童・生徒への支援について社会の関心も高まり、対応が求められるようになってきている。こうした中、平成27年4月、文部科学省から「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」の通知で、学校生活での各場面における支援が示されており、学校における性同一性障害に係る児童・生徒への対応を行うに当たっての参考とされている。その中で、服装については「自認する性別の制3-11服・衣服や、体操着の着用を認める」といった対応が記されている。橿原市でも、制服について、校則などに基づいた画一的な対応を求めるのではなく、個別の事例における学校や家庭の状況等に応じた取組を進め、当該児童・生徒への配慮と他の児童・生徒への配慮との均衡を取りながら支援を進めることが重要であると承知している。市教育委員会として、制服や服装等に関わる市内各校の校則は一律で定めないが、市内各校が、これらの内容を熟慮した上で、個別具体的な対応を進めていると承知している。 市内の小・中学校の状況は、小学校16校のうち、現在、制服に男女の区別を設けていない学校は11校。設けている学校は5校。このうち、令和5年度から区別なしとなる学校は2校で、このうち1校が今井小学校。そして検討予定の学校は3校。中学校6校のうち、制服に男女の区別を設けていない学校は2校で、設けている学校は4校。この4校のうち、令和5年度より1年生から順次区別なしとなる学校が1校、令和6年度からは1校で、検討予定の学校は2校。検討予定の学校でも、これまで女子生徒が学ラン着用の実績があったり、ズボンを選択しているような状況で、学校として柔軟に対応している。 矢追もと ありがとうございます。たまたま私の学校ではそういった取組がなかっただけで、市内ではかなり多くの学校が既に取組を始めてくださっていたということが今お聞きしてよく分かりました。スカートが好きなお子さんもいらっしゃると思うんですけれども、そもそも、外遊びの際に動きにくかったりですとか、掃除のときにはスカートから体操服のズボンに着替えなくてはならなかったりと、結局ずっとスカートの下に体操服のハーフパンツを履いているお子さんがほとんどでして、学校ではそのハーフパンツで過ごしている児童も多く見受けられました。男子だからズボン、女子だからスカート、これは、例えば男子は活発に、女子はおしとやかにというような決めつけが含まれているというふうな感覚を受けるんですけれども、そういった決めつけ自体、見直されてよいと私は思います。選べることは大変大切だと思いますので、こういった取組がまた市内に広がればいいなというふうに思っております。 ただ、中学校においては学ランやセーラー服のように、小学校のようなスラックスとスカートを交換したらいいというような簡単なお話でもないのかなというふうに思いました。今後予定されている学校の再配置計画の中では、新しい制服も導入されると思います。全国ではジェンダーレス制服など、自由に選択できる制服を導入している例もあります。橿原市ではそのような観点で検討されているとお聞きしていますけれども、市内のどの学校でも同様の環境を今後広げていく必要があると考えます。今後、制服の面からも、より学校が過ごしやすい場所になることを要望いたします。 ちなみに、先ほどおっしゃっていただきました「性同一性障害」という言葉は、2013年には、アメリカの精神疾患の診断・統計マニュアル第5版のDSM-5で名称を「性別違和」に。今というのは違和感の「違和」なんですけれども、「性別違和に」に。3-12さらに2019年には国際疾病分類第11版のICD-11で「性別不合」という呼び名に変更されました。ICD-11では、名称の変更だけではなく、精神疾患の分類からも外されています。先日、私がEテレの番組内を見ておりましたら、「性同一性障害」という名称に、現在は「性別違和と呼びます」というようにただし書きが出ていました。今後、このような新しい概念での呼び方が一般的になってくるのではないかと思います。今、文部科学省がどのような見解でいらっしゃるのかは分かりませんけれども、ぜひ参考にしていただけたらと思います。
パートナーシップ制度や職員研修について
矢追もと
さて、LGBTQに関わる取組としては、パートナーシップ宣誓制度があります。令和3年6月議会には公明党の西岡議員よりも質問がありましたが、当時はこの制度がまだ成熟していない制度であると。つまり、市が行う事業の中でのみしか活用できず、公的な効力も少ないことを当時の担当部長が答弁され、橿原市では今も導入されていません。実は以前、私は様々な福祉事業所の方から、高齢者や障がい者のほか、同性カップルの方も賃貸が借りにくいということをお聞きしました。そんなこともあるのかと驚きましたが、実際、今回の発端となった差別発言では、「隣に住んでいても嫌だ。見るのも嫌だ。同性婚が導入されたら国を捨てる人もいると思う」という発言がされていました。そのような差別的な考えの方がいることから、図らずも、お困りの方がいらっしゃることも推測できます。
