2021年3月議会

3月9日
厚生常任委員会

 2月に初当選してから、厚生常任委員会のメンバーになりました。ここでは選ばれた議員6人が、魅力創造部、市民活動部、福祉部、健康部、健康づくり部がかかわる予算や事業について議論します。

橿原市部落差別の解消の推進に関する条例の制定について

 部落差別をなくすための条例を定める議案です。橿原市はすでに月3回の人権相談を実施したり、講演会も開いています。条例ができたら、市を訪れる人にも条例を知ってもらう活動をするとのことでしたが…

矢追もと
 来訪者にどうやって啓発するのですか。

人権政策課長
 八木駅前などで物品を渡して説明したい。大型ショッピングモールでも啓発したい。

橿原市第6期障がい福祉計画 第2期障がい児福祉計画について

 令和3~5年度における障がい福祉サービスや、障がい児の支援に関する計画について議論しました。関連する分野のことなら質問できるので、次の4点について質問しました。

  1. 障がい者の就労について
  2. 市役所での手話使用について
  3. 公約に掲げた発達障がい児の保育施設の整備について
  4. ユニバーサルデザイン書体「UDフォント」について

1.障がい者の就労について

 橿原市役所では毎年、事業所から実習生を受け入れています。また、障がいをお持ちの方を平成26年に1名、平成29年に1名、令和2年度は1名採用。障がいの等級や種別によらず、障害者手帳をお持ちの方全てを対象に広く募集するようになりました。障害者手帳を持っている職員は令和2年で19名おられるそうです。法定雇用率は、民間事業所で2.2~2.3%、地方公共団体は2.5~2.6%。橿原市は令和2年で2.98%でした。

矢追もと
 橿原市が毎年役所で実習を受け入れていることや、働いている人がいることを情報発信し、民間企業でも理解が進むように働きかけてください。

2.市役所での手話使用について 

矢追もと
 平成30年に手話言語条例が定められました。手話を使った窓口業務をしていますか

障がい福祉課長
 障がい福祉課の窓口に手話通訳者が1人います。窓口業務で手話が必要なときに各課へ行ったりして通訳をします。福祉部職員は研修をしたりして、簡単な挨拶程度なら手話ができます。

矢追もと
 私も以前、接客業をしていたとき、聴覚障がい者の方が来られる機会が多くありました。簡単な手話ができるだけでも身近に感じ、喜んでもらえました。市役所や公共施設で、手話を使える人を少しずつ増やして、あったかい市だなと感じてもらえるよう、今後もしっかり取り組んでほしいです。

3.公約に掲げた発達障がい児の保育施設の整備について

矢追もと
 発達障がいを理由に私立保育園を退園することになって働けなくなったお母さんがいます。また、橿原市の「かしの木園」のような施設に通わせたくても予約が取りにくいという声もあります。「発達障がい児が安心して通える保育施設は橿原にないの」という声を聞く機会が増えています。待機児童に発達障がいの子どもが多いという他市の事例もあります。発達に問題を抱える子が安心して通える保育施設を、橿原市で設置しませんか。

こども未来課長
 障がいのあるなしにかかわらず、市立保育園で広く受け入れる方針。100%ではないが、可能な範囲で受け入れている。

矢追もと
 そうした情報にたどり着けない保護者もたくさんいると思う。情報提供はどうやっていますか。

こども未来課長
 発達相談とか、指導主事が巡回しながら総合支援センターと協力して。民間事業者とも連携を取り、丁寧な対応をしていきたい。

障がい福祉課長
 かしの木園以外の施設に行くにはどうしたらいいか分からない、というお母さんがよく来られる。障がい福祉課では、今まで民間事業所の一覧表だけ渡していたが、来年度からは施設ごとの特徴を一覧できる資料を渡し、丁寧できめ細かな案内をするように今後は努めたい。

矢追もと
 なかなか新しい施設はつくれない現状では、どうすれば自分の子どもを預かってもらえるか、安心して預けられる場所にたどり着けるのか、という情報提供を第一にしてほしい。その上で、市として子育て支援にしっかり取り組む必要があります。発達障がいを持つ子どもがある程度いるというのは明らか。支援を求めている方がたくさんいます。その方々に向けた保育施設の整備を今後検討してください。

こども未来課長
 特化した個別の施設はなかなか難しいと思う。国が決めた加配(保育士の増員配置)で対応する。働きやすい体制を整えたりすることで保育士が増えれば、安心してそういう方(発達障害を持つ子ども)も保育所へ来ていただける。おっしゃるように、発達障害を持つ子どもの数が年々増えているのではと聞いており、そういう観点で対応したい。

