2021年9月議会

9月5日
厚生常任委員会

橿原市営斎場改修・運営事業について

改修・運営事業について、進捗状況と今後のスケジュールについて報告がありました。PFI-RO方式といって、施設の改修、維持管理、運営を一括で発注することになりました。その上で6月から、このPFI事業の実施方針案を決めて公表し、事業者の聞き取りなどをしているそうです。

9月に実施方針が策定され、9月2日に公表されました。今後、費用対効果(VFM)などが見込めると評価された場合、11月には事業を進めていくかどうかを正式に決めて公表するそうです。仮に役所側が進めると決めた場合、12月議会に費用についての議案が出てくる予定です。そこで承認されれば、1月から事業者公募などの作業を進めて、来年度となる令和5年5月には落札者を決定。来年9月議会で事業契約などについて議決、来年10月からは令和34年度までの約30年間の事業が始まる、というスケジュールだそうです。

事業計画……令和5年10月から令和35年3月までの29年と6か月
市の収入……火葬など公の施設の利用料金は市の収入
業者の収入……施設の改修・解体にかかる費用は市が一括で払う。維持管理・運営費用を毎年、事業者に支払う

矢追もと
改修中や建築中に、火葬や葬儀に使えるのかどうか。その期間の責任は市か新しい企業体なのか、教えてください。

環境政策課長
基本的には委託する委託業者の管理になると思うが、市が関与しないということではない。斎場の解体中は問題なく火葬ができると認識している。火葬炉の改修工事中についても、火葬炉は6炉あるが実際には8炉分のスペースがあり、そちらを活用しながら交互に入替えをするので運用上問題ないと考えている。

矢追もと
ということは、火葬については改修・建築中でも今のものを使うということが可能で、ご葬儀はある程度の期間は利用中止になるでしょうか。

環境政策課長
今でも家族葬祭場は1つスペースを取ってあるので、そちらの利用もできる。大きな斎場を解体する前に、待合棟の中に30人程度を想定した家族葬斎場をまず改修工事する。その工事が終わり使えるようになってから大斎場を解体することを考えている。

矢追もと
このスケジュールですと、実際に新しい施設に全部生まれ変わって、利用がスタートする時期が書かれていないんですが、想定時期は決まっているでしょうか。

環境政策課長
改修・解体工事、火葬炉の入替え等、工事は令和8年度末までに終えることを条件にしている。

矢追もと
解体が令和8年度までで、改修などは決まっていますか。改修もそれでよろしいでしょうか。改修が全て計画どおり進んで、新しい施設に生まれ変わるのは令和8年度末までということでよろしいですか。

環境政策課長
(首肯)

9月7日
予算特別委員会

新型コロナの感染状況を見ていると、10代以下の感染が増えてから他の世代が増えていくデータがあります。また、子どもや若い人であっても感染後に後遺症になる人が後を絶ちません。そのため、少しでも感染拡大を防ぐためには学校園などでの対策をよりよいものにしたいと考えました。飲食店ではCO2モニターを備えているところが多くなりましたが、橿原市のすべての学校ではどうなのか。文部科学省は7月の事務連絡で、補助金を活用してCO2モニターやサーキュレーターなどを効果的に使うように、としています。8波が起こる前に必要なものを揃えた方がいいのではないか、と思い質疑しました。

矢追もと
おはようございます。小学校、中学校、あと、幼稚園の消耗品の購入費のことでお聞きいたします。
こちらの予算を使って感染の防止対策のために購入されるものとしては、具体的にどんなものを、誰がどのように決めて購入されるかを具体的に教えていただけますか。

教育総務課長
消耗品は県費で2分の1の補助事業があるのでそれを使わせてもらう。小・中学校の生徒数に応じて補助金の額が決まっている。配当金額を、残りの分を学校に配当し、学校のほうでコロナ対策で必要と思われるものを買う。例えば、以前買われたものは血中酸素濃度を測るパルスオキシメーター、ウイルスがついているというので玄関マットとか、学校によって必要と思われたものを買われる。教育委員会としてはコロナ対応で買っていただけるものをお願いしている。

矢追もと
ありがとうございます。
第7波ではお子さんの間での感染がかなり広がって、感染者数の中に占めるお子さんの割合はかなり多かったと思います。第6波の際には、市のご答弁の中でも、お子さんの感染は家庭内感染がほとんどなんだというふうなお言葉をいただいたこともありましたが、今回の第7波ではちょっと実情が違ってきたんじゃないかなと思っています。そこで、今年の7月15日に文部科学省から出た「『新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針』の変更等について」という事務連絡についてはご存じでしょうか。

学校教育課長
文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課からの書面であると認識している。

矢追もと
7月15日というとすぐに終業式になってしまったかと思いますし、すぐに学校現場でどういう対処をするのかというのが、その通知によって皆さんがどのように行動されているかというのは私はちょっと存じ上げていないんですけれども、この中に「換気について」という項目があり、効果的な換気が行われるようにということは以前からのガイドラインやマニュアルの中でもさんざん言われてきて、どの学校現場でも意識されていることかと思います。こういった換気提言というのも新型コロナウイルス感染症対策分科会で出されていて、これは7月14日付の一番新しいものになるかと思うんですけれども、そういった中では、サーキュレーターですとかCO2モニターを効果的に使うようにと。そういった補助金も出ているから、そういったものを活用してくださいという文言も書かれています。エアロゾル対策としてこういうものが有効だと書かれているんですけれども、こういった通知や提言を受けて、このような物品の購入を教育委員会として検討されたかどうかをお聞きできますか。

教育総務課長
サーキュレーターは、2年度、令和3年3月に各幼・小・中、2台ずつ、コロナ対応で購入した。学校は常時換気として、対角線上に窓を開けて換気ができない場合にサーキュレーターということで国のほうからもあり、サーキュレーターを令和2年度に設置した以降に調べたが、各校では買っていない現状。多分換気はできていると思う。今後、やはりこれでは足らないとなれば教育委員会で購入も考えるが、今のところ配当予算で学校が必要と判断されたら買っていただく。

矢追もと
ありがとうございます。
今回の財源の中には学校保健特別対策事業費補助金も含まれていまして、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金以外の財源も含まれています。そういった中でも、もちろんサーキュレーターやCO2モニター以外にも、教員の手を煩わせないように、清掃や消毒作業を外注できるようにとか、いろんな物品の購入にもこれが充てられるようになっているので、もちろん学校現場のご意見を聞きながらそういった予算に充てていただくことについては、私、何も異論はないところです。
ただし、こうやって学校現場での感染が拡大していって、このような換気というのも、窓の開閉だけではなくて、CO2モニターを使うことで可視化できるというふうな方法もある中で、橿原市として子どもたちの健康をどういうふうに守っていくのかというのが現場任せになっていないかなというのもちょっと不安に思っているところなんです。
こういった通知を基に、学校現場に「こういうふうな物品が購入できます」と下ろしていかれる際に、学校現場としては様々な物品を既に購入されているので、「これ以上何を買ったらいいのかな?」と悩まれるような可能性ももしかしたらあるんじゃないかというふうには思うんですけれども、こういうふうな通知が出ている、これの財源に沿っての今回の予算化なんだ、備品購入なんだというようなことは各学校にはどのように通知をされるんでしょうか。