私は、賃貸に入居できないことでお困りの方が、市営住宅を借りることができないかと考えました。しかし、現在の本市の市営住宅条例では、同性パートナーを配偶者と同等に認識し、同居していただける規定がありません。実際調べると、一般社団法人LGBT法連合会のホームページで公表されている、LGBTQの方々が社会で直面している困難リストの中に、公営住宅の入居家族ではないということで拒否されたという事例が掲載されていました。一方、パートナーシップ宣誓制度を導入している奈良市、生駒市、天理市、大和郡山市では、宣誓証明したカードの証明により入居の資格が得られます。ただし、市営住宅に申し込める要件自体は、年齢や障がいの有無、収入などで規定されていますので、同性カップルという理由で申し込めるというわけではありません。そこには現状でも限界はあるものの、まずは同性カップルの方が家族と認められるような取組が増えていかなくてはならないと思います。
そもそも私は、同性婚が認められないのは差別だと思います。もっと法制化が進められるべきだと思います。しかし、それについては、国が変わらなくてはなりません。パートナーシップ宣誓制度は、基礎自治体として取り組めることの1つです。導入することで、市民へアピールし、理解を深めるきっかけにもなると思います。本市も導入していただきたいのですが、いかがでしょうか。
また、実施に向けては、市の職員から正しい理解をする必要があると思います。先ほどの公営住宅のように、また、各種手続の際に窓口などで困難に直面されている方がいらっしゃるかもしれません。ぜひとも職員向けに、関連団体の方をお呼びして、LGBTQへの理解を深める研修を行っていただきたいのですが、いかがでしょうか。市のお考えを聞かせてください。
戸田高志・企画戦略部長
パートナーシップ宣誓制度につきましては、現行法において、同性婚が認められていないことで同性カップルが様々な不利益・不平等を被ってきたことを背景に制定された経緯がある。一方または双方が性的マイノリティーである2人が、お互いを人生のパートナーとして日常生活において相互に協力し合うことを約束した関係を各自治体の長が認証する制度として、2015年に東京都の世田谷区、渋谷区にて開始された制度だ。令和5年2月の段階で全国の260の自治体が当該制度を導入しており、全国で4,100組以上のパートナーが成立するなど全国的に広がっており、奈良県内でも、奈良市、天理市、大和郡山市、生駒市にて導入されている。パートナーシップ宣誓制度による行政サービスの内容は、導入する自治体により要綱・規則等で決定されており、提供されるサービスも自治体ごとに差異が生じることになるが、議員おっしゃるとおり、市営住宅の入居の際の同居人になることが可能となる自治体もある。そのほかにも、例えば民間の保険、金融、通信など家族向けサービスの利用や、病院で家族と同等の扱いをしてもらえることが期待される。しかしながら、当該制度によっては、健康保険被保険者、所得税の配偶者控除、子どもの共同親権や、遺産の法定相続など、法的効力を要する社会サービスを得ることはできないとされている。パートナーシップ宣誓制度は、人の多様性を尊重する姿勢を発信する制度であり、多様性が尊重され、人権や尊厳を大切にする社会を目指す努力をしていく上で一定の効果は見込めるものの、当該制度において、民法上の婚姻制度と同様となる効力はなく、様々な考えがあり、国会でも意見が割れており、司法判断も割れている状況であり、法律上の同性婚を認めるものではないことも課題の一つであると認識している。本市としては、性的指向や性自認を理由とする差別・偏見など断じてあってはならないと考えている。この考えを庁内にて共有するため、市職員に向けましても、人権研修や、庁内向けに毎月発信している「人権コラム」などの機会を通じ、「性の多様性」についての研修を複数回、開催している。そして来年度は、「性の多様性に寛容な社会の大切さ」を学習するため、積極的にLGBTQに関する題材を取り入れた職員研修を実施し、さらなる職員の意識向上を図りたい。
また、市民の皆様には、橿原市のホームページ、また、広報「かしはら」、市民講座などを通じ、「性の多様性」について発信しているが、「性の在り方のことで辛い思いをすることなく、みんなが心地良く過ごせる社会の実現」に向け、SNS等を活用し、さらなる啓発を行っていきたい。