矢追もと
 加配をメリットと捉えるお母さんもいるが、単なる見守りで、例えば専門的な知識を持つ人とは違うという捉え方もある。どんな個性の子も一緒にいるインクルーシブな施設は1つの理想で、そういった在り方が好ましいとは思います。ですが、その中で取り残される子がないよう、保護者が安心して通わせられることが第一。そういったことを踏まえた上で、(新しい施設の設置を)検討してほしい。

コメント
 まだまだ待機児童の多い橿原市。新しい保育施設を作ることや、保育の枠を増やすことが必要になっている。その中で、発達障がいを持つお子さんが安心して通える施設について、同時に考えていってほしいと思います。

4.ユニバーサルデザイン書体「UDフォント」について

 平成31年に生駒市が学校に導入した、読みやすい書体「UDフォント」について質疑しました。読みやすく、テストの正答率や解くスピードが上がるという話もあります。

矢追もと
 橿原市では導入していますか。

学校教育課長
 平成30年度、令和元年度に中学校で一度検証した。国語はUDフォントのほうが見やすいが、英語や社会は従来の明朝体のほうが見やすいという子どもの意見があった。県立高校の受験ではUDフォントを使っているが、橿原市では個々の対応になっている。

矢追もと
 個々というのは、一クラスの中でも特定の子にUDフォントを使うという意味ですか

学校教育課長
 実験的に1つの中学校で国語テストのみ実施している。今年度導入された校務支援システムにUDフォントが標準で入っており、今後どう使えばいいか確認しながらやっていきたい。読み書きが苦手な児童・生徒という児童生徒には個々に相談している。

矢追もと
 UDフォントは使えるが現場に任されているということですか

学校教育課長
 教員にもUDフォントの研修はしている。UDフォントをどう使っているか、調査も含めて見守っていきたい。

矢追もと委員
 小学校でもUDフォントは使えますか

学校教育課長
 使える

矢追もと委員
 発達障がいを持つ子の母親からは、字体への関心が多かった。集中力がない子だと諦めていたが、字体を変えることで良い影響も出ると聞いています。分かりやすい教材づくりに取り組んでください。また、黒板周りの掲示物が多いと集中力が途切れるなど様々なケースがあるので、文字の取組以外についても検討し、情報収集してください。

橿原市第9期老人福祉計画及び第8期介護保険事業計画について

 令和3~5年度における高齢者福祉サービスなどの計画について議論しました。こちらも高齢者福祉に関して2点質問しました。

  1. 高齢者の見守りについて
  2. 健康寿命について

1.高齢者の見守りについて

矢追もと
 独り暮らしのお年寄りをどのように見守っていますか。

地域包括支援課長
 民生委員が高齢者の独り暮らしの実態調査を実施している。高齢者の緊急連絡先を把握し、市と民生委員で情報共有して見守りにつなげている。また、小学校区の街の介護相談室では、介護につながっていない高齢者への訪問等で、必要に応じて見守りや支援などにつなげている。

地域包括支援課長
 小学校区の街の介護相談室、24時間365日、高齢者の相談を受け付けている。もしくは市や、地域包括支援センターに連絡すれば、必要に応じた支援等をする。

矢追もと
 独り暮らしで認知症が進み、生活状況が把握できないまま悪化することもあります。ですから、定期的な見守りは必要です。民生委員がどんな見守りをしているかチェックしていますか。

地域包括支援課長
 何回訪問したかという細かい話は把握できていない。ケアマネジャー、街の介護相談室が定期的に訪問したり、民生委員の見守り活動などで対応したい。

矢追もと
 今後、独り暮らしの方は増え、どう見守るかが課題になります。地域のお年寄りが幸せに暮らせる環境づくりのために、介護相談室のことなどを若い人に向けても情報発信してください。

2.健康寿命について

 健康で暮らせる時間を長くすることは大切なことです。医療費の増大を抑えられ、市にとっても非常に重要なこととなる、健康寿命を長くするための政策について質疑しました。

矢追もと
 奈良県は健康寿命日本一を目標に掲げて、健康寿命を延ばす取組をしています。市として健康寿命を市民に発信したり、数値目標はありますか。

介護保険課長
 健康寿命の延伸という目標は掲げているが概念的な目標だ。

矢追もと
 特に具体的な数値目標はないのですね。健康寿命の算出法ですが、全国的には、健康上の理由などで日常に影響があるかどうかという個人の感覚による回答で出しています。しかし、奈良県では分かりやすくすることを理由に、要介護2からが日常に支障をきたしているという基準にしています。実際には、介護を受けていないが医療にはかかっていて支障があるという人もいます。要介護の基準すれすれの人が介護を受けられなくなっても困ります。市も健康寿命の目標を定めた方が良いのではないですか。