教育総務課長
毎月、校長会、教頭会がある。そのときに補正予算の内容を伝えて、「こういうものが買えます。もし、こういうものが欲しいけどどうですかというのは直接教育委員会に聞いていただくように」とお願いしているので、そのときに周知したい。

矢追もと
ありがとうございます。
今回の感染拡大、お子さんの感染が多かったということは、本当に教育委員会も業務のほうがとても大変だったと思います。学級閉鎖のクラスも大変多かったと思いますし、その対応の業務だけでもかなり逼迫されていたのではないかなというふうに思います。
私は、やはり夏休みの間に、できれば、教育委員会だけに任せずに、もう少し全体的に感染対策をどうしていくのか、特にお子さんが増えているということを全庁的に認識してコロナ対策を取っていく動きというのがもう少し見えてほしいなと思っております。何らかのリーダーシップを取って、必要なものは購入していく。対応を現場任せにするのではなくて、こういった通知に目を光らせることのできる教育委員会を中心に全庁的に取り組んでいただきたいと思っているので、まず、購入の際には、こういうふうな積極的な取組の方法があるということをしっかりと現場のほうにも伝えていただいて、有効な備品購入につなげていただきたいと思っています。
それで、もう1つお聞きするんですけど、その通知の中で、換気とともに、もう1項目、「検査の活用について」というふうな項目もあります。今まで保健所の逼迫で学校への拡大検査がストップして、そういった対応が取れなくなっていたんですけれども、去年もそうですし、今年も私のところには、「幼稚園に通っているんだけど、濃厚接触者に特定されてしまった。でも、保健所は逼迫しているから、自宅待機だけになっている。行政がもう少し責任を持って検査できるような体制ができないだろうか。濃厚接触者になった子どもだけでなくて、一緒に住んでいる親も行動制限がかかってしまうような、どう行動していいか分からないような状況が続いています」という声をお聞きしています。去年も同じような、今年も同じようなお声をいただいています。
こういう検討は教育委員会だけではなく全庁的な取組としてやっていかなければならないかと思うんですけれども。この中では、いわゆる無料のPCR検査がありますね、今でしたら各薬局さんがされていたり、運動公園にも設置されているような、ああいった民間さんのものを活用することも可能と書かれているんですが、こういう検査体制について7月15日以降、庁内で検討されたことはありますでしょうか。ご答弁をお願いいたします。

こども・健康スポーツ部長
PCR検査ということだが、橿原運動公園のプールで無料検査を実施しており、市内の薬局でも無料のPCR検査を実施している。
濃厚接触者という話もあったが、今現在、抗原検査キットであったりという検査キットの確保が非常に困難な状況だ。国も陽性者の判定、要は、医療機関でのPCR検査に重点を置き、そちらに優先的にキットを回している状況で、市民がキットを購入するのはかなり厳しい状況。市としても、これまでもそういう方針で行っており、市として購入ルート等もないので、現状では今の対応を続けたい。

矢追もと
私の質疑は、この7月15日以降に検討したか、しないかということなんですけれども、今のお答えが、検討した後の結果ということでよろしいんですか。それとも、検討しなかった、現状こうだというふうなことなんでしょうか。

こども・健康スポーツ部副部長
危機管理課と協議する中で、市のコロナ対策ということで検討はした。
ただ、その中で、6月で県の一般検査が終わると。ワクチン・検査パッケージだけが継続されるということで、感染が拡大しているという状況の中で、一般の感染不安の方が検査する体制がないのではないかという中で、市として何か考えられないかということも検討した。その中で、実際に検査キットがあったとしても、最終的に判断するのは医療との関係が切って切れない仕組みがあり、どのようにすれば早急に市民の手元にそういう制度が届くのか検討したが、県に一般検査、これは県が国に受検要請を出す形になるので、知事の判断になるので、県にこの感染状況で一般検査の継続をしていただけないか橿原市からも要望したし、並行して何か方法があるのか検討した結果、感染拡大の中で、県が半月ほど待って一般検査を実施する形になった。その間、橿原市として、運動公園に関してはほかの機関と違い、検査数のキャパがかなり大きいと。検査機関にも可能な限り受け入れてほしいと要請した結果、実際に想定以上の受入れをしていただいている日もあると聞いているので、何とかそこで市民の最初のセーフティーネット、不安に対しての対応は取れるのではないかと思った。
プラス、濃厚接触者については一般検査の対象外になるので、市としてできるところは、橿原市の休日夜間応急診療所で、本来は発熱者等の陽性者だけだったが、途中から、濃厚接触者の検査体制もないという中で、濃厚接触者を拡大して入れる形で対応した。

矢追もと
検討はしてくださったということなんですけれども、確かに今までも、国はできるよと、自治体の判断で、行政の判断でやってもいいよというふうな通知が出ていても、実際問題なかなかできない。例えば県との、保健所との連携がうまくつかないとかいうことで、できないことは多かったかと思うんです。どうしても受け身にならざるを得ないところが多々あったかと思うんです。でも、やはりお子さんの健康を守るという上で、毎日お子さんを安心して学校に通わせるためには、ある程度、市としてリーダーシップを取った感染対策、もしくは感染者が出たときの、安心してその後を過ごしていただけるような体制というのを構築することというのは、ずっとずっとテーマとして持ち続けていただきたいと思っているんですね。
この通知の内容だと、無料検査事業というのは活用できるというふうに書かれているんですけども、以前お伺いしたときに、例えば検体をどういうふうに運ぶのかというような、人件費といいますか、人員のことを考えるとなかなか難しいというふうなこともお聞きしました。もっと前ですと、そもそも要綱に引っかかってしまうからできないというふうなお答えもいただいたことがあるんですけれども、今ですと、結局、要綱には引っかからないようになりましたよというふうなことで、国のほうも少しずつ前に進めているのではないかなというふうに私は思っていますので、ぜひ教育委員会を中心に、また全庁的にこういうふうな検査体制がさらに取れないかというのをしっかり議論していただきたいんです。現場任せにせずに議論していただきたいんです。方針をある程度大きくつくっていただかないと、現場も困ってしまうと思います。なので、やはりふだんからそういったコミュニケーションを皆さんの中で取っていただくことで、こういった使える予算が来たときに、それをどのように使うのか、使いたいのかというのはおのずと決まってくるのではないかなと思いますので。もちろん現場の意見を聞いて備品購入していただくことに私は反対いたしませんけれども、まずリーダーシップを取って、大きな動きをするときには、それにもこういった予算をしっかり充てていただけるように今後検討していただきたいんですけども、いかがでしょうか。

