12月定例会のご報告 その2 畝傍駅舎について

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12月議会では、市の今後に関係する報告が多数ありました。

建設常任委員会にて
JR畝傍駅の今後の活用についての報告

橿原市は、畝傍駅舎をJR西日本から「無償での譲渡」を受け、市が整備したのちに民間事業者が活用する方針を打ち出しています。
経緯として、この駅舎の歴史的な価値などに重きを置く橿原市民が多い一方、JRはより小規模で維持管理がしやすい駅舎にすることを考えており、駅の機能は残す前提で「地元が活用するなら」と駅舎建物部分を市に無償譲渡する提案があったものです。

市は、駅舎・駅前広場・駅近くの市有地を一体的に再編し、交流とにぎわいを創出することを目的として計画を進めています。

昨年度、複数の民間事業者より活用案が提案され、1事業者の提案が選ばれています

今年度は、この案の「事業化支援」に対して予算がついており、駅舎の耐震化診断のほか、駅舎をどのように使うのか具体的な計画が立てられています。

現在の計画では、駅舎内にカフェレストラン等の収益事業を想定しており、改札は西側へ移設。駅舎東側には屋根つき広場と「うねび広場」を整備し、にぎわいを生む空間とする、としています。
それ以外には、待合室のほか、観光客向けの情報発信スペース、貴賓室はデザインを残しつつワークショップなどに利用できる貸室とする予定とのことです。

このようなJR駅舎の活用事例としては、、JR御所駅舎、JR京終駅舎などがあります。

JR京終駅
待合室の様子。反対側にはカフェや物販のエリアがあります。

役割分担としては、駅舎活用、駅前広場、駐輪場等は市が整備・管理駅前広場用地は市がJR西日本から取得
民間事業者は指定管理者として駅舎運営を担い、にぎわい創出エリアは自主事業として運営し、建物使用料を市に納付する、となっています。

しかし、それだけでは収益化は難しく…
畝傍駅東側にある市有地(現在は市役所の公用車置き場などになっています)でも、事業者によって今後収益化できる活用事業が行われる予定です。まず初段階では貸し駐車場を整備しつつ、同時に地元の方々のお声をワークショップなどを通して聞きながら、今後どのような施設がふさわしいか検討し、整備を行っていく方針です。(例えば集客・収益が見込めるホテル事業など、今はまだ何になるかわかりません)
この市有地活用事業エリアは、市の費用負担なしで事業者が整備・運営し、市は土地賃料を受け取ることになっています。

概算事業費ですが、初期投資として駅舎約3億5000万円、駅前広場約2億7000万円、その他約1700万円で、合計約6億4200万円。国や県の補助等を活用し、市の実質負担は約2億9000万円が見込まれています。維持管理は、市有地が活用されるまでは赤字ですが、施設が決まって整備され供用後は市として年間約290万円の黒字を見込んでいます。

スケジュールは、令和8年度に設計・駅設備移設、令和8年度末に駅舎無償譲渡、令和9年度から耐震改修工事を行い、令和10年10月頃の供用開始を目指す予定(市有地活用は令和12年〜)です。


さて、この事業の印象について。
初期には市の負担が2億9000万円。これはひとつの小さい駅舎に対する整備費用としては、正直私の想像を超えていました。

また、年間黒字になったとしても290万円の想定なので、初期投資額や今後の補修・改修の費用を考えても、余裕のある費用ではありません。
当初、市はJR西日本から提案された無償譲渡について、民間事業者による活用をしても「収益化が難しく事業化は困難」と判断して、譲渡を受けることを断念した経緯があります。

しかしその後市民の中から「畝傍駅を残してほしい」「もっと現実的に可能な活用案があるのではないか」との声が高まり、保存活動が活発になっていました。
そういった中で、亀田市長は再度無償譲渡を受ける方向で動きました。
ただ過去の経緯もありますので「事業内容としても費用面でも実現可能な事業案」が採用されることが前提です。

人口が減っている状況の中、市の持つ公共施設を減らしていく方針も打ち出されている中で、新たに市有施設を増やすわけですから、これは大きな賭けとも言えます。

私は今井町の古民家に住んでいますので、古い建物のもつ雰囲気が大好きです。しかし維持管理には通常の建物より多額の費用がかかることも経験しています。
そのため、この事業の難しさや課題も感じています。

にぎわいの創出の課題
「にぎわいの創出」という言葉がよく使われますが、この実現がなかなか難しい。人の流れを生むには、畝傍駅舎の「点」だけではなく、地域全体の「面」で考えていくことが必要です。本庁舎の方向性が決まっておらず、空き地状態になっていることで「面」の取り組みが定まっていません。
また、世界遺産の登録後、この駅舎経由で藤原京へ向かう方がどのくらいいらっしゃるのか、そのような方々にとって立ち寄るメリットのある場所になるのか、そもそも来訪者が増える可能性がどのくらいあるのかも、冷静に見る必要もあります。
この点は今も懸念しています。

デザインや活用の方向性について
市民の方々から「残して欲しい」と声がありましたが、その方々の中にも「どういった形で残して欲しいのか」という思いに差があるのでは?と思います。
貴賓室は、雰囲気は残しつつも、椅子や棚などの什器類はJRに返却し貸室にしていく、ということなので、貴賓室の状態を残した見学施設とは異なります。また、古い駅舎としての趣きをそのまま残すことに重きを置かれる方には「駅舎は残るが、雰囲気はだいぶ変わる」印象になると思います。
しかし、そのままの状態を市が保存・管理するのは費用面でも現実的ではありません。
駅舎の活用が、税金の使い方として適切なものなのか、市民のご納得を得られるかが課題です。

収益化について
カフェ・飲食店自体はそこまで利益率が高くありません。始まった事業が軌道にのって継続していくことが重要です。市有地の活用事業も同じ事業者によって行われますが、こちらでの収益が得られるのかにかかってきます。始めたけれどもうまくいかなかった…ということにならないようにしなければなりません。

残すことが目標ではなく、市民や来訪者によって継続的に活用されなければ意味がありません。
また、財政面で市の負担が将来に渡って続くことも考えなくてはなりません。
そのためには、市民が畝傍駅舎について興味を持って知っていただくことが必要だと思います。