健康部副部長兼健康増進課長
 確かに、市には数値指標はない。

矢追もと
 健康寿命を延ばす政策は重要です。介護を受けたい方がちゃんと受けられることに留意して、目標を定めてください。

2021年3月10日
市庁舎建設事業等に関する特別委員会

 橿原市では、耐震性能の低い本庁舎をどうするかという検討を進めています。この日は、市側から建て替え計画が示されました。当初、建物の床面積は9500平方㍍、事業費は57億円という方針でしたが、地盤が弱いことが発覚したりして、事業費が12億円上振れすることが明らかにされました。市側はメリットを説明されたので、デメリットについて質問しました。

矢追もと
 有識者による検討委員会が示した「斬新な提案ゆえの、建設費や維持管理費に関する懸念」をどの程度持っていますか。メリットをかなり説明されましたが、私が知りたいのはデメリットです。「格好いいやんか。すごくいいデザインやんか」と選んだ後で、「すごく手間がかかる、お金がかかる施設でした」となったら市民に説明できない。簡潔に教えてください。

庁舎整備課長
 すみません、メリットばかり伝えたが、デメリットは、コの字型の建物にすることで外壁と内壁の面積が大きくなり、ランニングコストが上がる。何十年に1回必要な壁の修繕費用が上がったりする。

2021年3月10日
市スポーツ施設の活用及び整備等に関する特別委員会

 令和13年に国体が奈良県で開催される予定です。奈良県は、県所有の橿原公苑と市所有の橿原運動公園を交換して、橿原運動公園を中心に国体を開催する方針を示しています。一方、公園の交換をするかどうかの議論と並行して、橿原市としては市スポーツ施設の活用や老朽化した施設をどうしていくか検討しています。こうした議論の中で、質疑をしました。

矢追もと
 国体は開催年の設定がずれ込む予想もしていますか

スポーツ推進課長
 今のところ、奈良県は10年後の令和13年で内々定だ。

矢追もと
 橿原運動公園のプールの老朽化が進んでいるという説明がありました。レジャー施設としてのリニューアルにどのくらい費用がかかるのですか?

スポーツ推進課長
 今やっている業務委託の中で明らかにしていきたい。
 
矢追もと
 国体に関わって公園交換することに興味を持っている市民もいれば、反対したり、不安を感じる市民も多いです。情報が出そろったほうが検討はしやすい。例えば、老朽化した施設があって、国体がなかった場合にそれを今後維持管理するのにどのくらい費用が必要なのか。今回のやり方だと、市民も公園交換ありきというように捉えるのではないでしょうか。

2021年3月17日
県立医科大学・附属病院を核とした
まちづくり事業等に関する特別委員会

 橿原市は県とともに県立医大・付属病院周辺のまちづくりを検討しています。その中で、医大のそばに近鉄の新駅を設けることが検討されています。近鉄は、八木西口駅の移設という形での新駅設置を望まれています。この特別委員会の直前に、奈良新聞が「橿原市と近鉄が新駅と既存駅の併存はしないことで合意した」と大々的に報じましたので、事の真偽を確かめました。私はこの委員会で副委員長を務めています。

矢追もと
 昨日、新聞報道があり、地元から「これどうなってるの、もう決まってるの」と不安の声を聞きました。報道が先行すると、議会軽視につながり、市民の不安を煽ることにもなります。市は合意と認識していないのですか?

市街地整備課長
 新聞報道では「併存なしで合意」と表記されているが、我々は協議書に対する回答を受け取った、ということが事実だと考えている。

矢追もと
 地元からは既存駅存続の要望書が出されたという経緯もあります。地元の利便性が損なわれる、低下することについて、市民や地元への説明は考えられていますか?

市街地整備課長
 (奈良県、近鉄との)三者協議が平行線をたどっている。できるだけデータをそろえ、3者の中で一定の方向性が見えた段階で、地元にも説明したい。現状だと、地元に伝える内容が非常に薄い。住民に説明できる材料が整い次第、地元に入る。

矢追もと
 協議の途中経過も知りたい。意見が言えるなら伝えたいという方もたくさんいると思います。例えば県の気持ち、やる気度や、近鉄の思いだったり、最初の頃からのやり取りが分からないと私も市民に説明できないし、市民も調べられません。最初の頃からの県や近鉄とのやり取りをきちんと出して、市民が経過を追えるようにしていただけませんか?