教育委員会事務局長
今、第7波を迎え、こどもの感染が非常に増加している現状を踏まえ、委員のおっしゃったような検査体制を含めて、子どもが安心して学校等に迎えられる状況をつくっていけるよう、検討を進めたい。

市長
学校の現場のことは教育委員会、教育長を中心に進めていくところにしっかりとサポートはしていきたいというふうに考えているが、全庁的にしっかりと共通認識を持てというご意見だったと思いますので。学校現場、教育委員会だけに任せるのではなくて、全庁的に、全ての課においてコロナ対策、あるいは子どもの安全・安心を守るというところで、しっかりと、コロナの対策会議もありますので、そういったところも活用しながら、そのイメージというか、その考え方を頭から外すことなく、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えている。

9月13日
議会改革特別委員会

今年度の議会改革特別委員会では私、矢追もとが委員長をつとめております。ユーチューブでの議会生配信などさまざまなことを提案し、実現してきましたが、今回の特別委ではミグランスでの議会中継を実現することができました。

1・ミグランス等における中継映像の放映について

事務局 議会開催中のみ中継放映用のモニターを設置し、インターネット中継の映像を放映する方法が良いと判断した。現在、モニターの設置は完了。機器等に問題なければ今定例会の一般質問から放映を開始する。 

これをうけて、庁外での議会中継が初めて開始されることが決まりました。ミグランスの市民交流広場に画面が置かれます。ただし、広場でイベントがある際はそちらが優先されることになりました。議会は市民生活にかかわる決定をする大切な議論の場です。この日、決まったことなのですが、インターネットのユーチューブで議会の生中継をご覧いただけるようになります。ただ、ネットを見ることができない人にとって中継場所があるのはいいことだと思います。議会の様子を議場以外で見られるようにする方法を今後も考えたいところです。

2・議会における業務継続計画(BCP)の策定について

BCPについては、もう少し学んでいく必要があると感じましたので、今後、勉強会を開いてBCPについて調査・研究をしていくことを提案し、他の議員からも同意が得られました。

希望した議員が勉強会に参加し、結果はそのつど特別委員会に報告することになりました。

3・YouTubeLiveによる中継について

 現在、YouTubeによる試験配信をしています。同時に、旧来の配信システムも使っているのですが、全面的にYouTubeに切り替えてもよいかどうか判断が難しいので、来年度の議場配信システムの委託契約については、来年の委託契約終了後から1年間契約し、全面切り替えをしてもよいかどうか様子を見ることになりました。

生配信はおよそ平均30回の視聴回数となっているそうです。

4・LoGoチャットの試験配信について

議員間や職員と議員とのやりとりに使っていた電話や郵送、ファクス、電子メールにかえて「LoGoチャット」を使うことになりました。当面は並行して使います。「災害時の安否確認」や「議員への情報提供」「議会運営委員会の決定事項」「本会議の招集告知の連絡」「議案・委員会資料配布の連絡」「委員会の開議通知」「行政視察の通知」「議会・委員会当日の参集通知」「議会だより一般質問の原稿確認」「委員会内の連絡調整」といったことに利用していく予定です。

9月16日
一般質問

今回の一般質問では、子育て政策と少子化対策をテーマにし、
・2人目以降の保育料無償化
・「子育てしやすいまち日本一」の具体的な数値目標を定めること
・ママヘルプサービスの利用回数をさらに増やすこと
・子育て情報をプッシュ型でどんどん発信すること
・学校図書室に司書を置くこと
を要望しました。
厳しい財政の中ではあるが無償化の検討はする司書は5年間で全校配置の努力をするという答弁がありました!

2人目以降の保育料無償化について

矢追もと
9番、矢追もとです。議長の許可を得ましたので、通告に従い質問いたします。

まず1つ目は、子育て政策と少子化対策についてです。
2021年の子どもの出生数は約81万人と過去最少、国の推計より6年早い61万人台突入となりました。さらに、推計時点は異なりますが、国連人口統計年鑑(2020年版)などによりますと、総人口に占める子どもの割合は、人口4000万人以上の35か国中、日本が最低の11.7%です。にもかかわらず、日本の子育て支援に対する公的支出は大変少ない状況です。OECDの調査によると、2017年の対GDP比での子ども・子育て支援に対する公的支出は、日本は1.79%で、OECD平均の2.34%を大きく下回っています。一方で、日本の約2倍、3.6%を支出するフランスの合計特殊出生率は1.84%、3.4%のスウェーデンは合計特殊出生率1.7%であることをはじめ、子育てへの公的支出の高さと合計特殊出生率には相関関係があるようにも見えます。

橿原市の出生率も減っています。人口1000人当たりの出生数でいえば、平成20年には9.5だったものが、令和元年には6.8まで下がっています。では、どのような政策があれば、子どもを産み育てやすくなるでしょうか。今回、私は保育料に注目しました。共働き世帯が増え、保育所は今、なくてはならない施設です。2019年より幼保無償化がスタートしました。しかし、対象は3歳から5歳児クラスのお子さんです。0~2歳児クラスのお子さんは対象外ですが、きょうだいがいる場合は保育料の減免があります。それは多子軽減と言われるもので、保育施設などをごきょうだいで複数人利用している場合、年長順に数えて2人目のお子さんは半額、3人目は無料となるものです。しかし、上のお子さんが小学校に上がると、無料の減免がなくなったり、無料だったものが半額になってしまうというルールです。

まず最初の質問ですが、この多子軽減の制度の目的について教えてください。また、今年度、0~2歳児クラスで保育を受けている子どものうち、第2子以降のお子さんで多子軽減を受けている子どもと受けていない子どもの数を具体的に教えてください。それから、保育料は親の収入によって変化するものですが、参考までに、毎月どのくらいの保育料を支払われている世帯が特に多いのか、多い区分の順に上位3番目までそれぞれの保育料と人数を教えてください。

北野哲也・こども・健康スポーツ部長
多子軽減制度は国が所管し、全国一律の制度。目的は少子化対策の一環で子育てを支援するため。

次に、令和4年9月1日現在で、本市で多子軽減を受けている人数は324人、多子軽減を受けていない人数は468人。468人の児童の中で上にお子さんがいるが多子軽減を受けていない児童数は281名。多子軽減を受けている324人の児童の中で、2人目で半額免除の児童数は286人、3人目以降で無料の児童数は38人。