矢追もと
ありがとうございます。まずは職員の研修から取り組んでいただけるということで、ぜひよろしくお願いいたします。また、その行政の取組を市民にも伝わるようにぜひ発信していただきたいと思います。その先にパートナーシップ宣誓制度の検討もぜひよろしくお願いいたします。
最後に市長にお聞きいたします。待機児童の解消については今までも議会で議論されてきましたが、主に保育士不足に言及するものがほとんどでした。しかし、待機児童になっているお子さんの本当の姿を明らかにし、全庁的に共有することが大変重要だという認識を市として持っていただきたいと思います。
また、LGBTQなど性的マイノリティーの方々に対する市の取組を進め、市全体に広げていただきたいと思います。市長のお考えを聞かせてください。
亀田忠彦市長
まずは、待機児童の問題についてということでご質問いただきました。以前から申し上げております子育て世帯を呼び込みたいという橿原市にとって、待機児童の解消は喫緊の課題であるというふうに思っております。その中で、保育士の確保は当然必要であるというふうには思うんですけれども、今回、問題提起をしていただいた待機児童の考え方、あるいは待機児童の情報共有みたいなところはしっかりと検討していくべきだろうというふうに、質問を聞かせていただきながら感じておりました。全庁的な取組の中から気づきが起こるということになってきますので、待機児童、国基準あるいは潜在的というふうな概念をもう一度しっかりと検証して、待機児童数を全庁的に把握しながら、それぞれの部局からできることをしっかりと考えていくということにつなげていきたいということをしっかりとやっていきたいなというふうに思っております。
そして、もう1つのご質問でありましたLGBTQについてということでございます。様々な調査の結果をざっと調べて答弁書に書いておるんですけれども、先ほどから様々なご質問であったり、部長の答弁もありましたので、この辺りは割愛させていただきますけれども、LGBTQと言われる性の多様性というところは、以前の西岡議員の質問でもお答えしたかもしれませんけれども、そういったことは誰からも侵されることのない、その人たちの豊かに生きる権利だというふうに思います。そういったことについては、私自身もそのように感じております。とても大切な問題であるというふうに思いますし、橿原市にとっても、そういった方に、暮らしやすいというか、優しいまち、これはそれぞれが思いやりの感覚を持ってやっていくべきだろうというふうに思います。ただ、一方で、先ほど部長からの答弁もありましたけれども、まだまだこのLGBTQのことについての中身をしっかりと分かっていただいている方がどれだけいるのかというところも1つ問題があると思います。ですので、真にそういったことで悩んでおられる方が、橿原市って本当にそういった方にとっても暮らしやすいねと言われるようになるには、やはり、職員もそうですけれども、市民向けの啓発であったりとか、周知というか、そういう偏見を持っておられる方に対しての正しい理解を求めていくことも同時に必要なんだろうなというふうに思います。ある方の発言から大きくクローズアップされてきた問題でありますし、大切なことであると思いますので、パートナーシップ宣誓制度ということをおっしゃいましたけども、そこに行き着くにはまだもう少しいろいろとやらなければならないことがあるのかなというふうに思いますので、職員の周知、市民の周知をさらに徹底してまいりたいなというふうに改めて考えておる次第でございますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
矢追もと
ありがとうございます。最近の日経新聞や読売新聞などの世論調査では、軒並み、同性婚に対しての賛成が過半数を超えていまして、20代では約90%が賛成だったという調査もありました。今は小学生から道徳でジェンダー平等について教えており、様々な性の在り方があることを見聞きしています。今のお子さんが大人になったときに、自分たちが教わった理想の世の中になっているように、ぜひ力を貸していただきたいと思います。そのために、今おっしゃっていただきましたような職員や市民への周知、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。また、待機児童の解消につきましても、これまでの手法にとらわれない取組をぜひとも進めていただきたいと思います。以上で私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。