市街地整備課長
 すぐにはできないが、資料を分かりやすく見やすくしたような形で検討したい。新聞報道で住民が心配しているという指摘もあったので、地元からの要望があれば事実説明にいく。

矢追もと
 3者で話し合った内容などを出せば、疑念や誤った憶測を回避できます。ちゃんと議論ができるようにそろえてください。

市庁舎建設事業等に関する特別委員会
2021年3月18日

 橿原市では、耐震性能の低い本庁舎をどうするかという検討を進めています。約1週間前には市側から複数の建て替え計画が示されましたが、9500平方㍍、57億円という想定が12億円上振れすることも明らかになっていました。このため、亀田忠彦市長はこの日、建て替え計画を見直す方針を示されました。議員からは、市長のやり方がぶれているという指摘や、「市民がワークショップなどに参加してきたのに市民不在ではないか」という批判も出ました。亀田市長が見直す方針を出した一方で、市の担当職員は、市や議会、市民が求めていた機能を削って12億円の上振れをなくす方法もあると説明。議論は紛糾しました。

矢追もと
 先ほど他の議員が「ワークショップで市民の意見も聞いて、今の案がある」と言っておられました。市議になる前、私も一市民として参加していました。ワークショップ初日、今の場所での本庁舎建て替えに反対だったり、納得していない方がたくさんおられました。ワークショップを進行する前に、そのやり取りだけで1時間以上かかったと思います。「今の場所で建て替えるという形で検討してください」「そういうワークショップとして開催しているので、その前提で皆さんに議論してほしい」ということで、皆さんがしぶしぶ了承して、やっとワークショップが始まりました。ワークショップの意見のまとめを見ると、この場所で建て替えしてほしくないが、もし建てるんだったらこうしてほしいという苦渋の決断で意見を出している方もたくさんおられました。その声も大切にしなければいけないと思い、私は今この場で議論に加わっています。「今までかけた費用が無駄になるのはもったいない」という意見もそのとおりだとは思います。しかし、反対意見もある中で、ここで建てると費用をかけて推し進めたのに、設計段階で「ここは地盤が弱いと分かった」と言われても、皆さん驚かれると思います。ワークショップでも防災拠点にしたいという意見はたくさんありましたが、地盤が弱いのは防災拠点にするのにすごくデメリットだと思います。進め方に疑問を感じます。

プロジェクト推進局副局長
 おっしゃるように、あのワークショップでは、なぜここで建てるのかというような疑問を持たれて、最初にかなり紛糾した。本庁舎はここで建てるということで進めたのも事実。何もない場所に家を建てるなら事前に地質調査をすると思うが、ここは本庁舎があったので事前に土質調査をやっていない。発注前にやって、現状では基礎がもたないことが分かった。わざと調査を遅らせてここで建てると決めたわけではない。

矢追もと
 市民には計画のスピード感や進め方が伝わりにくいのです。ワークショップが開かれたのは平成30年。「地盤が弱いから金額が高くなる」と分かったのはこの数か月です。「強固な建物を建てたい」「防災拠点にしたい」という意気込みと、地盤の弱さが分かるタイミングがずれているというのは市民の一般的な感覚だと思います。また、(12億円の増額分を削るために)こちらが必要だと思って入れたはずの機能をなくすのは、市民としてとても悲しい状況です。ワークショップでも、図書館を入れてほしいなど、たくさんの意見がありました。全部入れ込むのは難しいですが、これ以上減らされるのは辛いことです。ワークショップでは「費用のかからない施設にしてほしい」とか「建て替えるならなるべく少ないコストで」とか「1か所に集約してほしい」という意見がありました。それがないがしろにされるような計画を進めることには異議を申し立てたいと思います。

一般質問
2021年3月23日

 当選後、初めての一般質問です。以下の5点を質問しました。

  1. 子育て相談の窓口について
  2. 健康ポイント(健幸ポイント)制度について
  3. 市営住宅申し込み時の連帯保証人について
  4. デマンドタクシーの導入について
  5. 災害時の備蓄品について