最後に、令和4年7月1日現在の本市の保育料基準額表の階層ごとで、人数が多い順に上位3階層の保育標準時間の保育料と児童数を答える。最も人数が多い階層は第6階層aで、保育料が4万2700円、児童数は423人。次いで第5階層bで、保育料が3万4800円、児童数は345名。次は第5階層aで、保育料が3万1200円、児童数は318名。

矢追もと
ありがとうございます。数字が多かったので少し整理いたしますと、第2子以降のお子さんでも多子軽減を受けられない方が281人と少なくないことが分かります。受けていても半額の免除にとどまる方は286人ということです。また、多子軽減制度は国の少子化対策というご回答でした。もし、幼保無償化されていなければ、複数のお子さんがいる家庭において、多子軽減の意味は大きかったと思います。しかし、3歳以上が無償化された今、保育料がかかるのは小さいお子さんだけですので、上のお子さんの年齢によって多子軽減を受けられたり受けられなかったりする不公平感のほうがむしろ今強くなってしまっています。

お聞きした一番多くの世帯が支払われている保育料は月々4万2700円。これ、計算しますと、年間で51万2400円。半額支払われている方でも25万6200円必要になります。上のお子さんと年が離れている場合ですと、ほとんど多子軽減の恩恵を受けることができないという世帯もあります。このように、多子軽減は、お子さんが多いご家庭の負担軽減にとても効果があるとは言えないのではないかと思いますが、市としてはどう思われますか。また同時に、第2子以降無償化という考え方もあります。もし、第2子以降の保育料を無料とした場合、本年度でいえば、第2子以降だけれど、多子軽減を受けていない先ほどの281人と、半額免除になっている286人が対象になってくると思うのですが、具体的にどれくらいの予算が必要かをお聞かせください。

北野部長
子育て世帯の負担軽減になっていないと思うがということだが、0~2歳児全体の37%が多子軽減の制度に適合しており一定効果はあると考えている。一方で、所得階層にもよるが、保育所に入所している児童から数えての第2子、第3子となっており、要件がなければ制度の対象になる児童が現状では制度の対象になっていない。実際、そのような保護者の声も聞いているので、現在の条件を撤廃するとより一層、多子世帯への支援効果が高まることは間違いない。

また、2人目の保育料について、国で定める条件にとらわれずに無償化した場合、約6100万円の歳入減が見込まれる。

矢追もと
6100万円の歳入減ということなので、その補塡が必要ということだと思います。しかし、2人目、3人目のお子さんを考えたいけれど、月々の保育料のことを考えると負担に感じてしまうというお声を私も実際にお聞きしています。お子さんが生まれると、衣・食・住、様々な費用が一気に必要になります。お子さんが複数ですと、さらにかかります。子育てのために仕事をセーブすることもあります。その上で、先ほど伺った月々4万2,700円、年間ですと50万円余りのお金が保育で必要になるわけです。それにより、お子さんを諦めるのはとても残念なことです。

子育て支援への公的支出が少ない日本は、子育てにとてもお金がかかる国であり、子育て世帯の負担が大きいということが少子化の1つの原因になっています。一方、既に第2子以降の保育無償化を行っている自治体もあります。出生数や子育て世帯の流入を増やしている明石市も、きょうだいの年齢や親の収入に関係なく、第2子以降の保育料を無償化しています。財務省の財務総合政策研究所が2020年に行った研究会で、東京大学大学院経済学研究科の山口慎太郎教授は、各国のデータや事例を比較して、出生数の引上げには妻の負担軽減につながる政策が特に効果的で、保育・幼児教育は最も大きく影響し、育休政策や保育への補助金は費用対効果が高い政策と予測されています。

橿原市の少子化の実態を見ると、国の施策を待っていられません。私は第2子以降の保育無償化に市独自で取り組むべきだと考えます。この施策で一番恩恵を受けるのは、お子さんの多い中間所得層です。保育料の無償化により、手元に残るお金を地域で消費していただくなどにより、より循環が生まれ、地域が活性化します。また、橿原市に魅力を感じて移住・定住していただく子育て世帯が増えることで税収も期待できます。ぜひ橿原市でも来年度から第2子以降の保育料無償化に取り組んでいただきたいのですが、市のお考えを聞かせてください。

北野部長
「子育てしやすいまち日本一」を目指す本市として子育て支援策を充実させることは重要な課題と認識している。議員から提案いただいた保育料減免制度が子育て政策で実績を上げている先進地で取り入れられている点も承知している。ただし、さきにも述べたように、全国一律の国の制度を拡充する部分は市の単独事業となり、約6100万円の歳入減は国からの補塡がない。「子育てしやすいまち日本一」を目指す上で、そういったことも含め、様々な面での子育て支援策は十分協議・検討していきたい

矢追もと
ありがとうございます。ぜひ前向きにご検討をよろしくお願いいたします。

「子育てしやすいまち日本一」の具体的な目標を定めることを要望

 橿原市は「子育てしやすいまち日本一」を目指すと掲げています。しかし、わかりやすい明確な数値目標がありません。目標を明確にすることで、行政も自分事として政策に責任を持つようになると考えます。このため、目標設定を要望したのですが、行政側からは「それに重圧を感じたり、ナーバスに捉える方もいると危惧している」との答弁がありました。すでに出生数などの目標を立てておられる明石市の職員の方にお伺いしましたが、庁内でそんな危惧をする声はなかったし、市民からもまったくそんなクレームはなかったそうです。行政側は出生数などが増加に転じたら「数値目標も検討してはどうかと考える」と答弁していますが、私は今すぐに目標設定をするべきだと考えています。

矢追もと
私は、子どもを増やすというのは生半可な取組では難しいと思っております。橿原市第4次総合計画では、「市民アンケートにおいて『多くの人が2人以上の子どもを持つことを希望しているものの、経済的負担や仕事の事情、心身の健康問題などさまざまな理由から希望する人数の子どもを持てない』といった状況がみられます。安心して妊娠・出産・育児ができる環境を整えていく必要があります」と書かれています。だからこそ、第2子以降の保育無償化は、やるべき施策の1つだと思います。それと、もう1つ、それらの施策とともに、私は分かりやすい目標も必要だと思っています。前述の明石市の例を取りますと、明石市は平成27年に「トリプルスリー」という目標を立てました。これは、人口30万人、出生数年間3,000人、本の貸出し数年間300万冊という目標で、人口と貸出し冊数は達成され、出生数も毎年増加するなど、取組の効果があったと思われます。本市の場合、明確な数値目標はありません。子どもが減っている理由を共働きの増加や晩婚化またはコロナ禍のせいにして傍観せず、目標を明確にすることで、基礎自治体として何ができるか、行政が自分事として考えられるのではないでしょうか。今、橿原市は、先ほどおっしゃっていただいたように、「子育てしやすいまち日本一」を目指していますと宣言されています。出生数や出生率などの目標を市として設定していただきたいのですが、いかがでしょうか。

北野哲也・こども・健康スポーツ部長
子育て世帯を増加させるということは、出生数の増加のほか、子育て世代の転入の増加及び転出の抑制などが考えられます。さきにいただいた意見も含め、子育て施策を拡充していくことで子育て世帯が増加し、また、2人目、3人目の出産への後押しになることで、少子化の解消につながることが望ましいと考えている。

議員お述べのように、それに向けた数値目標を設定した場合は、その数値目標を前向きに捉える方だけでなく、それをプレッシャーに感じる方やナーバスに捉える方も少なからずおられるのではと危惧している。市として数値目標を掲げることについては施策評価等でも数値目標は全てある。その数値目標に向かって市の施策を実行するのは非常に重要だが、やはりちょっとマイナスに捉えられかねないというふうな危惧をしている面があるので、慎重に議論していく必要があると考えてはいるが、今後、子育て支援策の充実を図っていく中で、子育て世代の転入数であったり、出生数の増加が見られた際には、さらにその上を目指していく意味で、数値目標の設定も検討してはどうかと考えている。ただ、繰り返しだが、合計特殊出生率や出生数が増加に向かうような子育て支援策の拡充は重要と認識している。

矢追もと
今の答弁で、市民の方がナーバスになられるような意見があるのではないかということだったんですが、私が希望しておりますのは、目標を設定することで市の内側の動きが活発になって事業効果が高まることを期待するものであって、出生率を押し上げるために市民側に「産めよ」と強要するような目標ではもちろんありません。私、この質問をする前に明石市さんの担当者の方にもお話を伺いましたが、「目標設定の際に庁内から危惧の声は特になかったし、実際に市民からのクレームも自分自身は聞いたことがない」というふうにおっしゃられていましたので、そういった目標設定を公表されている市のこともいろいろと聞いてくださったり、実情を研究していただきながら、何が適正な目標なのかをぜひ市として検討して、設定していただきたいと思います。

第2期子ども・子育て支援事業計画においては、基本理念などをもちろん設定されているんですけれども、庁内のどれぐらいの職員の方がその基本理念を覚えてくださっているのか。また、覚えてくださっていたとしても、具体的に何をしたらその達成になるのかというのはすごく分かりにくいと思うんですね。この子ども・子育て支援事業計画では「子育てロマンのまち かしはら」という、そういった基本理念なんですけれども、目指す姿というのが何なのか、その方によって受け取りというのは様々だと思います。私は、庁内の皆さんが共通して認識していただけるような明確な目標があることが、大変分かりやすく、また、目印となって、それに向かってみんなで頑張っていこうという、そういった動きにつながることを期待して、目標設定をまた検討していただきたいと重ねて要望させていただきます。

ママヘルプサービスの利用回数をさらに増やすことや子育て情報のプッシュ型発信を要望

矢追もと
もう1つ、2人目、3人目を産みたいと思う条件の1つとして、男性の家事・育児参加があります。改めて、山口慎太郎教授の研究によると、日本の男性の家事・育児負担は、OECD主要国の中でも低く、妻が子どもを望まない場合は、夫が家事・育児を担っていないことが多い。解消するには、繰り返しになりますが、男性育休のほか、妻の負担軽減施策が効果的とのことです。本市には、出産後の家事負担を軽減するための施策として、ママヘルプサービスがあります。産後6か月までの妊婦を対象に、1回1時間300円の負担で8回まで、多胎出産の方は16回まで家事援助を受けることができます。利用された方の声では、「限られた利用時間で積極的に動いてくれた」「食事の準備ができない時期だったので助かった」「来てくれた方と、たわいもないおしゃべりができたことが何よりうれしかった」とおっしゃっていました。しかし、利用者の数は伸び悩んでいて、利用者の実人数が年間20人を超えたことがありません。コロナ以前の令和元年でも、出生数829人に対して、利用者実人数は19人で、全体の2.3%です。他人を家に上げることに抵抗がある方もいらっしゃると思います。しかし、利用者の評価は高いので、一度利用すれば抵抗がなくなる方もいらっしゃるでしょう。

私は今まで何度かこの施策について言及しており、ホームページも以前より分かりやすく変更していただき、感謝しております。多胎出産の方が利用できる回数が増えたこともよかったと思います。しかし、妊娠から数度にわたって対象者にお伝えいただいていますが、出産された方にお聞きすると、なぜかこの取組の認知度・理解度が低いことが気になっており、さらに改善やアピールが必要だと思っています。出産後だけでなく、妊娠後期には、つわりや体の重さ、場合によっては安静にするよう言われて、家事ができなくなる方もいらっしゃいます。また、生後6か月以降の赤ちゃんは動きが活発になり、かえって目が離せなくなって、家事がしにくくなったという方もいらっしゃいます。私は、利用期間を妊娠後期から生後1年までに範囲を広げ、利用回数もさらに増やすことで、より利用の検討機会が増えるよう提案したいのですが、いかがでしょうか。

また、子育て情報は、直接お知らせのほか、ガイドブックやチラシなどに頼るところが大きいのですが、出産前後は心身ともに落ち着かず、情報を正確につかむのが難しいのが現状です。私は子育てアプリが一番便利だと思いますが、すぐに難しい場合、子育て情報に特化した公式LINEの運用で、プッシュ型の情報発信にも取り組んでいただきたいのですが、いかがでしょうか、市の考えを聞かせてください。

北野哲也・こども・健康スポーツ部長
ママヘルプサービスを知らない声が多いということだが、このサービスは育児への支援者が少ない、産後おおむね6か月未満の産婦に対して、家事援助を行うサービスだ。現在の周知方法は、対象の方にピンポイントでお知らせするのが一番確実なため、妊娠届け出時、また、妊娠5か月の支援電話のとき、出生連絡票の提出のとき、産後の電話支援のとき、産後の訪問時等にママヘルプサービスについて説明し、希望者にはチケットを購入してもらっている。産後8か月目までに手続をすれば返金できることから、必要と思った方はその場で購入されるケースもある。令和3年度は33人がチケットを購入しているが、実際に使用されず返金手続をされた方は6名。援助が必要と考えて購入したが、実際は支援してくれる人がいたので不要であったという方が多かった。ただ、困ったときのお守り代わりにチケットを持っていると気持ちが楽になり使わず済んだという声もある。