1.子育て相談の窓口について

矢追もと
 市長の施政方針演説でも子育て支援は重要な位置を占めています。しかし、橿原市の第4次総合計画で示されたアンケート結果では「出産・子育ての悩みや不安を相談できる環境がある」と感じる市民は、30.2%と大変低い割合です。多くの保護者が子育てに悩み、孤独を感じているのではないでしょうか。「ホームページを見ても、どこに相談したらよいのか分かりにくい」「相談へのハードルが高い」という意見をよく聞きます。施政方針で目指す姿からかけ離れている現状について、問題提起したいと思います。
 保護者には「子育てがうまくいかずに悩む自分は親失格では」「相談したら自分が責められるのでは」といった、相談への心理的ハードルや不安があるのではないでしょうか。こうした保護者に寄り添うためには、身近な場所で専門家と気軽に話すことを通じて結果的に悩みが解決する、つまり、本格的な相談に至る前の段階で小さな悩みを解決できることが重要です。
 相談の有無によらず参加できる場が豊富にあり、気軽に相談している雰囲気が他の保護者にも伝われば、安心して子育ての相談ができるまちになります。だから、対面での効果的なアプローチを増やす方向で検討していただけませんか。

藤井綾子・健康部長
 平成29年度から妊娠・出産・産後・育児を切れ目なく支援する子育て世代包括支援センターという機能を設けた。センターでは「子育て総合窓口」と「妊産婦・乳幼児相談窓口」が庁内外の関係機関と連携をしながら、継続的に状況を把握し、必要な支援や情報を提供している。(以下、説明をまとめる)

 1・子育て総合窓口(分庁舎2階)

子育ての不安や困りごとを相談できる。健康増進課の保健師3人がいる。対面での相談が大半を占めるが、専用の電話窓口もある。主な相談内容は、妊娠期から出産後の相談、保育所の入所関係、児童手当等の手当関係、健康診断、予防接種など。
 
 2・妊産婦・乳幼児相談窓口(保健福祉センターの北館4階と分庁舎2階)

保健師または助産師がいる。妊娠届で母子健康手帳を発行。妊娠届の段階から、地区担当の保健師を紹介し、継続的に気軽に相談してもらえる関係をつくる。気になる妊産婦や保護者には市側から連絡することを事前に伝え、つながりやすい環境づくりをしている。

 議員お述べの相談に至る前の段階での問題解決には、就学前の親子が集う「こども広場」や「子育て支援センター」の活用が有効だ。保育士が常駐し、子育ての不安や情緒、性格、社会性、食事、睡眠等々に関する相談に応えている。保育士が積極的に保護者に声をかけて話をし、不安などを相談しやすい環境をつくっていきたい。また、母子手帳の発行や、こんにちは赤ちゃん訪問等をきっかけに、早期に相談しやすい関係づくりに努めるとともに、身近で相談しやすい体制づくりに努めたい。

矢追もと
 実際にアンケート結果が大変低いことを踏まえた上で、身近で相談しやすい体制づくりを進めるとのことだが、具体的な対策はありますか。

さらに、育児など子どものことに関する市の相談窓口3カ所について質問します。

 1・子育て総合窓口
 ここでは電話相談も受け付けています。ホームページでは、届出や手続に関するものが相談例として多く挙げられていますが、実際には、子育ての悩み相談も受け付けます。ホームページからそれが伝わってこないのが残念です。

 2・家庭児童相談
 ここは0~18歳の子を持つ親が対象で、出産や子育てでイライラしたときの相談や、虐待の相談も受け付けています。しかし現状では、電話をかけると子育て支援課の一般職員が出て、相談と告げれば相談員に替わる形になっていて大変残念です。悩みで不安定な気持ちの方が、やっとの思いで電話をかけているかもしれないのに、事務的なやり取りが差し込まれてしまう。できれば、こういう窓口こそ専門の職員の方、相談員の方が直接電話に出ていただきたいのです。

 3・妊産婦・乳幼児相談窓口
 ここも子育ての疑問や悩みを電話で受け付けています。

 この3つの窓口は、それぞれこども未来課と子育て支援課と健康増進課が担当しています。

 ネットで窓口を検索して電話をかける人も多いと思いますが、市のホームページで検索すると各相談窓口がばらばらにしかヒットしません。相談先へすぐにたどり着けない状態です。窓口にうまくつながらない現状を残念に思います。
 子育てに悩む方が迷わず相談できるよう、専門職員がすぐ電話口に出るように窓口を一本化するなど、専門部署を新設すべきではないでしょうか。また、市のホームページでの窓口紹介を分かりやすくしたり、子育て総合窓口の相談内容を今より広げてアピールしたり、相談者に不安を感じさせない電話対応の工夫は、すぐにでもしていただきたいのです。

藤井綾子・健康部長
 子どもの家庭支援を総合的にするため、国は市町村に「子ども家庭総合支援拠点」を設置し、子育て、虐待など、妊娠期から子どもの自立に至るまでの相談に応じる体制をつくることになっている。当市でも整備を図っていく。その段階で、相談窓口の在り方についても再検討したい。
 ホームページについては、令和2年10月に健康部内で「子育てしやすいまち橿原」プロジェクトチームを発足し、ホームページの修正案を作成中。早期に改善を図っていきたい。