また、期間の拡大等のことだが、議員お述べのように産後2か月までの方を当初は対象としていたが、平成31年4月からは対象者を産後6か月までに拡大した。また、産後、最も支援が必要であると考えられる時期に利用できるようにしている。また、令和4年度からは多胎産婦については、通常8回のところ16回まで利用可能とした。今後も利用者や対象となる方の声を聞きながら、利便性も考慮しつつ検討したい。

次に啓発についてだが、現時点では機会があるごとに家事支援の必要性を聞き取って、必要なときの利用を促しており、現状で十分であるのではないかと認識していた。しかし、議員お述べのように、実際に十分に認知されていない現状があるのであれば、やはり必要なときに必要なタイミングで周知できる方法を検討する必要があると考えている。妊娠・出産をされる若い世代に向けては、LINE等のSNSの活用も有効であると考えられるので、今後も広く周知できるツールとして検討していきたい。

矢追もと
ありがとうございます。ママヘルプサービス、今までも拡充されてきたということで、それについては本当にありがとうございます。子育て情報は母親だけが知っていることも多く、アプリやLINEの活用で、父親やほかの家族も同じ情報を共有しやすくなるという効果も期待できると思います。出産したばかりの親は、市の支援を受けることや広報を見ることにも慣れていない方が多いので、そういった点もぜひ考慮していただきたいと思います。あわせて、家事以外に、お子さんを少し見てほしいというようなニーズのずれや、チケット購入が面倒というような手続の問題、サービスの伝わり方の悪さなどがないか、利用者アンケートで調べて、事業改善に活用することなどもぜひ検討してください。今まで申し上げたような施策には予算も必要です。しかし、未来への投資として必要な予算だと考えます。これについては後ほどの質問と併せ、財政と市長にもお考えをお聞きしたいと思います。

すべての学校図書室に司書を置くよう要望し、5年での配置に努力すると答弁がありました

矢追もと
では、次の質問に移ります。
2つ目の質問は、学校図書館についてです。小学校・中学校の図書室は、正式には学校図書館と呼ばれるもので、学校図書館法において定義されており、「学校には、学校図書館を設けなければならない」とされています。また、学校教育法においては、義務教育の目標として、読書に親しませることが規定されています。さて、平成5年に公立義務教育諸学校の学校図書館に整備すべき蔵書の標準冊数が「学校図書館図書標準」として定められました。同じ年に国より「学校図書館図書整備計画」が定められ、その中では、学校図書標準を達成することが目標とされました。

1つ目の質問ですが、市内の公立小・中学校の学校図書標準の達成状況を教えてください。加えて、学校図書館の昼休みの開室状況、どのような方が開室の際に貸出し業務を行っているかなど、教育委員会の把握されている状況を教えてください。

栗原照仁・教育委員会事務局長
国が定めております公立義務教育諸学校の学校図書館に整備すべき蔵書の標準としまして、各学校のクラス数に応じて「学校図書館図書標準」が定められている。教育委員会として、学校図書標準冊数を達成すべく、毎年度図書の購入を継続的に行っている。現在の達成状況は小学校全体の標準冊数として15万3880冊に対し、16万7196冊で108.3%に達している。しかし16校中11校が学校単位で達成しているが、それを下回る学校が5校あってばらつきがある。中学校全体の標準冊数は7万7120冊に対し、9万5818冊で124.3%。6校全てが標準冊数を超えている。

学校図書の蔵書数については、毎年度の図書購入費予算に加え、宮崎県日南市在住の故戸村吉守様、サチ子様からいただいた寄附を小・中学校の図書室や幼稚園の絵本の部屋に「戸村文庫」として特別なコーナーを設け、平成元年度から図書の購入を行っており、また、昨年12月に戸村サチ子様から3000万円の寄附をいただいて設置した「子どもの未来を育む戸村文庫」基金や今年度はコロナ交付金を活用した200万円を充てるなど、学校図書の充実を図っており、今後も橿原市の子どもたちに本のすばらしさを伝えていきたいと考えている。

次に、2点目。学校図書館の開室状況については、小学校は学期始めや終わりなど一部の期間を除いて、平日はほぼ毎日開室されている。一方で中学校は曜日によって開室日と閉室日を設けている学校が多い。図書の貸出し業務は担当教員の指導の下、図書委員の児童・生徒が行っている。

矢追もと
ありがとうございます。私が聞いているところでは、小学校について、昼休み、週に2回の開室だという学校があることも聞いています。また、中学校については、図書ボランティアが来られる日、週3日だけ開室できているというような話も聞いております。

学校図書標準については、平成20~24年に実施された「橿原市子ども読書活動推進計画」の中で、平成24年8月末時点で、小学校では95.8%、中学校では90.7%が達成していると書かれています。今いただいたご答弁ですと、中学校は100%を達成されているようですが、小学校は16校中11校が達成ということですので、そのときより少し数値は後退しているという状況です。恐らく70%弱ぐらいの達成率ということになってくるかと思います。廃棄する図書などで蔵書数が減少しているのかもしれません。古い情報が掲載されている本や資料が残っている可能性もあり、一度の達成で完了ではなく、維持・更新していくことも重要な課題の1つです。

先ほど申し上げた「学校図書館図書整備計画」ですが、平成24年の第4次計画以降は、図書のほかに、学校司書を配置することで、学校図書館の拡充を図ることも明記されました。もともと、平成9年の学校図書館法改正により、12学級以上の学校に司書教諭の配置が義務づけられましたが、学級担任を兼務していることがほとんどで、図書館運営の日常的関与は難しい状況です。さらに、平成26年からは、学校司書を置く努力義務が加わりました。このような中で、平成29年からは第5次、今年度からは第6次計画がスタートし、学校図書館司書の配置拡充をうたっていますが、現在のところ、市内の公立小・中学校では学校図書館司書の配置には至っていません。

さて、国は目標をうたうと同時に、実は地方財政措置もしています。昨年まで実施された第5次計画の中では、単年度で図書の整備に約220億円、学校図書館への新聞配備で約30億円、司書の配置には約220億円が措置されています。教育委員会としてこの計画はご存じだと思います。そこでお聞きしますが、この計画の中で取られている地方財政措置は、図書・新聞・司書配置に対し、昨年度、それぞれ本市には幾ら交付措置が取られていたか、それはどのように使われているかを教えてください。それと、今まで教育委員会として、司書の配置を目的として予算要求をしたことがあったかどうかをお聞かせください。

栗原事務局長
まず1つ目の金額だが、令和3年度の普通交付税の基本財政需要額に算入されている推定金額は、学校図書館図書は小学校費で約1200万円、中学校費で約800万円。新聞配備経費で小学校・中学校ともに約100万円。学校司書は小学校費で約1700万円、中学校費で約600万円。合計で小学校費約3000万円、中学校費約1500万円、総計4500万円。国の財政措置は交付税の基準財政需要額に算入されている。交付税の使い道は特定のものに限定されない一般財源であり、あらゆるところに行き渡っている。