矢追もと
 現在はLINEなどのSNSを使っている方が多くいます。大阪市では昨年、児童虐待防止事業としてLINEを使った相談を試験しましたが、「LINEなら相談できると思った」という利用動機が1位でした。虐待を受けている子どもからの相談も大変多かったといいます。
 こういったツールを通してたくさん相談が集まったのは、既存の相談窓口では拾い切れない声があるということではないでしょうか。こういったツールで門戸が広がることも確かだと思います。既存窓口だけにこだわらず、相談窓口の多様化も検討してください。
 相談するということをネガティブに捉える保護者もいると思うし、子どものことは相談できても、保護者自身の心や体のことは後回しになりがちという現状もあります。相談のハードルを下げ、身近で温かい相談窓口になるよう、今後も工夫や検討を続けてください。
 また、民間の子育て支援団体などに関する情報提供や連携なども視野に入れてください。

2.健康ポイント(健幸ポイント)制度について

矢追もと
 近年、寿命を延ばすだけではなく、健康に生活できる期間、いわゆる健康寿命を延ばすことへの関心や取組が広まっています。健康寿命を延ばすための健康ポイント(健幸ポイント)という政策を、近隣では田原本町のほか、大阪府高石市などが実施しています。自治体ごとに運用の違いはありますが、主にウォーキングや健康教室への参加、健診などの受診によってポイントがたまり、地域で使える商品券などと交換できるという政策です。実施中の自治体によると、市民の関心も高く、参加者の医療費が下がったというデータもあるそうです。健康寿命を延ばすことで、市民の生活の質が向上し、医療費の増大も抑えられます。さらに、地元経済の活性化にもつながります。このような取組の導入を検討していますか。

 藤井綾子・健康部長
 橿原市ではスマートフォンのウォーキングアプリを使った事業を実施。国民健康保険特定健診の受診率向上事業として、国民健康保険の被保険者を対象に、スマートフォンのウォーキングアプリ「aruku&(あるくと)」を使い、橿原市のオリジナルコースを歩くことでポイントが付与される仕組みで、たまったポイントは特定健診の無料受診券と交換ができる。

矢追もと
 現状の「aruku&(あるくと)」を用いた事業にも意義はあるが、スマホを持っていない人は参加できません。スマホ以外でも参加できる方法や、歩くことが難しい方のためにも、歩くこと以外での健康づくりも対象にすべきです。例えば、兵庫県尼崎市の「未来いまカラダポイント事業」では、健診や保健指導、健康にまつわる講座などでもポイントがたまります。幅広い世代を対象にすれば、若いうちから健康を意識できますし、ポイントを地域商品券や地域サービスに交換することで、地元経済の活性化も期待できます。こうした健康ポイント(健幸ポイント)事業を、今後検討していただけませんか。

藤井綾子・健康部長
 市の事業は国保加入者が対象。しかし今後は、対象者拡大やポイント付与方法の検討、ポイント交換の対象も、特定健診の無料受診券だけでなく、市内体育館のスポーツクラブ利用券や、市内商店街などと連携したポイント使用での買物など、地域活性化にもつなげられればより活用の幅が広がる。今後は、健康だけにとらわれない全庁的な取組として、来年度から新設のデジタル戦略課とも連携、協議しながら拡大していきたい。

矢追もと
 健康ポイント(健幸ポイント)事業は、単に楽しさやポイントでお得というだけでなく、実際に健康につながる事業として取組や研究が進められている。橿原市でも幅広い世代が参加する取組にしてください。

3.市営住宅申し込み時の連帯保証人について

矢追もと
 橿原市の規定では、申込み時に連帯保証人が1人必要です。しかし国は2018年、こうした規定を削除するよう通知し、連帯保証人に関する項目を削除した自治体もあります。橿原市の現状はどうなっていますか。

近藤浩明・まちづくり部長
 昨今の社会状況の中、連帯保証人が見つからない方も少なからずいる状況で、今後さらに連帯保証人を確保することが困難な方が増えると想定される。本市も、保証人を不要とすべきとの国の通達を踏まえた対応が大事と考えているが、現時点では、家賃滞納への対策など、その役割の重要性から、今後も連帯保証人の確保をお願いしたい。最後のセーフティーネットとしての市営住宅の役割を踏まえると、連帯保証人がいないから入居できない事態は避けるべきで、本市は民間の家賃債務保証業者を利用する手続を進めている。

矢追もと
 ここ5年間の家賃徴収率はどれくらいですか。連帯保証人が肩代わりする例はありましたか。

近藤浩明・まちづくり部長
 公営住宅と改良住宅を合わせた現年度家賃の徴収率は、決算ベースで令和元年度が99.87%、平成30年度が99.53%、平成29年度が92.90%、平成28年度が84.82%。令和2年度は12月家賃分までで99.90%。ここ5年間で連帯保証人が滞納家賃等を肩代わりした事例はない。

矢追もと
 沖縄県那覇市は、既に連帯保証人規定を削除した22都市に問い合わせ、規定の削除後も徴収率が下がっていないことを確認し、それを基に令和3年度から連帯保証人をなくす方向と聞きました。橿原市でも近年は徴収率が高く、連帯保証人は滞納家賃の肩代わりをしていません。国は市営住宅の役割として、お困りの方には連帯保証人の免除や緊急連絡先の登録をもって認める方法も促しています。連帯保証人なしでも入居できるようにしてください。

近藤浩明・まちづくり部長
 現在のところは家賃債務保証業者の利用を考えているが、連帯保証人がいないために入居できない事態を避けるため、何らかの理由で家賃債務保証業者の利用が不可能な方は詳細に事情を聞いた上での免除も検討したい。

矢追もと
 保証業者を利用するには、入居者がその費用を払う必要があります。コロナ禍で収入が減った方もいる中で、費用負担が増えるのは大変残念です。業者利用が不可能なら免除も検討するとのことですが、費用負担ができないことを証明するのは難しいと思います。連帯保証人の規定削除を検討してください。
 実際に那覇市では事例を確認した上で、他都市の徴収率が下がっていないことを基に、入居者に負担を強いたくないと規定削除に踏み切られたと、那覇市の担当者に聞きました。橿原市も他都市の取組を注視し、連帯保証人なしで申込みできるよう、切にお願いします

4.デマンドタクシーの導入について

矢追もと
 橿原市のバス路線は市内全地域を網羅しておらず、お年寄りなどの移動困難者や地域に公共交通がない移動制約者向けの移動手段を検討する必要があります。今後、高齢化や免許返納者の増加などで、さらに困る方が増えると予想されます。1つの解決法として、デマンドタクシーと呼ばれる乗り合いタクシーがあります。バスの利用状況を踏まえて、民間タクシーなども含めた公共交通の在り方を改めて考え直す必要があると考えますが、橿原市の現在の考えや取組をうかがいます。

近藤浩明・まちづくり部長
 議員お述べのとおり、現状の公共交通では社会ニーズを満たせていないと実感している。公共交通を維持するためには多額の費用も必要で、高齢化に対応した公共交通の在り方は、先進的な事例などの情報収集やヒアリングを行い、参考にしながら、今後、検討したい。

矢追もと
 デマンドタクシーは、利用者や民間事業者の意見や要望が大変多いと思います。今後の新しい公共交通はそういった意見をよく聞いて検討してください。

5.災害時の備蓄品について

矢追もと
 東日本大震災から10年経ちました。この間、近年の異常気象による風水害の増加によっても災害時の備えについて考える機会が増えています。この3月20日にも、宮城県で震度5強の地震がありました。橿原市の災害用備蓄品は十分か、災害が起こったときに使いやすい状態かを確認します。
 現在、市では、何人の避難者に、何日間を想定して備蓄量を検討していますか。特に、子どもや女性向けの備蓄品にはどのようなものがありますか。

立辻満浩・危機管理部長
 本市において最大の被害は、奈良盆地東縁断層帯地震の発生時と想定している。この地震が発生すると、橿原市の一部で最大震度7、市域の大部分で震度6強という揺れが起こる。亡くなる方が790名、けが人が6440名、最も多いときで約3万3830人の避難が見込まれる。中央防災会議の南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループが試算した「避難者のうち53%が避難所を利用する」という割合から算出すると、最大約1万8000人が市内の避難所を利用することになる。
 次に備蓄の状況。食料品は3万690食、毛布が2万2610枚、ビニールシートが2850枚、飲料水袋が4800枚、発電機123台と投光器が113台、仮設トイレが71基、そして、パーテーションが988組。女性向けとして、生理用品を本年度から、今のところ少量だが準備している。また、着替えや授乳などのためのテント式のプライベートルームを45組、乳幼児用の液体ミルクを現在576缶、これも本年度から用意している。
 食料は想定避難者数に対して被災当日分を賄えるように備蓄しているが、その後は流通備蓄あるいは応援物資で賄う。市民には3日分の食料備蓄をお願いしている。