次に、これまで教育委員会として、司書配置を目的に予算要求をしたことがあったかだが、平成26年の学校図書館法改正で学校司書の配置が努力義務化されたことがあり、これまでも学校図書館司書についての予算要望は上げている。学校図書館は、子どもが本に親しむための入り口であり、子どもによっては学校図書館が「初めての図書館」になるため、学校司書の役割は非常に大きい。実際、学校図書館に学校司書がいるかどうかで、子どもたちの本との出会いや学びには格段の差・違いが生まれると聞き及んでいる。さらに学校司書は、教師とうまく連携することができたら、授業の資料探しやサポートも可能となり、授業の質の向上にも結びつく。全国学力・学習状況調査において、本市の児童・生徒が苦手とする国語科の読解力の向上に関しても学校図書館の利用率と密接な関係性を有するものと考えている。また学校には、教室や部室以外の場所で人と人がつながる場所が少なく、学校図書館はその機能、すなわち、昨今その必要性について言及されることの多い「子どもたちにとっての第三の居場所(サードプレイス)」としてのすばらしい役割・機能も持っている。

令和3年度の予算要求に際しまして、橿原市の財政が危機的な状況であるため、一旦、学校司書の要求は中断していた。しかし、今後は改めてその配置に向け、前向きに検討したい。

矢追もと
昨年度までの5次計画の中では、5年間にわたり、年間約4500万円のお金が地方交付税の中に含まれていたとのことです。確かにこの地方財政措置は、使途を特定しない一般財源であり、自治体で予算化して初めて当初の費用に充てることができます。どのように使うかは自治体次第ですが、「学校図書館図書整備計画」には、「各自治体においては、学校図書館の現状把握とそれに基づく適切な予算措置をお願いします」とも書かれています。一般市民の感覚としましたら、教育費でもらったお金を生活費で使ってしまったという感じが正直否めません。図書については、コロナの交付金を充てていただいたり、市立図書館と連携して団体貸出しを行うなど一定の努力をされてきたと思います。しかし、第4次、第5次計画の10年間にわたって、学校司書配置には1度も予算は使っていません。

先ほど、司書の必要性について、教育委員会よりもご答弁いただいたとおりなんですけれども、具体的な取組を紹介させていただきます。島根県では、平成21年から県の取組として、全ての公立小・中学校における「人のいる図書館」の実現を目指しました。文部科学省令和2年度「学校図書館の現状に関する調査」によると、島根県は、学校司書配置率は100%、開室時間が増えたことで貸出し冊数も増加したそうです。ちなみに奈良県の司書配置率は、小学校で25.1%、中学校は30.6%で、47都道府県中、小学校は4番目、中学校は5番目、いずれも下からです。

文部科学省は、学校図書館を読書センターにとどめず、学習センター、情報センターであると位置づけています。市長は、ただ単に本を貸し出すだけではなく、先ほど申しました課題であるところの本の維持・更新、子どもの興味に応じて本を紹介してくれたり、手が伸びやすいような本の配架を工夫したり、資料の探し方や使い方を教えることで、調べ学習の手助けをしたりなど、より深い主体的な学びを支援します。今はインターネットで様々な情報が集まりますが、情報を正しく読み取るためにも知識が必要です。図書館で情報の集め方を学び、幅広い知識に触れることは、今後、情報を正しく選び出すため、生きていく力を養うための素地ともなります。また、文部科学省の「学校図書館ガイドライン」の中にも、先ほど言及していただいたサードプレイスの機能について、「一時的に学級になじめない子供の居場所となりうること等も踏まえ,児童生徒の登校時から下校時までの開館に努めることが望ましい」と明確に記されています。教育委員会からは、本市の子どもが苦手とする国語の読解力の向上について、図書館が有効であるともおっしゃっていただきましたが、このように学校図書館とそれを運営する司書の存在は、学力テストなどでは直接数値化できないような効果もあります。先ほど紹介した島根県の取組は、より広がりを見せており、学校司書に学びのサポーターとしての役割を追加し、本を介した居場所づくりのほか、ICT機器を活用した学習支援も行うこととし、そのための研修も行われているそうです。

そのように、重要かつ可能性も秘めているのが学校司書です。橿原市が司書を配置してこなかったこの10年で全国では、財政措置を活用した学校司書の配置が進みました。全国の平均配置率は、令和2年で小学校は69.1%、中学校は65.9%、橿原市はいずれも0%です。平成24年の国の第4次計画では、おおむね2校に1名程度の配置が当初目標でしたが、現在の第6次の計画ですとおおむね1.3校に1名、将来は1校1名の配置を目指しています。そのため、財政措置も単年度約150億円だったものが、現在は243億円に増額されています。先ほど教育委員会からは前向きにご検討いただけると回答いただいたんですけれども、ぜひ、地方財政措置を活用して、学校司書を配置していただきたいです。一度に全校配置が難しければ、まずは数校を兼務したり、モデル校の取組から始めるなどして、その重要性や効果を確かめながら、遅くともこの5年間で全校に配置していただきたいのですが、いかがでしょうか。

栗原事務局長
議員お述べのように、令和4年度から令和8年度を対象として文部科学省が定めている第6次「学校図書館図書整備等5か年計画」では、学校司書の配置拡充に単年度243億円が地方財政措置されている。小・中学校のおおむね1.3校に1名の配置が目指されている。併せて、学校図書館担当指導主事の配置や学校図書館指導員の配置も求められている。現下の橿原市の財政危機宣言下では市内の小・中学校22校全てに常勤配置は困難と考えているが、子どもたちが学校図書館を訪れる時間帯を、週のうちに何日かカバーしたり、複数校の兼務や巡回での配置など工夫しながらの取組も1つの方法と考える。効果的な方法を検討し、今期の「学校図書館図書整備等5か年計画」の期間中に、市内全校への学校図書館司書の配置ができるよう努めていきたい。そして、学校図書館の環境整備と積極的な活用に努力したいと考えている。

矢追もと
ありがとうございます。この5年間で市内全校への配置に努めると、はっきりと表明していただき、大変うれしく思っております。

1つ目に提案しました子育て支援、少子化対策にも大きな予算が必要です。しかし、お子さんが小さいときの支援だけではなく、教育分野でも魅力ある市になることは、住み続けたいという動機づけとなります。子育て、教育、広く子どものための政策に予算が必要です。市として、いじめ・不登校対策の指導員や心理相談員も配置していただいていますが、今定例会の開会日には教育委員会より、県内他市に比べて本市の教育予算が少ないというご答弁があったばかりです。市民としては、「なぜ?」という言葉が浮かぶばかりです。