矢追もと
 流通備蓄や応援物資を活用する場合、支援はいつ頃から始まり、何が提供されて、どの程度の期間カバーできる想定ですか。子ども向けの品目におむつがありませんが、備蓄する必要があるのではないでしょうか。

立辻満浩・危機管理部長
 近年の被災地の状況を見ると、応援物資、流通物資は被災後24時間以内に届くケースも多い。市の災害対策本部からの要請で、国、県、他市町村あるいは民間から必要なものが届く。市としてはタイムラグを少しでも埋めるよう、最善を尽くしたい。
 おむつは流通備蓄で賄うことにしているが、近い将来の備蓄に向け、数量等を検討している。

矢追もと
 女性や子ども、お年寄りといった避難者の様々なニーズを想定して必要物資を検討してください。
 現在、本庁舎とかしはら安心パーク、運動公園の3か所に集中的に物資を保管する一方、避難所となる学校は物資数が限られているのはなぜでしょうか。また、橿原の避難所にはパーテーションの備えはありますか。

立辻満浩・危機管理部長
 現在45の指定避難所のうち36か所で、毛布を全体で約1760枚、大型扇風機を144台を保管しているのが現状。食料などの物資は、管理やスペース等の問題で、基本的に橿原運動公園等の備蓄場所から必要に応じてそれぞれの避難所に運搬することになっている。また、テント式のプライベートルームやパーテーションを準備している。

矢追もと
 災害直後に職員がどの程度集まるかは災害の状況によっても異なるし、本当に物資輸送にまで人手が回るのかや、他の支援にその人手を回したほうがいいのではという不安もあります。普段からそれぞれの避難所に必要な物資を置けるよう検討してもらえませんか。
 また、避難所となる学校は、統廃合後にも防災設備機能として残す検討をしていますか。

立辻満浩・危機管理部長
 議員お述べのとおり、各避難所で物資があることが望ましいが、地理的条件から考えると現在の集中備蓄が合理的と考え、現在の体制を取っている。しかし、今後、物資の品目や数量が増えて新たな備蓄場所が必要になれば、地域の避難場所を検討する必要がある。
 学校が統廃合になった場合、地域の実情に沿って必要に応じて避難所機能を残すよう、今後、教育委員会などと協議していく。

矢追もと
 赤ちゃん用品や子どもに関する物資は「今ないからちょっと我慢して」が大変難しく、待ったなしで必要になります。避難所になる学校の近くには、こども園や幼稚園があることも多いです。そういったところでふだん備えている赤ちゃん用品や子ども用品をいざというときに避難所に持ち出したり、事前に連携して準備をしてもらえば、物資をできるだけ早く避難所に確保することもできるのではないでしょうか。ぜひ、他の部局とも連携して検討してください。
 実際に東日本大震災の際に、私も1歳にならない子どもを育てていたので、ミルクを飲ませることが多くありました。地震発生をニュースで知って、テレビをつけているときに、子どものミルクの時間になって、飲ませている時に津波の映像が流されました。私は、安全な場所で子どもをゆっくりと寝かしつけながらミルクを飲ませているという自分の置かれた状況と、テレビの向こう側に流れている映像のギャップに愕然としました。自分が今あの場所にいたらどうなっていたんだろうと考えました。もうちょっとしたらミルクの時間だから、飲ませてから避難しようと思っていたら津波に巻き込まれていたかもしれない…。急いで避難所に逃げたのはいいが、子どものミルクがなかったり、ミルクをつくる道具がなければ困ったかもしれない…。泣く子どもをどうにもできず、避難所で途方に暮れていたかもしれない…。自分の身に置き換えて、大変心配していました。
 だから、自分自身で普段から備えることが第一に必要です。市には、市民に対して「今、市はこういう状態だから、皆さんにはこうしてほしい」という情報共有をしていただきたい。そして、物資を持ち出せなかった人のために最低限の備えをしてください

 ●一般質問の最後に

矢追もと
 最後に申し上げたいことがあります。子育て相談窓口もそうですが、1つの問題についてほかの部署とも連携しながら、よりよい解決方法を導いてほしいのです。避難時の子ども用品についてこども園などと連携したり、デマンドタクシーはまちづくり部だけでなく福祉部局も連携する必要があると思います。
 コロナの影響で財政も厳しい中、みんなで知恵を出し切って乗り切らなければなりません。先ほどの相談窓口についていえば、ホームページへの掲載方法など、ちょっとした文言の変更や、電話のつなぎ方などの工夫は、予算を使わずにできるのですぐにやっていただきたいのです。そのことを最後に要望し、質問を終わります。ありがとうございました。