私は、このように子どもの予算を手厚くしてほしいというふうに要求しているわけですけれども、ほかの施策はどうでもいいと申し上げているのではありません。しかし、子どもが生まれないまちに未来はあるのでしょうか。立派な建物や道路を整備しても、今後それを使う人がいなくなってしまっては意味がありません。子育て・教育施策に投資することは、回り回って市によい循環をもたらし、結果、ほかの施策に取り組む余裕が生まれてくると考えます。

それでは、財務部長にお聞きします。これまで国の地方財政措置が取られていた上に、教育委員会が予算を要求したこともありましたが、結果として、財政の査定で司書に予算がつかなかった理由を教えてください。また、市長は常々、子育て・教育に力を入れたいとおっしゃっていますが、今のような予算措置で十分だと思いますか。簡潔にお願いできたらと思います。お考えを聞かせてください。

加護部長
議員お述べの財政措置については、学校図書館整備費において、基準財政需要額の単位費用の積算に含まれるということで、地方交付税措置がなされている。地方交付税は一般財源でその使途は各団体の自主的な判断に任されている。様々な用途の財源に充ててよいので、必ずしも規定されたメニュー、それを全てしなければならないということではないが、厳しい財政事情の中、優先順位をつけながら検討してきた。その結果、学校図書館司書の配置までは至っておらないのが事実だ。限られた予算の中で可能な限りの施策を実施したので、現状においては今の予算配分で十分であると言わざるを得ない。しかしながら今後は、子育て、教育に重点を置くと公表しているので、予算編成において今までのような市民ニーズや社会情勢を把握した上で、児童の学習環境を充実させるという観点から適切に検討を進めていきたい。

矢追もと
今までの経緯はお伺いしましたけれども、来年度以降は、子ども・子育て、そして教育のほうにまた新しい考え方で予算配分していただけるというふうに今のご答弁で受け取りましたので、それについて感謝申し上げます。そして、それを期待されている市民の方々も多いと思います。

最後に市長にも答弁を求めました

矢追もと
それでは、最後に市長にお伺いいたします。基礎自治体でも、少子化に対し、自分事として真摯に向き合わなければならないと私は考えております。そして、子どもが生きる力を身につけるために必要な教育と居場所の提供も大切です。国の動きを待たずとも、独自施策を展開して、結果を出し始めているほかの自治体もあります。橿原市としても、子育て政策と教育により手厚い予算の配置と、それに伴って必要な人員を必ずつけていただきたいです。そして、しっかりと政策を進め、目標を達成しようという行政のやる気が市民にも伝わるようにしていただきたいと考えます。市長のお考えを聞かせてください。

亀田忠彦市長
子育て、教育に関するご質問をいただいております。私自身も、市長就任以来、子育てと教育に注力していくという方針は機会あるごとに述べさせていただいております。その気持ちは現在も変わらず、強く持ち続けております。

1つ目の子育て支援策につきましては、前回の6月議会で述べさせていただきました、こども・健康スポーツ部の若手職員6名による「子育てしやすいまち橿原プロジェクト」チームにより、7月に開催いたしました庁議で新たな子育て支援策の提案発表がされました。その提案の中にも、橿原市の子育て世帯の人口流出に歯止めをかけながら、増加へつなげる施策として、先ほど議員からもご質問いただいている項目も含まれております。提案された事業全てを実施するには大きな財政負担を伴うことから、今後、庁内でしっかりと議論し、令和5年度での事業実施に向け、予算化に向けても積極的に検討してまいりたいというふうに考えております。

そして、教育委員会における学校図書館司書の配置につきましても、図書館司書が教師と連携し、子どもたちに日々関わることで、子どもたちが本に出会い、読書に慣れ親しみ、ひいては文章を読み解く力を身に着け、学力が向上し、そして、子どもたちに豊かな人生を歩んでいってもらいたいというふうに考えております。

子育て・教育に関しましては、将来を見据えた中で、子育て世帯の流出を防ぎ、流入を促進する、子どもたちの成長をしっかりと行政として後押しをしていくということが今まさにこの時代に求められている、特に橿原市にとって求められていることであるというふうに認識しております。子育て政策と教育には、予算とそれを推進するための人員が必要であるというふうに考えております。昨日の質問でもお答えを申し上げましたけれども、総予算に係る、教育・子育てにどれぐらい割合を充てているのかというところ。ほかの市町村と同じ条件で比較はできないかもしれませんけれども、橿原市において、もう少しその割合を増やしていく、先ほどから述べていただいております子育て・教育にやっぱりしっかりと力を入れていくことが、将来の橿原市にとって、今やるべきことではないのかなというふうに思っております。

「子育てしやすいまち日本一」という目標を掲げるということを職員にも常々申し上げておりますけれども、すみません、ちょっと話が外れてしまいますけれども、高い目標を掲げるということは大事なことだと私は思っています。よくスポーツに例えさせていただきますけれども、奈良県で優勝を目指すのか、全国優勝を目指すのか、目標の立て方によっておのずと練習内容が変わってくるんだというふうに思います。全国優勝を目指しているチームは、必然的に奈良県では優勝できるチームになっていくんだろうというふうに思います。ただ、できもしない目標を掲げるのはどうかと思いますけれども、やっぱり目標を高く持つことで、私も含めて職員が全てその目標に向かって仕事をする、あるいは議員の皆様方にも同じ問題意識を共有していただきながら、議会も行政も挙げてその目標に向かって歩んでいくと。私はやっぱり目標設定というのは大事なことであるというふうに思いますので、先ほど矢追議員からありましたけれども、目標設定をしっかりと定めながら、そこに向かってみんなで意識を共有しながら全ての施策においては進めていくということが大切だろうというふうに思っております。

「子育てしやすいまち日本一」を目指して、子育て環境あるいは教育環境の充実に向けて取組をさらに進めてまいりたいというふうに決意を新たにしておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

矢追もと
若手職員の方々の「子育てしやすいまち橿原プロジェクト」チームで同じようなご提案がされているということで、私は大変うれしく思っております。しっかりと検討していただいて、ぜひ取り組んでいただきたいと考えております。これまでも私は一般質問などで申し上げておりますが、引き続き、子育て支援、子育て世帯の移住・定住などの取組については全庁的に取り組んでいただき、どの部局・部署でも自分事として捉え、それぞれの専門分野で何ができるのかを考え、ぜひ共有していただきたいと思っております。今回、市長からも力強いお言葉をいただきましたけれども、「子育てしやすいまち日本一」というのが一体どんなまちなのかというのをそれぞれの部局で、それぞれの中で、形を皆さんの共通理解の中で見出していただいて、それを実現する方向に向かって皆さんで頑張っていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。